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異世界スペースNo1(ランクB)(EX)(完結編)  作者: マッサン
第1次 旋風覚醒編
42/353

42 魔城 5

異世界へ転移し、巨大ロボ:ケイオス・ウォリアーの操縦者となった男・ジン。

彼は世界を席巻する魔王軍へ、仲間と共に敢然と立ち向かう。

スイデンの精鋭騎士隊は壊滅、敵はジン達がこの世界最強の兵器の設計図を運んでいる事を明かす。

全てに納得したわけではないが、それでもジン達は設計図の運搬を引き受けるのだった。

 最も巨大な大陸に、険しい山々が連なる壁で文明圏から隔絶された地がある。

 一年中吹雪が吹き荒れ、それが止んだ時だけ白銀に輝く美しくも生の無き死の幻想世界が姿を現す大地が。

 雪と氷と暗雲が覆う、標高四千メートルを超えた、平地としてはこの世界でも最高度となる、誰も顧みない僻地の中の僻地。

 そこに巨大な城塞があった。


 禍々しく、ねじくれ、悪意と邪悪で塗り固められた、途方もなく巨大な城塞が。

 この世界にある国家全ての敵である魔王軍……その首領が住まう城が。



 石柱が立ち並ぶ、暗く巨大な、神殿のごとき部屋。

 そこに四つの人影があった。

 四つとも、背も体格も全く同じに見える。

 四つとも、フード付きのローブを身に纏い、顔かたちは全くわからない。


 青いフードローブが静かに言う。赤いフードローブの方を向いて。

黄金級機(ゴールドクラス)の設計図を取り返すチャンスをわざわざ保留してやるとは。どういう策なのか……」

 赤いフードローブは事も無げに答えた。

「策というほどの事でもない。今あの艦を護衛しているのは我が軍が造った兵士だ。腕も悪くない。こちらに戻せるなら戻せば役に立つ」

 黄色いフードローブが、ふんと鼻を鳴らした。

「まぁブチ殺すのはいつでもできる。だがさっさと始末した方が話は早いだろうに」


 それを聞いて、紫のフードローブが柱にもたれたまま小馬鹿にしたように笑った。

「もっと寛容になったらどうだ。手柄を……設計図を獲るため割り込むチャンスができた事を喜んでもいいのだぞ」

 黄色いフードローブが紫を睨んだ。

「そうしたいのはお前だろうが。違うか?」


 そう言われた紫のフードローブは……ククク、と含み笑いを漏らした。

 他の三人が紫をしばし窺う。その真意がいまいち掴めずに。

「そう思うならそれでいいではないか。ああ、そうだとも。そう認めれば満足するのだろう?」

 実におかしそうに、紫のフードローブは笑いながら言う。


 赤いフードローブが呟いた。

「何か別の考えがあるようだな……」

 黄色いフードローブが怒鳴る。

「言いたい事があるならハッキリ言え!」

 だが紫のフードローブは、柱にもたれるのをやめて、静かに言った。

「設計図が手に入れば、そのままここに持ってくるのか? もし造る事ができれば――我ら四軍団の戦力は、拮抗している状態が崩れる事になるわけだが」


 他の三人は黙った。

 それを考えなかったわけがない。

 設計図を手に入れる事、それは魔王軍において他の三軍を凌駕する最強の軍になれるという事でもある。


 だからそれは口にしなかった。

 あえて考えていないふりを、お互いにしていたのだ。

 

 やがて、赤いフードローブが静かに言った。

黄金級機(ゴールドクラス)の材料が、そう易々と手に入るわけがあるまい。それはそちらもわかっているはず。つまらん事を考えるのは自由だが、こちらの邪魔だけは遠慮してもらおう。作戦はまだ継続しているのだからな」

 黄色いフードローブが声を荒げた。

「何を呑気な! 多少見どころのある奴らがいてそいつらが欲しいというなら、叩きのめして降伏させてから我が軍につくかどうか聞けばいいのだ。それでもグズグズしているなら、それこそこちらは勝手にさせてもらう。肝心なのは設計図を取り戻す事なのだからな!」

 紫のフードローブがまた笑った。

「取り戻す事、か。そのために空戦大隊はまだ動いているのだったな?」


 赤いフードローブは何も答えない。

 細かい事まで教える気は無いのだ。

 黄色いフードローブは聞えよがしに舌打ちをする。

 タブーに触れられた事で、割り込みがし難くなったからだ。


 だが彼らが睨み合っていると……

 青いフードローブが他の三人へ言う。

「静まれ。いや……控えろ」


 その場の皆がそこで会話を止めた。

 青いローブに従ったのではない。気配を感じたからだ。

 闇に閉ざされた部屋の奥からの、強烈な、強大な……。


 そこから乾いた足音が響く。

 四人は黙って待っていた。

 足音の主が姿を見せた時、四人はいっせいに膝をつく。


「「「「暗黒大僧正!」」」」

 四人は足音の主、彼らの(あるじ)の名を口にした。


 その者――闇黒大僧正は黒い鎧を纏った身の丈3mはある巨人だった。角のついた兜を被り、その顔は影になって見えない。

 他の四人と異なるのは……その周囲の空間が、歪んで見えること。

 陽炎のように……波打つように……あるいは色彩が滲んで混ざり合うかのように。

 それはその者の放つなんらかの「気」による迫力かもしれないし、本当に空間に干渉する魔力が漏れ出ているのかもしれない。


 ただ、他の者とは根本的に何かが違う。

 それだけは確かだった。



 人類の生息圏から遠く離れた、この時代の邪悪の中枢。

 吹雪が吹きつける城塞の、その中の奥で。

 この世界の至宝を巡る戦いは、さらに激化の兆しを見せていた。

30の発売まで秒読みになってきたな。

しかし攻略本を待つかどうかを考えると、購入即プレイするかどうかは一考の余地がある。

なにせ一周の長いゲームだから、隠しユニットを取り逃がすと取り返しがつかんしな……。


ジェイDEッカーに沿って進める事は決めているが、発売日からプレイすると一日一面でも攻略本が出るまで30~40面ぐらい進んでしまうからのう。

メーカーが発売日に公式攻略本を出すぐらいの事はしてくれん物じゃろうか。

隠しユニットと各種ポイント獲得条件を有料ダウンロードで即日販売する、ぐらいそろそろやってよさそうなもんじゃがのう。

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