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異世界スペースNo1(ランクB)(EX)(完結編)  作者: マッサン
第1次 旋風覚醒編
58/353

58 新生 5

異世界へ転移し、巨大ロボ:ケイオス・ウォリアーの操縦者となった男・ジン。

彼は世界を席巻する魔王軍へ、仲間と共に敢然と立ち向かう。

この世界最強の兵器の設計図を運ぶ彼らを襲ったのは、その最強兵器に乗った魔王軍の将軍だった。

辛くも生き延びたジン達を敵が追撃する。だがジン達には既に新たな力があった――。

 ジンのとった行動は――全機、北上する事だった。


 操縦席で「フン」と鼻をならすマスタークレバー。

(やはりこちらに移動してきたか……遠距離攻撃を得意とする私との間合いを詰めるために。だがそうしている間にも、Sカタールスミロドンは貴様らを背後から切り刻む!)


 だがしかし。

 その背後から追いかけるカタールスミロドンへ、ジン達三機がいっせいに振り向く。

 そして――

『トライシュートォ!』

 ナイナイの掛け声で、三機同時射撃の合体技が放たれた。


 見事に命中し、三発の弾丸がスミロドンを撃ち抜く! 『ギャオォン!』と悲鳴をあげて吹き飛ぶ 白銀級機(シルバークラス)

『むう!?』

 驚愕するマスタークレバー。

 モニターに表示されたダメージは5600以上……その威力は明らかに、親衛隊達が知る過去の情報を超えていた!



射撃 トライシュート 攻撃5300 射程1―6 戦意(モラール)110 消費40



 そう……出力そのものの上昇により、合体技の威力もまた上がっていたのである。


 攻撃を仕掛けるのはジン達だけでは無かった。

 戦艦Cガストニアのブリッジでヴァルキュリナが叫ぶ。

『ファイヤーブレス! てーッ!』

 竜の吐き出す息(ドラゴンブレス)が炎の奔流となり、スミロドンを焼いた。4000を超えるダメージがブリッジのモニターに映される。


 親衛隊マスターマッドは回避を得意とする操縦者であり、Sカタールスミロドンは運動性に優れる機体である。

 だが命中率・回避率を30%上昇させるスピリットコマンド【コンセントレーション】をナイナイは習得しており、Cガストニアのブリッジには攻撃を必中にする【ヒット】を習得しているクロカがいた。

(よ、よし! なんとか当てるほう補正できたぞ……)

 ブリッジクルーに予測した敵の回避軌道を伝えたクロカは、仕事が果たせて薄い胸を撫でおろしていた。


「そして……トドメだ。トライシュートッ!」

 ジンの掛け声で再び放たれる合体技。ジン自身の【ヒット】により敵を的確に捉えたその攻撃は、再び5600以上のダメージを叩きだした。スミロドンから『ギャオォン!』と悲鳴があがる。


 スミロドンは爆発した。

 一瞬だけ立ったまま動こうとし、叶わずに……。



『マスターマッド!?』

 驚愕するマスタークレバー。

 だがジンにとっては驚く程の結果ではない。

(奴は攻撃が強力でも防御スキルは無かった。カウンターを得意としていても肝心の射程が短い。間合いと位置取りさえ注意すれば、能力を下げずとも倒せる)

 ジンは機体を振り向かせた。残る最後の敵機、Sダイヤハーキュリーへと。

(残るはお前だ)


『おのれ……ならば私にはどうするのか見せてもらおうか!』

 ダイヤハーキュリーの、その名の通り宝石のごとき輝きを放つ兜。その下の両眼から光線が放たれた! 発射直後に太く膨れ上がったその光線は、ケイオス・ウォリアーの上半身を丸ごと呑み込むほどの膨大なエネルギーの奔流となる!

 必殺のその光線が、ナイナイ機を焼き払おうとした。


 だがそこに割り込むジンのBCカノンピルバグ!

 光の束の中、火花が無数に飛び散り、機体が高熱に(あぶ)られる。

 しかし――光線が通り過ぎた後、カノンピルバグは上体から煙をあげながらも立っていた。両腕を交差させた、防御に徹した姿勢で。

「ふう、冷や汗かいたァ!」

「ま、ガードに入るのは俺の仕事の定番だからよ」

 操縦席で軽口を叩きあうリリマナとジン。


 操縦席で歯がみするマスタークレバー。

(奴め、既にかなりのダメージを受けているのに! 防御したとはいえSダイヤハーキュリー最大の武器に耐えるとは……。装甲の厚さもあるが――奴自身の底力も侮れん)

 ケイオス・ウォリアーは操縦者の持つエネルギーに大きな影響を受ける。損傷により追い込まれつつあるが――いや、だからこそ――BCカノンピルバグの装甲は、今のジンの闘争心と戦意を受けて数値以上の防御力を発揮しているのだ。

 自身も高いケイオスレベルの持ち主ゆえに、マスタークレバーはそれを察した。


「でも流石にヤバいよ、ジン!」

 モニターを見て声を上げるリリマナ。

 表示されている現在HPはもう1000少々しかない。

「ああ……だが俺なりに考えてある。ヴァルキュリナ! 回復アイテムを!」

 ジンが叫ぶ。後半は通信機へ、母艦に向かって。

『わかった! リペアータンク、使用!』

 ヴァルキュリナが指示を飛ばす声が聞こえた。

 すぐに艦から小さな飛行物体が射出される。それは人間サイズの甲虫――金属板で造られた人造物だが――だった。


 甲虫はジン機にとりつき、腹部を開く。中には緑色に輝く透き通った球体が収納されており、それがジン機の腰部にあるアイテム収納部へ入れられた。

 すぐにジン機の全身を淡い緑の輝きが包む。瞬く間に塞がっていく装甲の損傷。

 操縦席のモニタでは、HP表示が完全回復を示していた。


 球体が回復・修復魔法を応用して造られた、応急修理用のアイテム【リペアータンク】。

 それを運んだのは小型ゴーレムの一種「サプライトル」。短距離の運搬しかできないが、飛行能力と制作コストの安さ故に戦闘中のアイテム受け渡し用の装備として使われている。

