8 魔城 1
地球から異世界へ転移したジン。
到着早々戦闘に巻き込まれ、巨大なロボット兵器に乗る事になる。
勇気と闘志で勝利を掴んだその時、世界の片隅では歪みが胎動していた――。
最も巨大な大陸に、険しい山々が連なる壁で文明圏から隔絶された地がある。
一年中吹雪が吹き荒れ、それが止んだ時だけ白銀に輝く美しくも生の無き死の幻想世界が姿を現す大地が。
雪と氷と暗雲が覆う、標高四千メートルを超えた、平地としてはこの世界でも最高度となる、誰も顧みない僻地の中の僻地。
そこに巨大な城塞があった。
禍々しく、ねじくれ、悪意と邪悪で塗り固められた、途方もなく巨大な城塞が。
この世界にある国家全ての敵である魔王軍……その首領が住まう城が。
石柱が立ち並ぶ、暗く巨大な、神殿のごとき部屋。
そこに四つの人影があった。
四つとも、背も体格も全く同じに見える。
四つとも、フード付きのローブを身に纏い、顔かたちは全くわからない。
青いフードローブを纏った者が静かな声で告げる。
「報告があった。マスターミクスドの砦跡に入った者達がいたと。スイデン国の調査隊だそうだ」
「それで?」
紫のフードローブを纏った者が訊いた。
青いフードローブが答える。
「指示を待つ、と」
黄色いフードローブを纏った者が大声で怒鳴った。
「阿呆か! 指をくわえて見ていて何になる! その場で皆殺しにしてから報告だろうが!」
だが赤いフードローブを纏った者が口を挟む。
「いや……万が一返り討ちにあった場合、本部は何も知らぬまま放置する事になる。まず報告というのは間違いではない」
黄色いローブは納得しかねたようだ。
「実にくだらん! それもこれも、お前の部下が貴重な物を勝手に抱え込んだのがいかんのだ! どう責任を取る?」
苛立った声を紫のローブへと向けた。
言われた方は……涼しい声で、どこか小馬鹿にしたような口調で答える。
「部下が勝手にやった事なのでな。まぁケジメをつけろというなら、こちらの手の者に回収させよう。任せてもらおうか」
しかしその言い分に、黄色いローブは慌てて口を挟んだ。
「待て! 回収は俺の部下にやらせる。責任を感じるなら引っ込んでおけ」
「ほう? こちらがやるのが筋ではないかと思うがな……」
紫のローブはやはり余裕をもった声で言うが、どこか強硬な響きもある。
どちらも、自分の手の者を差し向けたいのだ。
譲りたく無いのだ。
険悪な空気が両者の間に満ちた。何らかの攻撃がいつ放たれてもおかしくない、殺気さえある威圧感が。
だが赤いローブが一喝した。
「二人とも止めんか! 一刻も早く現場へ行ける者を向かわせればいい。報告してきたマスターウインドに……いや、奴は部下を失ったばかりで手駒が無いか」
話を進めてしまう赤いローブへ、黄色と紫の間に満ちていた敵意は流れていく。
でしゃばり、割り込んだ者への苛立ち故に。
だが赤いローブはそんな物を意に介していなかった。全く気にせず、作戦の段どりを考えようとする。
それが余計に黄色と紫の敵意を掻き立てた。
そこへ青いローブの、落ち着いた静かな声。
「ならば私の部下だな。既に近くへ行くよう指示も出してある。そのまま攻撃するよう、追って命令しておこう」
黄色いローブの殺気は一転して青いローブへ向けられた。
「貴様! 始めからそのつもりで!」
しかし赤いローブがまたもや口を挟む。
「この際だ、仕方あるまい。最寄りの適当な部隊に足止めも命令しておこう。スイデンの調査隊ならば本国に帰るはず。進路を割り出すのは難しくない筈だ。マスターウインドは部下を補充するまで砦跡の探索……その調査隊がもし見落としていれば、躍起になって追う必要も無いのだからな」
人類の生息圏から遠く離れた、この時代の邪悪の中枢。
吹雪が吹きつける城塞の、その中の奥で。
ジン達の行く手を遮る死の遣いが送られる事が、こうして決まった。
デビルGUンダム四天王って今考えるとそこそこ近いレベルの強さで纏まってたんじゃねーかな。
マスターが一段格上なのは仕方ないとして、一番弱そうな鳥の奴でもゴッドフィンガーが全く通じない程度の強さはあったし。
まぁその四天王の別の一機はヒロインの弓で爆発するんだけどな。
あのボール玉が鳥より弱いのか、ヒロインの弓が主人公後継機の初期必殺技より強いのか。謎。