56 新生 3
異世界へ転移し、巨大ロボ:ケイオス・ウォリアーの操縦者となった男・ジン。
彼は世界を席巻する魔王軍へ、仲間と共に敢然と立ち向かう。
この世界最強の兵器の設計図を運ぶ彼らを襲ったのは、その最強兵器に乗った魔王軍の将軍だった。
絶体絶命の状況から辛くも生き延びたジン達は、生き延びるために新たな手段を探る――。
新たに旅が再開され、数日。
Cガストニアは山間部や森の中など、わざと進む速度の遅いルートを通っていた。
理由は単純、見つかり難さを優先していたからである。
クルーにはどこかの基地で降りたがっている者も少なくないが、正式な手続きができてスイデン国外にある基地となると、近くには無かった。結局スイデン国へ直接向かうのが一番早く、それを言い聞かされ、不満を持つクルー達も表向きはきちんと働いていた。
そういうわけで、艦の雰囲気は決して良くない。
だがそんな事はお構いなしに、ジン達は特訓を続けていた。
パンゴリンに有った物と全く同じ訓練室の、魔法によるシミュレーター。午前中はそれに座り、互いの連携をより高めるべく練習に励む。
午後は格納庫に出向き、自機の各種点検や運転を行う。
ロクな娯楽もない毎日だったが、ジン達に嫌気や倦怠感は見られなかった。
もうじき、来る。そんな予感が三人にはあったからだ。
そしてついに……ある日、午前訓練の途中で。
艦内に警報が鳴り響いた。敵襲を意味する音が!
「おいでなすったか……」
言ってジンは座席から立ち上がる。慌てた様子など全く無い。
「もう、このままこっちに気づかなければいいのにィ!」
「こんな大きい物が動いてるんだし、仕方ないよ」
愚痴るリリマナを宥めるナイナイも同様だ。一波乱も無く安全な所にたどり着けるなど、始めから全く期待していなかった。
三人が格納庫に走り込むと、クロカ達整備班がジン達の機体を調整していた。
操縦席へ真っすぐ向かうジンに声をかける。
「模擬戦闘もしないで大丈夫か?」
「慣らし運転は何回かさせてもらったからよ。初陣を思えば恵まれたもんだ」
ジンの目の前にある自機――それはもうランクBの量産機では無かった……!
体を覆うアーマーが違う。白銀級機の鎧のような、今までとは一線を画す強度と輝きを誇る物に。肩当ては大きくなり、生体部品が露出していた腹部も装甲で守られている。
左の手甲には半透明の半球が三つ埋め込まれている。肩に背負っていた大砲は背中に回され、腰には鈍器が装備されていた。
生まれ変わった機体の操縦席に飛び込むジン。
「じゃあブリッジは頼むぞクロカ。あのスキルもヴァルキュリナに渡しておいてくれ」
「はいはい、わかったよ……」
不承不承、了解するクロカ。
話しているとジンの肩にリリマナが飛んできて座った。ジンはシートベルトを締めるとハッチを閉じる。
「こちらジン、出るぞ!」
クロカは機体から離れ、格納庫の扉が開き、小さな木々が目の前を流れていく。
その中へジンのケイオス・ウォリアーは飛び降りた!
