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異世界スペースNo1(ランクB)(EX)(完結編)  作者: マッサン
第1次 旋風覚醒編
92/353

92 雷甲 6

異世界へ転移し、巨大ロボ:ケイオス・ウォリアーの操縦者となった男・ジン。

彼は世界を席巻する魔王軍へ、仲間と共に敢然と立ち向かう。

王都を救い、最強機体の設計図を届けた直後、これまで協力者だった騎士が豹変。

機体を破壊され危機に陥った仲間達。そこにジン達が新たな機体で現れた――。

鬼甲戦隊(きこうせんたい)……オーガリッシュアームドフォース。このジン=ライガ、今日よりその隊長をはらせてもらう。この白銀級機(シルバークラス)・Sサンダーカブトでな」


 灰色の濃い雲の下、黒いボディを包む鎧が赤と銀に輝いていた。

 スマートながら屈強――以前のずんぐりした体型とはまるで違う。だが胸部と肩部の装甲は厚く、マッシブなフォルムを見せている。

 両手両足を守る装甲には、各3つずつの半透明な球体が並ぶ。その球体は(へそ)にも、そして頭部にもあった。

 その頭部には複眼でできた鋭い目と、球体が設置された大きな角があった。Y字型に割れた大きな角の形状を見れば、この機体がその名の通り、カブトムシを(かたど)って造られた事は明らかだった。


『戦う度に生まれ変わるようだな。貴様は……』

 そう呟くマスターウィンドは、どこか喜んでいるようなフシもあった。



「やっちゃえ、ジン!」

 操縦者の肩でリリマナが叫ぶ。

『やれ!』

 マスターウインドも部下に号令をかけた。

 途端に弾と矢の雨が新型機を襲う!

 そしてジンは――死の雨の中へ真っすぐ機体を進めた。


 矢が勢いよく飛び、砲弾が爆発する。そのうち結構な数が当たっている。

 だがSサンダーカブトはその中を歩いていた。動じる事なく、真っすぐに。

『撃て! 撃つのだ!』

 マスターウインドの声が部下達の機体に飛ぶ。


(撃ってるじゃねぇか! こんなに撃ってるじゃねぇか!)

 魔王軍兵の一人、オークの戦士が胸の内で叫んだ。

 どれだけ弾を食らっても前進する相手に、それでも撃ち続けながら。

(なのにあいつは平気じゃねぇか!)


 モニターに表示されるダメージ値は10ばかり――ただ当たったというだけの表記。

 そこから兵士は目を逸らした。見たくなかった。信じたくなかった。


 弾の雨の中、サンダーカブトが何かを取り出した。

 筒が四連、縦に並んでいる。片手持ちのそれを少し離れたBソードアーミーへ向けた。

 次の瞬間、筒が火を吹いた!

 ソードアーミーは穴だらけになり、そして爆発する!



 スウォームマイザー……一種の散弾銃である。

 四つの銃口から放たれた散弾は面で敵を捉え、中距離で絶大な命中率を発揮するのだ。



(こっちは一発じゃねぇか!)

 恐怖に震えるオーク兵。

 その目に、反対側の腕を持ち上げるカブトが映る。

 腕に連なる三つの半球が輝いた。


 そして放たれる三条の電光!

 目も眩む輝きとともに隣にいたBカノンピルバグが射抜かれ、爆発する!

 重装甲の筈の砲撃機が、煙をあげる残骸に成り果て倒れた……。



 ライトニングレイ……古来より攻撃魔法の定番である雷撃を、全身に十四基搭載された発雷結晶(エレクトロオーブ)にてスケールアップして放つ光線砲。

 両手両足に各三基ずつ装備され、三つの雷光が遠距離まで減衰する事無く目標を撃ち抜く。



(こんなのどうにもならないじゃねぇか!)

