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幼なじみ2人は百合すぎる  作者: 天音ココア
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第6話 幼なじみを超えて

あの後久しぶりに桃寧は家に帰ってきた。

「ただいまー!」

「おかえり、お姉ちゃん」

郁磨が迎えてきてくれた。でもいつも通り素っ気ない。

「久しぶりのお姉ちゃんの帰還だぞー、もっと喜んでよー」

ほっぺをうりうりとつつく。

「このノリが苦手なんだよ·······」

「それにしてもいい匂い····」

桃寧はスンスンと家に漂う香ばしい匂いを嗅いでいた。

「今日は桃寧ちゃんのためにご馳走を作ったのよ!」

机の上には色とりどりのご馳走が並べられていた。

でも、お皿を数えてみると明らかに倍はある。

桃寧の家族は4人家族、あと3枚分お皿が余分にあった。

「お母さん、誰か来るのー?」

「あぁ、お隣さんよ。昔からの付き合いなの」

(お隣さん?そんなに親しかったっけ?)

桃寧は思い出そうとするがその部分だけ空白になったかのように思い出せない。

ピンポーン

玄関のチャイムがなった。

「私が出てくるね!」

玄関のドアをガチャっと開ける。

そこには、知らない人ではなく好きな人がいた。

「改めて退院おめでとう、桃寧」

「ま、真弥ちゃん·······何で?」

「とりあえず、中に入れてくれるかな?」

「あ、ごめん·····」

真弥は靴を脱いで家へと上がる。

お母さんと親しそうに話してるし、昔からの付き合いがあったのだろう。

でも、桃寧はあの日初めて会ったばかりなのだ。

昔を思い出そうとしても思い出せない。

桃寧は困惑するばかりだった。

「桃寧ちゃん、ゆっくり話すね。何で桃寧ちゃんが思い出せないのか」

真弥ちゃんは私の部屋で2人きりになって教えてくれた。私は病気のせいで部分的に記憶を失っていたこと。

私と真弥ちゃんは幼なじみであったこと。

私はショックを受けた。もし、記憶を失っていなければこんなことにはならなかったかもしれない。

「真弥ちゃん··········ごめんね·······」

あの日私は真弥ちゃんを初めて会った人として扱ってしまった。

真弥ちゃんからしたら幼なじみから自分のことを忘れてしまったと思ってショックを受けるはず。

桃寧は泣き出してしまった。

自分の病気を恨んだ。悔やんでも悔やみきれない。

「泣かないで桃寧······」

真弥はゆっくり桃寧を包み込んだ。

やっぱり安心する温度だ。

「でも、真弥ちゃん私が誰だろうって思って声掛けた時ショック受けなかった?」

「そ、それは········」

あの日病室に入った時すぐに桃寧に気づいた。

(本当に病気だったんだ)

母親から聞かされていたものの信じられなかった。でもこの目で確認して現実だと思った。

そして、もう1つ。信じたくないものまで現実だった。

「あ、こんにちは········」

桃寧は初めて会う人を見る目でこちらを見て、他人と認識し挨拶した。

真弥は涙が出そうになった。でも、何とかこらえた。

(桃寧の中に私の記憶はないのか·······)

「あの、私の顔に何かついてる?」

桃寧が見つめてくるのでこう答えることにした。

すると桃寧は·······

「べ、別に何もついてないよ!ただ·······」

慌てる姿がとても可愛かった。

「ただ?」

「綺麗だなって········」

(桃寧ちゃーん!)

照れる姿が可愛すぎた。このウブな反応が見れたならかえって良かったのかもしれない。

「真弥ちゃん?真弥ちゃん!」

ハッと現実に戻された。

「結局どうだったの?!ショックは受けたの?」

「もちろん受けたよ、泣きたくてたまらなかった」

真弥は真剣な表情で言う。

桃寧も、表情を固くした。

「それに··········」

真弥は口ごもる。自分の気持ちを正直に伝えたい。

でも、もし拒まれたら··········

「真弥ちゃん、私記憶が無いから真弥ちゃんとの思い出は分からないよ。でも、これから思い出を沢山作っていきたい。だから、何でも言って·····」

桃寧はその澄んだ瞳を揺らし、見つめてくる。

この気持ちに応えないと。真弥はそう思った。

「好き·········」

桃寧は一瞬分からないと言わんばかりの表情を浮かべた。だからもう一度言う。

「桃寧が好き······世界で1番·····誰よりも」

真弥は自分の思いを素直に述べた。

誰かを好きになるなんてないと思ってた。恋は自分とは程遠いものだと思っていた。

でも自分の気持ちに嘘はつきたくなかった。

恥ずかしくて、まともに桃寧を見ていられなかった。

「真弥ちゃん··········!」

桃寧はギューッと抱きついてきた。

「うわっ!」

真弥は受け止めきれず倒れる。

「私も真弥ちゃんが好きなの!昔の記憶無いけれどそばにいて欲しいって心から思えたの!」

桃寧は真っ直ぐ前を向いて告白した。

真弥はその澄んだ瞳を見つめるのが恥ずかしかった。

見つめる代わりにそっと抱き返して、気持ちに応えた。

過去の思い出は私だけが覚えていられればそれでいい、それよりも今を大事にしていこう。

「大好きだよ····桃寧······」

優しい温度に包まれながら、そっと呟いた。

どうも天音かなたと偶然にも苗字が一致してしまった天音ココアです。故意でつけたのではなくほんとに偶然です。

さて、今回は少し短めなのですが桃寧と真弥の告白シーンを書かせてもらいましたがいかがだったでしょうかね?

少し刺激が足りないと思ったそこのあなた!

次回はある·······とも言いきれない。

たまには長いあとがきもありかなと思い書きました。

ここまで読んでいただいた読者様には感謝!(ハッピースマイルはないです)

それではまた次話で会いましょう!

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― 新着の感想 ―
[一言] もうほぼ恋人だと思ってたけど普通に付き合ってたんか 良き
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