木々を押しのけ、重々しく着地するジンの機体。すぐにナイナイ機もダインスケン機も飛び出してきた。
三機が着地してからガストニアも足を止める。
そこへヴァルキュリナの焦り声が、通信機ごしに響いた。
『敵は南北に展開している。挟まれたぞ!』
ジンは戦闘MAPで確認した。
十機程度ずつ……同じ数だけ、二つの部隊が自分達を挟んで展開しているのを。
それぞれの後ろには隊長機であろう機影が1機ずついるのを。
その隊長機の一つから『ガハハハ』と笑い声が届いた。
『愚かな連中だ。どうせ逃げるなら黄金級機設計図を差し出しておれば見逃してもらえたものを。その愚行が我ら二人、魔王軍陸戦大隊最強の親衛隊に息の根を止められる事に繋がったのだ』
己の強さを全く疑わない声。モニターにはギリシャ兵のような兜を被った男が映った。
半ば呆れてジンは訊き返す。
「最強なのに二人なのかよ」
『親衛隊には一人でその強さを誇る者も多いが、我らは二人組での最強に君臨するのでな』
誇らしげに相手は答え、もう片方からも『ギャオォン!』と獣のような声が届いた。こちらは虎の獣人がモニターに映る。
自称最強タッグの部下達が進軍を開始した。
巨人と猛獣のBクラス機混成部隊が、南北から同時に襲い掛かってくるのだ。
『ジン! いっせいに来るよ!』
「チッ、固まって迎え撃つぞ!」
ナイナイにそう指示を返し、ジンはいつも通り、艦を中心とした援護陣形を組む。
それを見て再び『ガハハハ』と笑う北側の隊長機。
『このマスタークレバーの冷静なコンビネーションをそれで凌げるかな?』
「お前らはバラバラに後ろで見てるだけじゃねぇか」
少し苛つきながら指摘するジン。だが北側の隊長――マスタークレバーは自信をもって言う。
『まだわからんか。挟み撃ちして壁を作る事を許さず、露出した弱い所を一早く叩く! 低HPの機体から順に次々と討ち取られる恐怖……降伏をするなら早い方が良いと忠告しておいてやろう!』
昔プレイしたゲームを思い出し、ピンと来るジン。
「ああ……脆い奴をまず狙うルーチンで動くのな……」
そしてマスタークレバーの言った通り、巨人型機の矢も猛獣型機の投げ短剣も、次々とナイナイの機体に向けられた!
『わわっ、なんか僕が狙われてる!?』
慌てふためき、回避に、防御に徹するナイナイ。
そこに割り込んでナイナイ機を庇いながら、ジンは味方に指示を飛ばす。
「今から陣形を組みなおしてくれ!」
少し離れて北の山裾に機体を立たせる立つマスタークレバー。
彼は操縦席のモニタで、ジン達が東側へ移動するのを確認していた。
もちろん魔王軍もそれを追う。極力、北側と南側から挟み込むようなルートを選んで。
それに対し、ジン達は北西に一機、南西に一機を置いて迎え撃つようだ。
(ほう……壁二枚で南北両側の部隊を止める気か。だが北側の、あのカノンピルバグは一機で持ちこたえられるかな?)
南側には残りの二機も向かい、援護しながら戦う気が見える。
だが北側は単騎――ジンの機体しかいないのだ。
ジン達がチーム単位での戦いを重視すると聞いていたので、マスタークレバーは何かあるのではと疑いを持った。
だが既に両軍はぶつかり始めている。
「脆い奴から狙え」と配下の兵達には指示を出したものの、攻撃範囲内にいるのが一機だけなら、当然、兵達はその一機へ襲い掛かる。
北側のジン機を、兵達の集中砲火が襲った。
しかし――!
『おお! 一機でビクともせんとは!?』
兜の下の目を見開くマスタークレバー!
飛んで来る矢と短剣の雨がジン機に装甲に次々と突き刺さる。
だがそれらはことごとく折れ、地面に落ちるのみだ。装甲に傷が入らないわけではないが、それはジン機を打ち倒す事はできない。
振動の中、モニターの戦闘ウインドに映るダメージ表記は――200から300程度。
ジンが習得したスピリットコマンド【プロテクション】の威力により、短時間とはいえその乗機は鉄壁の堅さを誇るのだ!
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ジン=ライガ レベル17
格闘180 射撃178 技量201 防御162 回避108 命中124 SP94
ケイオス3 底力7 援護攻撃1 援護防御1 H&A
スピリットコマンド【スカウト】【ウィークン】【ヒット】【プロテクション】
妖精
※【プロテクション】短時間の間、被ダメージを25%に軽減する。
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射撃武器の雨霰の中、ジン機は敵へ反撃を繰り返す。それらはことごとく敵を捉え、激しい火花を上げ続けた!
TEッ血がDLCか……DDで本20入れてベンチ送りになっているBAルバトスをあっちで活躍させますかね。
しかしまぁ相変わらず枠がいくつあっても足りないゲームじゃわい。
BUレイブポリス全機出したら後いくつ枠が残るのやら。