 絶望に沈むオーク兵の前で、それでもカブトに斬りかかる友軍機があった。

 その操縦者もヤケクソだったのかもしれない。

 だがカブトからの迎え撃つ拳により、強風に煽られた小枝同然に吹き飛ばされた。



 アームドナックル……格闘専用にナックルガードが搭載され、打撃時にスライド・拳へ装備される。量産機にも装備されている兵装だが、強度は段違いに高い。



 離れても駄目、近づいても駄目。

 もはや思考は半ば停止し、オーク兵も、他の兵士も、利かぬ弾を闇雲に撃つだけだ。

 そんな物が通じる筈も無いというのに。


 当たった砲弾の爆発を物ともせず、カブトが構えを大きく開いた。

 腰溜めの両手の、やや開いた両足の、(へそ)の、そして角の――全十四基の発雷結晶(エレクトロオーブ)がスパークする。

 操縦席でリリマナが叫んだ。

「マキシマム! サイクロン!」


 オーク兵は雷光の滝が花開くのを見た。



 マキシマムサイクロン……MAP兵器。同時放射された十四本の電光は、カブトの前方一帯を完全に焼き払う。



 最期に目を焼いた死の輝きの中、オーク兵はその涙さえ焼かれて蒸発する。

(なんなんだよコイツはぁ……!)


 魔王軍兵士は全滅。機体は全て焦げた残骸と化した。

 その中をSサンダーカブトが歩く。


 迫る相手を前に、マスターウインドは感慨深く呟いた。

『お前を殺しておかなかったのは私のミスだ。だが、お前の可能性を考慮したのは間違いでは無かった。お前がこちらに来さえすればな……』


 ジンは応える。

 (おごそ)かとさえ言える声で。

「褒めてくれた礼だ。逃げれば追わない。俺達は急いでいるからよ」


 それに応えるマスターウインドは「フッ」と自嘲気味に笑っていた。

『私も尻に火がついていてな。ここでお前達を倒さねばならん』


 そして、Sフェザーコカトリスが翼を広げた!



マスターウインド レベル30

Sフェザーコカトリス

HP:22500/22500 EN:245/245 装甲:1970 運動:135 照準:185

格 ヘブンズソード    攻撃3500 射程P1―3

射 ブレイドフェザー   攻撃4000 射程2-7

射 ペトリフィケーション 攻撃4500 射程P1-6 機体能力全低下2



『私はこの世界で死ぬわけにはいかんのだ!』

 石化の呪力を秘めた竜巻、ペトリフィケーションがカブトを襲う。


 カブトは右腕を上げた。

 ナックルガードがスライドして拳を覆い、三連の発雷結晶(エレクトロオーブ)がそこに電撃を流す。

 その拳を構え、ジンは敵へと打った!



 サンダーアーム……ジン本人の右腕の威力を、搭載した武装を組み合わせて再現した格闘戦用モード。加撃と共に流れ込む電撃のダブルインパクトが敵を焼き尽くす。



 最強部武器同士のぶつかり合い!

 フェザーコカトリスが吹き飛ばされた。胸部装甲には大きな亀裂が走り、大地に激しく叩きつけられる。

 サンダーカブトは――立っていた。竜巻を受け、全身傷ついてはいる。だがよろめきさえもせずに立っていた。


 マスターウインドはモニターを見た。

 受けたダメージは7700以上。だが与えたダメージは1500少々……!

 フェザーコカトリスのHPが元は20000を超えていても、勝ち目は見えない。


 攻撃を避ければ話は別だが、ジンはスピリットコマンド【ヒット】で捉えてくるだろう。

 それを続けるSPの余力はある筈だ。ジンは魔王軍兵士達を全滅させる際、スピリットコマンドを()()()使()()()()()()のだから……。


 マスターウインドはフェザーコカトリスを飛ばした。相手の最強武器が格闘用なら、飛ぶ事でそれから逃れられると踏んで、上空へ。


 だが、カブトの背に翅が展開した。

 半透明の翅を広げ、空へと飛ぶ!

