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異世界スペースNo1(ランクB)(EX)(完結編)  作者: マッサン
第1次 旋風覚醒編
5/353

5 召喚 5

地球から異世界へ転移したジン。

到着早々戦闘に巻き込まれ、巨大なロボット兵器に乗る事になる。

同じ境遇の仲間達が次々と駆け付け、彼らと共に敢然と敵へ立ち向かうのだった――。

(ゲームなら……初出撃の一面なんぞ、主役機サマが敵を蹴散らす演出ステージなもんだが……地形効果で身を守っての泥臭い撃ち合いで、回復しながらの耐久合戦から始まるとはな! そういう時代も有りはしたがよ)

 心の中で愚痴りながら、ジンは味方とともに敵機と砲火を交える。


 ナイナイ機を狙った弾が飛んで来た。これは当たる! と直感し、ジンは防御態勢をとって自分の機体を割り込ませる。衝撃が走りモニターにダメージが表示されたが、ナイナイ機は無傷だ。

『あ、ありがと……』

「この機体は装甲厚めだからよ」

 お礼の言葉に軽口を返しつつ、ジンは敵へ砲撃を加える。それを食らってよろめく敵機へ、間髪いれずダインスケン機が跳びかかった。その爪が敵を切り裂きトドメを刺す。


 戦いながら、ジンは自分達の事を理解してきた。

(自分でも驚きだが、他人の攻撃に被せた追撃も、被弾に割り込んでのカバーリングも狙い通りにできる。このテクニックが援護攻撃とか援護防御とかのスキルってわけか。そして俺同様、この二人もそのスキルを持っているようだな)

 ジンが撃った敵にナイナイ機が追加で光輪を撃ち込み、撃墜する。各機がバラバラに攻めてくる敵機は、数で同じでもジン達に叶うわけもなかった。


 第二波が全て倒され、廃墟の側に残骸を晒す。

 だがその向こう――最後の、第三波が迫ってきた。


『修理装置は使ってるけど、やっぱりダメージは溜まっていくよお……』

 ナイナイが弱音を吐く。魔法仕込みの回復装置とはいえ、激戦の最中で複数機のダメージを帳消しにするのは難しかった。

「そうか。ちと聞きたいが、お前ら、スピリットコマンドは何をもってる?」

『ゲッゲー』

 ジンが訊ねるとダインスケンが鳴いた。意味はよくわからない。一方、ナイナイは……

『僕は【フォーチュン】だって。敵からの資金が二倍になる、て……どういう事?』

 思わぬ報告に、顔の右半分で喜び左半分でがっかりするジン。ゲームでは非常に大事なコマンドだが、今は攻撃に使える技が欲しかった。

 ともかく彼は告げる。

「まぁ大体わかった。案があるから従ってくれ」


 そして第三波の敵三機が廃墟の側へ来た。

 その時、ジン達三機は横一列に並んで敵を迎え撃つ。守りの要の廃墟から飛び出して、だ!

『出てきタ?』

 魔王軍兵士は一瞬戸惑ったが、攻撃をやめるわけもない。三対三で正面からぶつかり合う! 互いに傷つくが、既に損傷しているジン達三機が明らかに不利だ。


 それでもこの戦い方を選んだのは――

「今だ! 頼む!」

『わ、わかった!』

 ジンの指示でナイナイは最強の武器を発射した。

 広範囲攻撃武器・インパルスウェーブ! 長い魚頭の左右に、三対の湾曲したアンテナが展開する。それが輝き、アンテナ間にエネルギーの膜を張った。力場の傘から噴射する魔力が、大地を、空気を、その範囲内にいる物を高周波振動で分解する!

 多少とはいえダメージを受けていた敵機はそれに耐える事ができなかった。魔力の輝きの中で崩れ、爆発を起こす。巨人兵士二機、ジン機と同型の妖虫型機一機はまとめて砕け散った。


 ジンがフォーメーションを変えるよう指示したのは、消耗戦を続ける余力が際どいとみて、残る敵を一掃できるよう、広範囲武器――MAP兵器の射界に誘導するためだったのだ。


「さて……残るは一機だが……」

 呟くジン。その視線が向く先は――離れた森の入り口。

そこにはこちらを窺う、鳥の頭と翼を持つ機体がいた。


(後方にいるという事は指揮官機か? 攻めてこないなら……先ずは……)

 ジンは精神を集中した。初めて試す、異界の力。

「スピリットコマンド……【スカウト】!」

 とりあえず言葉に出して言ってみた。実のところ発声は全く必要無いのだが、それは有ってはいけないという意味ではない。ジンの精神力に呼応し、モニターに敵機のデータが映る。



マスターウインド レベル15

Sフェザーコカトリス

HP:15000/15000 EN:200/200 装甲:1700 運動:120 照準:155

格 ヘブンズソード    攻撃3200 射程P1―3

射 ブレイドフェザー   攻撃3700 射程2-7

射 ペトリフィケーション 攻撃4200 射程P1-6 機体能力全低下2



「いやフザケんなよ!? どこから突っ込めばいいんだ!?」

 叫ぶジン。抗議しなければ気が済まないぐらい自機と差がある。

「うわちゃー……マスターかァ。あれ、魔王軍幹部の直下、親衛隊だよ。地位で言うなら上から三番目というかさ……」

 リリマナが引きつった顔で説明する。

「機体の名前の記号、あれはケイオス・ウォリアーのランクなの。ジンが乗ってる『B』は青銅(ブロンズ)、最低ランクを意味する量産型なのね。あいつの『S』はその上の白銀(シルバー)級、一機しかない専用機なんだ」


 それを聞いてげんなりするジン。

「なるほど。ランクBとランクSじゃ神とムシケラの差がありそうだな。それにしても全ステ完敗かよ……」

 そんな所まで昔から遊んでいたゲームそっくりである。

「スピリットコマンドの使用に制限をかける事で機体性能を上げる呪法があるから、それを使ってるんだと思う。代々、魔王軍はそれを好むの。普通だと絶対到達できないレベルの機体性能が実現できるから。多分……もとのHPはあれの半分以下だと思うよ」

 親切に教えてくれるリリマナ。別に現状が変わるわけではないが。


「どちらにしろ、こっち三機でも勝てる気がしねぇからよ……」

 正直、ジンにはどうしていいかわからなかった。逃げるしかないが、この世界で目覚めたばかり。どこへ行けば何があるのか、まるで知らないのだ。

(こんな酷い異世界転移をした奴がいるか? いや……主人公の引き立て役モブにならいるか。『元の世界でもどうでもいい存在だった男、異世界でもどうでもいいBランクなので死にます』てなタイトルで一発ネタの短編にしかならねぇ)

 頭の中でくだらない事を、完全に諦めて考えるジン。


 そして――敵機は翼を広げた。

 来るか!とジン達の三機が身構える。

 それを前に、敵機は大空へと飛び立った。その姿が瞬く間に雲の間へ消える。


「……あ……顔見世イベント、か?」

 空を見上げ、ジンは半ば呆けて呟いた。

WIンキー時代の第二次とか第三次とかやると、一面から普通に戦わされて時代を感じる。

まぁ当時はチュートリアルだけに一面造るのは贅沢だったというか……。



機体解説


Sフェザーコカトリス

鳥の頭と巨大な翼をもつケイオス・ウォリアー。

マッハ9で空を飛び、羽を撃ちだして敵を攻撃する。

機体内の石化袋には石化液が濃縮されており、これを散布しながら羽手裏剣を大量に撃ちだすのが最大の攻撃。

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