表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/41

しゅうまつ、なにする?

「明日世界が終わるとしたらどうする?」

「なんなの、急に。……アンタと二人でいるんじゃない?」

「ごめーん。俺、今夜実家帰るから」

「なんでそんなひどいこと言うの!?」

「部屋の中が荒れてるからじゃね?」


そう言って、男は室内を見渡した。テーブルがひっくり返り、あっちこっちに物が散乱している。理由はなんだか忘れたが、口論の末に女がちゃぶ台をひっくり返し、そこから物を投げ合う大乱闘にもつれ込んだのだ。二人の間ではよくあることだった。


「許してワン」


女はそばに転がっていた柴犬型のクッションを両手で持ちあげ、男に向かって突き出した。柴犬の鼻が男の鼻先に触れる。男はフンと鼻で笑うと、柴犬の顔を押しのけた。


「俺はそんなに安い男じゃねぇよ」


そう言い捨てて立ちあがる。女はクッションを抱きしめてうつむいた。


「なにしてんの? なんか言い返せよ」

「だって……」

「だってじゃわかんねぇよ」


ぴしゃりと言いのけると、鼻をすする音が聞こえてくる。男はため息をついた。



「俺たち死ぬまでずっとこんな感じなんだろうな」

「え?」


男が呟くと、女はやっと顔をあげた。目元が涙でぬれていた。

男はその場に腰を降ろし、トレーナーの袖で女の顔を乱暴に拭う。「いたい……!」という訴えは無視した。満足がいくまで涙と鼻水を拭いとり、ブサイクな女の顔を見て深く頷く。


「よし」

「よしじゃないよ!」

「確かによくない」


女の反論に今度は男も同意を示し、再び部屋の中を見渡して肩をすくめた。この状態はよろしくない。ぐちゃぐちゃになったトレーナーの袖をまくり上げる。


「部屋もきれいにしないとな」


そう言って女に向かって手を差し出す。彼女はおずおずとその手を掴んだ。相変わらず柴犬を抱いたままだが。


「ごめんなさい」

「俺も悪かったよ」


頭を下げあった二人の視線が再び重なり合う。女は上目遣いにたずねてきた。


「部屋片付いたからって、実家に帰ったりしないよね?」

「それはムリ。だいぶ前から決めてたし、親にも伝えてるから変更不可」

「なんで!?」


あっさりした男の返答に、女は絶望的な顔をする。男はゆるみそうになる顔を引きしめ、あくまで無造作に、女の額へデコピンを放った。「いたい……!」小さな悲鳴と共に、女の腕から柴犬が転がり落ちた。


「お前を連れてくからだよ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