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異世界スペースNo1(ランクB)(EX)(完結編)  作者: マッサン
第三次 疾風怒濤編
352/353

129 出発 1

登場人物の簡易紹介(誰かわからない奴がいた時だけ見てください)


ジン:地球から召喚され、この世界で改造人間にされた男。

ナイナイ(ナイナ):異世界からこの世界に召喚され、ジンと同じ改造を受けた少年にして少女。

ダインスケン:異世界からこの世界に召喚され、ジンと同じ改造を受けた爬虫人類。

ヴァルキュリナ:ジン達を拾った女正騎士。竜艦Cガストニアの艦長。

レイシェル:クイン公爵家の令嬢にして魔法戦士。

ノブ:地上最強の霊能者。

ジルコニア:ノブに同乗する妖精。

アル:冒険者の少年戦士。

パーシー:スイデン国所属の少年騎士。

コーラル:スイデン国所属の青年騎士。

アリス:元魔王軍魔怪大隊長。

ポルタ:アリスの造ったアンデッド系人工使い魔。

「本当に行ってしまうのか? この国の王になって、捜索はそれ用の部隊に任せた方がいいと思うんだが‥‥」

「俺はそうは思わない。それだけだからよ」

 訴えるようなヴァルキュリナに、ジンは強い口調で言った。

「見つかりませんでした、と報告された時に。そうだったのか仕方がないな、と言えるのか。この件に関してだけはそれは無い。だから自分が行くしかねぇんだ」


 もう決めた事だし、それは仲間達にはっきりと伝えた事でもあるからだ。

 行方不明の――生死も限りなく絶望的な不明の、ダインスケンを探す旅に出る事を。


 スイデン王城の一室。

 ジンと、その隣にはナイナイ。

 対面するのはヴァルキュリナ、その後ろにレイシェルとノブ。傍らにはアル、パーシー、コーラルの三人。そしてアリス。


「大国の皇帝になって世界を支配して生き神として崇められる、何もかも全てが手に入る立場なのに‥‥本気で行くんですか」

 アリスは呆れていた。

 まんまとスイデンの宮廷魔術師に加わわり――昔、魔王軍の四天王だった事は、ベビーフェイスターンしたのでノーカンだとスイデン国王に泣いて訴えて認めさせたそうだ――安泰な生活を手にした彼女から見れば、ジンとナイナイは酔狂以外何物でもないだろう。

 そんな彼女に、ジンは鋭い目を向ける。

「外せない物が欠けているのを()()とは言わねぇんだ」

 ジンの視線に気圧されて「そ、そうですね」と呟き、アリスはこそこそと下がった。



 ジンは昨夜、ナイナイを連れて、共に戦った者達へ告げたのだ。

 ダインスケン捜索の旅に、二人で出る事を。


 生きているなら探し出す。

 死んだならそれを確認する。

 見つかるまで戻らない。


「もし、一生見つからなかったら?」

 そう、ヴァルキュリナに問われた。

 ジンの答えは――

「一生ここには戻らない。それだけだからよ」


 それでも行くのだ。

 相談ではなかった。決定だった。



 ヴァルキュリナが――思った通り、引き留めるのが無駄に終わって――俯いた。

「そんなジンだから、ここまでやってくれた。それはわかるけど‥‥」


 見ていたレイシェルが溜息をつく。

「王が頭を抱えてましたわよ。魔王軍を打倒した勇者の拠点となった国で、神蒼玉(ゴッドサファイア)の過半数を所持していて、黄金級機(ゴールドクラス)まで有しているのに‥‥鬼甲戦隊(きこうせんたい)三人がみんないなくなってしまうなんて」

 だがジンの口調は変わらない。

「君ら二人がいるから何も心配はしてねぇ。何なら王と王妃になっちまえばどうだ。次の時代の世界のリーダーとして立派にやっていけるだろ」

「必要とあらばそうしよう。レイシェルはクイン家が安泰ならばそれで良いようだから、僕はその意を尊重するが」

 そう言って頷くノブは、いつもと変わらぬ調子だった。

 彼はジンとナイナイの旅立ちに、否定的な気持ちはなかったからだ。


「野心が無ぇな、ノブも」

 ジンの顔に、やっと笑みが浮かぶ。

 ノブも微かに笑った。

「いいや。僕はこの世で最も大切な者を得た、最強の霊能者(サイオニック)だ。これに満足しないほど、物の価値を知らぬわけではない。それだけだ」

 赤面するレイシェルの傍で、ジルコニアが宙で肩を竦めてジンに言う。

「すまんな。もうコイツは隙あらばノロけるふやけ脳味噌になっちまっててさ」

「頼りがいがあって結構じゃねぇか」

 そう言うジンの横でナイナイも微笑み、頷いた。



 そんなジンとナイナイを見送るパーシーは、涙を堪える事ができないでいた。

「さようなら‥‥」

「な、泣くんじゃねぇよ!」

 そう言いながら、アルも涙をごしごし拭いている。ポルタも貰い泣きしながらふよふよ浮いていた。

 二人と一つの横で、コーラルも沈んだ面持ちのままだ。

「貴公とは奇妙な縁になったな。どう礼を言えばいいのか‥‥」

 そんなコーラルへ、ジンははっきりと笑いかけた。

「お互いにな。ま、仲間内で水くせぇ真似はやめようや」


 ぐっ、と言葉に詰まるコーラル。

 表情を締めると、背筋を伸ばし、ジンに敬礼した。

「幸運を祈る!」

 ジンは‥‥表情を締めると、背筋を伸ばし、敬礼を返した。

「ありがとう! いつか、また会えん事を」



――スイデン首都の門――



 街の門は、今日も出入りする人々で賑やかだ。

 魔王軍が滅び、スイデン国がその中心を務めた事で、訪れる人の数も以前の倍では利かなくなっている。

 それを差し引いても、今日は外が何やら騒がしい。


 旅装束に荷物を背負い、ジンとナイナイは外への列に加わった。

「行くか」

 ナイナイを見るジン。

「うん!」

 満面の笑みで応えるナイナイ。

 門の外に出る――その時‥‥。

ここが最終話だと宣言しておいたな?

すまん、予定が変わった。

あと1話だけ続くんじゃ。

すんまそん、ワシは嘘つきではないのです←でもこれも嘘なのです‥‥。

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