(飛行能力もあるのか……!)

 歯軋りするマスターウインド。


 実は飛べはするのだが、空の適応は高くない。移動の補助に使うための機能なのだ。

 だが上空にいる敵を捉えるには十分に役に立つ。


 天で再び激突する二機!

 そして、コカトリスはまたも落ちた。今度はギリギリで体勢を立て直すものの、着地して膝をつく。

 カブトも地に降りた。こちらは相手を追って、操縦者の意思で、両の足で。


『次で……決まるか……』

 苦しい息を吐いて呟くマスターウインド。

 その結果は既にわかってはいたが。

「ああ。決めるからよ」

 ジンは応えた。

 三度、カブトの右腕が電撃を帯びる。


 コカトリスが最後の竜巻を放った。

 その中に飛び込み、カブト渾身のストレートが放たれた。

 風を蹴散らし、電光が貫く!


 竜巻が消えた。

 コカトリスは胸部を穿たれ、全身から火花をあげていた。

 カブトは敵の胸から拳を引き抜く。

 リリマナが叫んだ。

「いち・にい・さん!」


(サンダー)キック……!」


 機体と一体化し、ジンはとどめを放つ。

 足の発雷結晶(エレクトロオーブ)が放電した。撥ねるように回る足。電撃を帯びた高角度の回し蹴りが炸裂する!

 それはコカトリスの頭部を捉え、薙ぎ倒し、地面で盛大な爆発を起こさせた。


 決着はついた。

 


 頭の無くなった機体から脱出装置で弾き出されたマスターウインドは荒野に転がる。

 彼は己に背を向けるSサンダーカブトを見た。

 手持ちの小型通信機で問いかける。

『とどめはどうした……?』


 カブトは仲間の二機を両の肩に担ぐ。

「お前には何度か見逃されたからな。俺は人間できてねぇからこの一度しか借りは返さないが」

 そう言い残し、ジンは艦へ向かい、戦場を去った。



「逃げれば見逃すって言ったのに、戦っても助けちゃうんだ?」

 ジンの肩でリリマナが茶化す。

 だがジンは涼しい顔だ。

「その二つに矛盾は無えよ」

機体解説


Sサンダーカブト


スイデン国の最新鋭白銀級機。

同国で望みうる最新・最高の技術と部品が可能な限り投入されており、人の技術で造れる物としては現時点の限界に近い。

国家存亡のかかった非常事態下で、クロカが怒りに任せて出したありったけの要求を王が全て通したために実現した、ある意味奇跡の機体。

全壊したBCカノンピルバグを土台としているため、装甲と砲撃能力を重視して造られている。

だが右腕には射撃武器にまわすためのエネルギーを流用した帯電能力を持たせてあり、操縦者の右腕の変化・状態を増幅して反映できるようにしてある。これは操縦者がジンである事を想定して造られた機能である。


HP:9000/9000 EN:300/300 装甲:2900 運動:140 照準:210

EN回復(小)

格 アームドナックル        攻撃4600 射程P1―2

射 スウォームマイザー       攻撃4700 射程1―5

射 マキシマムサイクロン(MAP) 攻撃5000 前方扇状1-5

射 ライトニングレイ        攻撃5600 射程1-7

格 サンダーアーム         攻撃6000 射程P1―2

(上記能力は10段階改造、カスタムボーナス込み。実際はこれに強化パーツが影響する)

5段階改造カスタムボーナス

・装甲+300

・EN回復(小)※一定時間ごとにENが最大値の10%回復する。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 天が呼ぶ地が呼ぶ人が呼ぶ! 悪を倒せと俺を呼ぶ!! [一言] 格 サンダーキック 攻撃9000 射程P1 要気力130 あたりが抜けてませんかの?(笑)
[一言] 途中までダンバインのイメージだったのに、 サンダーキックでストロンガーに変わった。
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