 このゴーレムを操作・運用するスキルが、この世界の戦場では【パーツ供給】という名で知られていた。ジンはそれをヴァルキュリナに習得するよう、クロカを通して頼んでいたのである。


 ジン自身はSP回復アイテム【ミッドナイトポーション】を一気飲み。【プロテクション】や【ヒット】のために消費したSPを取り戻していた。

 そして叫ぶ。

「そして【ウィークン】は……こっちにだ! リリマナ!」

「おっけー!」

 二人からスピリットコマンドが放たれ、不可視の大口がSダイヤハーキュリーを包んだ。

『クッ……私の【ガード3】を抑える気か!』

 奪われてゆく気力を感じて呻くマスタークレバー。

 だがそんな言葉には応えず機体を操作するジン。

 機体が装備していたアイテム【リカバータンク】からエネルギーが流れ込み、機体のENが回復していく。


 機体に装備できる容量には限界がある。

 ジンはそれを打開するため、ヴァルキュリナに新たなスキルを任せ、母艦の運搬車としての性能を高めてもらったのだ。


 さらに指示を出すジン。

「クロカ! 【アナライズ】だ!」

『え? あ? お、おう!』

 慌てながらもクロカは己のスピリットコマンドを放ち、同時にブリッジのモニターを一つ操作する。

 そこで得たデータを急いでジン達三機へと送信した。


 送られたデータは――敵機の分析データ。機体の最も脆い部分を見抜き、指示した物である。

「見えたぜ! 雨だれが穿つべき岩の一点!」

 そして放つ合体技、トライシュート!

 ダイヤハーキュリーの胸部装甲の継ぎ目にその三発が突き刺さる。モニターには5800を超えるダメージが表示された。

 大ダメージを受けて怯む巨人型機。


 それに向けて、ジンは機体を走らせた。【ヒット&アサルト】のスキルを活かし、射撃直後にバランスを取り戻させて。

 その横にはナイナイ機が、そしてダインスケン機もついてきている!


『ケケェー!!』

 ダインスケンが吠えた。

 それが新たなる合体技の掛け声だと、ジンとナイナイは一瞬で理解した。

 戦闘画面に新コンビネーションが武器として表示される!



格闘 トリプルウェーブ 攻撃5800 射程P1―3 戦意(モラール)120 消費45



 ジンのBCカノンピルバグがメイスを槍のように構え、肩から渾身の体当たりを叩きこんだ! 後方へ大きく仰け反る敵機。

 間髪いれずナイナイのBCバイブグンザリが飛び込む! ジン機の横を駆け抜け、ナックルガードで守られた正拳を敵機へ打ち込んだ。

 二連打で敵機の装甲に亀裂が走る。そこめがけて跳び込むダインスケンのBCクローリザード! 手甲(ガントレット)から生えた刃を用い、鋭利な手刀で敵機を深々と切り裂いた。


 流れるような三連撃。途切れる事なく放たれる攻撃の波は、6900を超えるダメージをモニターに表示させた。


『ま、まだ……倒れたわけでは、ない……』

「お前はここで止まれ!」

 呻くマスタークレバーに怒鳴るジン。


 そして重傷のSダイヤハーキュリーへ、戦艦Cガストニアが駆ける。

『ドラゴンタックル! 突撃!』

 地響きを立てて走る巨竜。その足が浮き、浮遊魔法を使ったホバリング能力で短時間・短距離だけ宙を滑る。頑丈な装甲版に覆われた背中、そこに列をなす剣呑な刃。ガストニアは巨大な凶器となって敵機へ飛んだ!


 それが激突し、ダイヤハーキュリーは砕けた破片をまき散らしながら宙に舞った。

『グ、ガハァッ!!』

 断末魔をあげ、大きく吹っ飛び、敵機は大地に叩きつけられる。

 爆発が起こり、四肢がバラバラに飛んで行った。


 もしガストニアが修理機能や補給機能を使っていたら、このタイミングでは攻撃できなかっただろう。

 修理用のアームや補給用の燃料パイプを外にいる機体へ接続しての作業には、どうしても多少の時間はかかる……だがある程度は自動で動くゴーレムに任せていれば、話は別だ。

 修理や補給の機能は使うが、ここぞという時に速攻をかける――そのために、ジンはヴァルキュリナへ新たなスキルの習得を依頼しておいたのだ。


 マスタークレバーは脱出していた。

 だが重傷をおっており、大地に伏している。

 簡易の通信機は持っているらしく、ジンにその声が届いた。

白銀級機(シルバークラス)二機には……勝てぬはずではなかったのか……』

「そりゃ昨日までの話だからよ」

 ジンの返事は聞こえただろうか。

 敵からの応答は無かった。

残念だが今日はプレイできなさそうだ……

休日……休日にかけろ……


「明日に」と書けない現状!

怒りの炎が天を突き破る!廃墟の中から立ち上がれ、俺!

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― 新着の感想 ―
[一言] 社会人はつらいよ。 悲しいけど、これ、趣味なのよね……。
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