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異世界スペースNo1(ランクB)(EX)(完結編)  作者: マッサン
第1次 旋風覚醒編
38/353

38 不穏 6

異世界へ転移し、巨大ロボ:ケイオス・ウォリアーの操縦者となった男・ジン。

彼は世界を席巻する魔王軍へ、仲間と共に敢然と立ち向かう。

一行へスイデン本国から屈指の精鋭騎士団が合流してきたのだが、その不埒な魔手がナイナイを襲い、関係は最悪に。

そこへ襲撃する魔王軍。その力に、騎士団は風前の灯火だった――。

 敵の声を聞いてナイナイが声をあげる。

『思い出した! コウキの町で僕らと戦った人だ!』

 それを聞いてジンもようやく思い出した。

 クロカと合流した町で、暗殺者をけしかけ、自らの格闘術で自分達三人を圧していた恐るべき拳法の達人を。


(あの男……だったのか!)

 ジンの首筋に嫌な汗が流れた。

(あいつがマスターウインドだったとはな)

 ナイナイには恐怖さえあるようで、その声は怯えている。

『ダメだよ、あの人じゃ、騎士さん達だけじゃ無理だよ……』


 だがその言葉は言うべきではなかった。

 敵からの嘲りとあわせ、ケイドを完全に怒らせたのだ。

『うるさい! 魔物ども、我らの足を引っ張りに来るな!』

 怒鳴り声とともに、ナイトが再び槍を構えた。

 今度こそはと渾身の突きを繰り出す!


 だが万全の状態で外れた攻撃に頼るのは絶望的だった。

 素早く空へ舞い上がり、前以上に容易く避けるコカトリス。

 万が一当たっていても……低下させられた攻撃力で逆転できるわけも無かったが。


 避けたコカトリスが再び上空から羽の竜巻を浴びせる。より鈍く、より脆くなっていた銀のナイトは、半身を灰色の石と化して……己の装甲だった瓦礫の山に沈んだ。

『バカな……同じ白銀級機で……』

 呆然と呟くケイド。

『同じではなかったという事だ。機体も、操縦者も』

 マスターウインドのその言葉は、格下を見下す冷たい断言だった。


 格納庫のハッチがようやく開いた。

「急げ! こちらジン、出るぞ!」

 通信機にそう叫び、まだ全開していないハッチを潜って外へ飛び出す。

 だが敵軍はCパンゴリンの周囲にもいた。貴光選隊(きこうせんたい)が大将首狙いで突撃したため、倒されず残った敵機が少しいるのだ。

 当然、それらはジンへと襲い掛かって来た。お馴染みとなった巨人型の量産機が剣をふりかざし、突撃してくる。

「ああん、こいつら邪魔だよォ!」

 焦れて叫ぶリリマナ。

「全くだ!」

 纏わりつく敵機をナックルガードで殴り飛ばして応戦するジン。


 そこへBクローリザードが飛び出し、別の敵機を爪で両断した。

 同じく飛び出したBバイブグンザリから、ナイナイが通信を飛ばす。

『急ごう! 残った敵も騎士さん達と戦って弱ってる奴が多いよ。これならなんとか……』


 しかし無情……ジン達が救出する前に、近くの騎士達へとマスターウインドは攻撃を始めたのだ。

『隊長が倒れたのだ。仇を討ってみせろ』

 慈悲なく襲い来るコカトリスの羽嵐。残る貴光選隊(きこうせんたい)の機体が、為すすべなく石と化して砕けていく。

 騎士達にできたのは無駄な足掻き、そして悲鳴をあげる事だけだった。


 スイデン屈指の精鋭部隊は、容易く全滅した。


 瓦礫の中に転がる貴光選隊(きこうせんたい)の機体を、マスターウインドはコカトリスの目を通して見下ろす。脱出した騎士達はその周辺にまだいるが――

『情けはかけない。覚悟!』

 マスターウインドはとどめを刺そうとした。


 だが殺気を感じ取り、コカトリスを上空へ飛ばす。

 一瞬遅れて砲弾が地面を吹き飛ばした。

『なんと……もう来たのか』

 ジン達の三機がすぐそこにいた。残っていた魔王軍の雑兵は全て片付けて。


「ヒット&アサルトのスキルがさっそく役立ったぜ。砲撃と前進を両立させなきゃ間に合わなかったからよ」

 そう言いながら、ジンは自機のステータスウインドにも目を通す。

「それと――もう一段階ずつだが――強化改造も進めてもらったしな」

『当然だろ。あんたらへの風当たりがどうあれ、私は仕事に手を抜かないよ』

 格納庫で聞いていたのか、クロカが通信機ごしに口を挟んだ。



Bカノンピルバグ

HP:4561/5500 EN:190/190 装甲:1540 運動:98 照準:157

格 アームドナックル 攻撃2700 射程P1―1

射 ロングキャノン  攻撃3200 射程2-6



「よしジン、やっちゃえ!」

 威勢良く叫ぶリリマナ。

(そうしたいのは山々なんだが……)

 ジンは攻めあぐねていた。

 モニターに表示される敵の戦意(モラール)は……150。これはボルテージやテンションといった物が最高潮に達している事を示す。戦意(モラール)上昇スキルを習得しているという事、それは己の調子を勢いに乗せる術に長けているという事だ。

 対してジンは……表示によると111。弱った敵を急いで掻き分けてきたので、十分に心身が加熱していない。


(奴の攻撃は、今、最大限の威力を発揮する。ヘタに手を出せば反撃でこちらがオダブツだ。まずは奴の戦意(モラール)を下げる所から……)

 だがジンがスピリットコマンドを使う直前、ナイナイの狼狽えた声が届いた。

『ジン……トライシュート、使えないよう……』

「何ぃ!?」

 驚愕するジン。


 ナイナイのBバイブグンザリはMAP兵器による範囲攻撃が強力だが、反面、単体攻撃は貧弱。

 急いで敵陣を走り抜ける戦い方では、満足に交戦できない。

 ナイナイは自機のモニターで、自分の戦意(モラール)が108と表示されているのを見ていた。

 トライシュートの必要戦意(モラール)は110‥…合体技は強力ではあるが、協力する機体全てが条件を満たす必要があるのだ。


 白銀級機との戦いに勝利できた切り札、それが三人での連携攻撃である。

(それが使えないじゃ勝てないだろうが! つってもペース配分なんぞ考えてゆっくりしてたら、騎士どもは確実に殺されていた……)

 Sフェザーコカトリスと睨みあいながら、ジンは必死に打開策を考えた。

(この状況――どうする!?)

苦戦やピンチの描写は無料ネット小説界隈ではあまり好まれないという。

人気とりに走りたいならやめておけ、とも。


だが好きな物を好きに書くのがネット小説の原点だともいう。

ならば「ストリーの都合上必要」と思えば、あえてやるのがスジというもの。

よって今回はピンチのまま次へ続くのである。


まぁ昭和にはピンチになるのが趣味みたいなヒーローも結構いたしな。

Aスガルド編のSEI矢達なんかどつかれるターン妙に長めだったし。

12宮編じゃ格上相手に上手い事シーソーゲームやってたもんだがな。

歳とってから見ると、原作者とアニメスタッフの制作スタイルの違いに気づく。

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