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異世界スペースNo1(ランクB)(EX)(完結編)  作者: マッサン
第1次 旋風覚醒編
40/353

40 不穏 8

異世界へ転移し、巨大ロボ:ケイオス・ウォリアーの操縦者となった男・ジン。

彼は世界を席巻する魔王軍へ、仲間と共に敢然と立ち向かう。

不埒なスイデン国の精鋭騎士団が合流したものの、魔王軍の精鋭に粉砕されてしまう。

ジン達もあと一歩まで追い込まれるも、敵は艦の重要な秘密を明かすと立ち去って行った――。

 ジン達は疲弊しきって艦に戻った。戦闘時間が短いぶん、体の疲れは今までの戦いよりマシの筈だが――精神的にはそうではない。

 帰還ついでに貴光選隊(きこうせんたい)の機体も持ち帰った。格納庫に入るや、それを床へ置く。

 操縦者は脱出装置で逃げた筈なので、じきに戻って来るだろう。そう考えて、ジン達は自機をハンガーに立たせるとそこから降りた。


 ジン達が降りるとほとんど同時に、貴光選隊(きこうせんたい)は戻って来た。

 ジンの予想とは違う形ではあるが。

 回収班の一部が彼らを拾い、急ぎ戻ってきたのだ。隊員達は全員が重傷を負い、担架で運ばれていた。格納庫の床に担架が一旦置かれ、半壊した防具や破れた衣服を急いで脱がされ、白い衣の魔導師が何やら呪文を唱えて血の止まっていない傷口に光を当てると、改めて運ばれていく。

 廃品回収のカゴを背負ったゴブオが辺りをこそこそとうろつき、鎧の破片を清掃用トングで拾ってはカゴに放り込んでいた。次の町あたりで目方で売るつもりなのだろう。


 ジンは側にクロカを見つけ、彼女に訊く。

「あいつら全員が大ケガしてんのか。運が無さ過ぎねぇか?」

 何が面白いのかニヤケ顔を見せるクロカ。

「運もあるし、相手が悪かったのもある。何より脱出訓練を真面目にやってなかったみたいだし」


 自分達の力を過信し、勝つ事を前提にしていたのだ。そのツケを今回、身をもって払う事になったのである。


「でもまぁ、連中は生きてるんだろ?」

「ああ。安静にしてれば命に別状は無いよ」

 ジンの問いに、今度はさして面白くも無さそうに答えるクロカ。

 しかしそれはそれで、ジンには疑問が生じる。

「回復魔法をかけているようだが、それでお手軽再生……とはいかんのか?」

 それに対する答えは簡潔だった。

「だからあれを使った上での話だっての」


「ねぇジン! あの人達が無事だったなら、ヴァルキュリナの所へ行こうよォ!」

 リリマナがジンを急かす。

(無事と言っていいのかどうか知らんが……まぁそうするか)

 リリマナの言い分に異論は無い。ジン達には問いただしたい事があるのだから。



 ジン達がブリッジにおしかけると、中にいた兵士の一人が慌てて追い出そうとした。だがヴァルキュリナはその兵士を止める。

「いい。私に用があるのだろう」

 そう言って彼女はジン達の方へ向き直った。


 リリマナが声を上げる。

「ヴァルキュリナ、ジン達が魔王軍に造られたって本当なの!?」

「そのようだ」

 頷くヴァルキュリナ。リリマナは、今度は怒りに目を吊り上げた。

「隠された物を艦に持ち帰った時、そんな事言って無かったよね?」

 ヴァルキュリナの方は怒る事も狼狽える事も無く、真っすぐにリリマナを見る。

「私にもわからなかったからな。本国に内容を伝えて、ジン達の体の情報もあると教えられた」

 そんなヴァルキュリナの返答も態度も、リリマナを納得させない。

「なんでそれを教えてくれなかったの?」


 その問いには、ヴァルキュリナは黙った。

 僅かばかり苦しそうな表情は何かを考えているようではある。


 それを見てナイナイが訊いた。

「ねえ、もしかして……それを教えたら僕らが魔王軍に行っちゃうかもって、そう思ったの?」

 やはり黙ったままのヴァルキュリナ。

 彼女のそんな態度を見てジンが呟く。

「俺らを雇って戦わせる必要もあったしな。貴光選隊(きこうせんたい)が来るまでの繋ぎだとしても」

「そんな! だからあの人達が来たら、みんなの態度が変わっちゃったの!? 大切な事を言わないで、要らなくなったら邪険にして、そんな……」

 信じられない、と首をふるナイナイ。

 それでも、ヴァルキュリナは黙っていた。


 それを見て、ジンは改めて訊ねる。

「俺らをそう扱っても仕方ないほど、黄金級機(ゴールドクラス)にはそれほどの価値があるんだな? 教えてくれるか」

「それはね……」

 リリマナが言おうとするが、ジンはそれを止めた。

「すまん。ヴァルキュリナの口から聞きたい」

 観念したように溜息をつくヴァルキュリナ。

「わかった」


黄金級機(ゴールドクラス)……ランクGはこの世界に存在する最強の兵器だ。青銅級機(ブロンズクラス)白銀級機(シルバークラス)以上の差が、白銀級機(シルバークラス)黄金級機(ゴールドクラス)にはある」

 言いながらヴァルキュリナは近くに設置された水晶玉に触れた。宙に映像が投影される。

黄金級機(ゴールドクラス)には一機で戦局を変える力がある。どころか――その一機に直接滅ぼされた国も、この世界の歴史には沢山あるのだ」

 そう言いながら操作し、映像に何かの年表を表示する。

 年度とどこかの地名。それがずらずらと、数えるのにも苦労するほど。

 大多数は赤く。いくつか、少数だけが青い。

「ケイオス・ウォリアーが生まれてから、歴史に名を轟かせる大帝国には必ず黄金級機(ゴールドクラス)があった。時の魔王軍を打ち破った勇者の機体だった事もある。逆に魔王自らが乗り、最強最大の敵となった事もある」

 その言葉でジンは察した。

 赤が滅ぼされた地。青が黄金級機(ゴールドクラス)を有していた勢力なのだろうと。


 黄金級機(ゴールドクラス)のケイオス・ウォリアー……その有無はこの世界の戦局を左右する重大な要素なのだ。


「そもそも黄金級機(ゴールドクラス)こそがケイオス・ウォリアーの起源(オリジン)だからね。白銀も青銅も、ランクC……軍艦も、全部黄金級機(ゴールドクラス)の技術を簡易デッドコピー、それを流用した子供達だから」

 声はジン達の後ろからした。

 いっせいに振り返ったジン達は、いつのまにかクロカが来ていた事を知る。彼女はニンマリと笑った。

「シシシ……悪いね。勝手に口を挟んでさ」

OG展に行ってきた。

最初どこが入り口かわからず、出口から入ろうとしてしまったわい。

Eクセレンのアニメ用原画らしき物に「ハダ」(肌、の事)と作業用の注釈が入っているのを

「ハゲ」と誤認してしまって「この人、カツラだったんか!?」と一瞬驚愕してしまったわ。


まぁ人の身体的特徴をとやかく言う文面がアニメの原画にあるわけもないだろう。

特に毛髪の事をとやかく言ってはいけない。ワシには全く関係が無いが、とやかく言ってはいけないのだ。

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