124 淘汰 7
登場人物の簡易紹介(誰かわからない奴がいた時だけ見てください)
ジン:地球から召喚され、この世界で改造人間にされた男。
ナイナイ(ナイナ):異世界からこの世界に召喚され、ジンと同じ改造を受けた少年にして少女。
ダインスケン:異世界からこの世界に召喚され、ジンと同じ改造を受けた爬虫人類。
リリマナ:ジンに同乗する妖精。
レイシェル:クイン公爵家の令嬢にして魔法戦士。
ノブ:地上最強の霊能者。
ジルコニア:ノブに同乗する妖精。
異世界インタセクシルの植物の祖・世界樹。
今や宇宙の果てから迫る超植物・アザナワンの、胞子の一つに寄生されて宇宙に浮かび、蔓を呼ぶ発信源となっている。
その最も大きな洞の前に立ち、大賢者タレスマンだった男はこの世界の救世主達を待ち構えていた。
タレスマンのアミルアリアンがモニターに映るや、ジンはスピリットコマンド【スカウト】を放つ。
モニターに敵のデータが映った。
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アミルアリアン
HP:150000 EN:575/575 装甲:2950 運動:155 照準:250
HP回復・大
EN回復・大
オールキャンセラー
射 流星光線(MAP)攻撃4000 射程2-6・直径5
射 破壊光線 攻撃5000 射程2-9
格 死の接触 攻撃5500 射程P1ー3
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タレスマン機は他の魔王機とHPのケタが違う!
「ええ‥‥何これ。あいつの機体、別物じゃン!」
驚き、不満の叫びをあげるリリマナ。
ジンは敵機を睨みつけた。
「よく見りゃ洞の奥と繋がってやがんな」
タレスマン機の背からはケーブルのように蔓が何本も伸びている。
それは胞子が有るという洞の奥から繋がっていた。
(本体から直にパワーを供給している、という事か)
ジンがそう考えた時、タレスマン機の腕にエネルギーが収束した。
「考えている暇はありませんわね! 行きますわ!」
叫んで接近するレイシェル。
他の機体も一瞬遅れ、彼女の機体に続く。
そこへ焦熱光線の雨が降り注いだ!
今やインタセクシルの全ケイオス・ウォリアーでも最速の運動性能をもって、GXウイングロードは光線の雨を掻い潜る。
だが敵が敵だ。全てを避ける事はできず、何発も掠めて装甲を焼いた。
「く、うう!」
呻きながらもレイシェルは前進をやめない。
やや強引ながらも光線の豪雨を突破した。
だがその途端、次の光線の雨に襲われる!
(連続攻撃!? 早い!)
息つく暇も無い熱線地獄の第二波!
だがしかし。
それさえウイングロードを撃墜はできない。
翼を広げて光線を潜り続ける黄金の騎士は、損傷を増やしながらもなお潜り抜けてみせた。
(次はこっちの――)
攻撃に移ろうとし、レイシェルは目を見開いた。
熱線雨の第三波が放たれていたのだ――!
最初の暗黒大僧正・タレスマン。
本体からパワーを得ている事もあり、この体だけは行動回数をさらに増していたのである。
絶える事ない高熱の豪雨。
これに耐えられる物など無い。
その筈だった。
黄金の光が二機、それを突っ切ってタレスマン機へ迫る、その光景が否定したが。
GXウイングロードとGXサンダーカブト。
ロードはその運動性で致命傷を避け続け、カブトはその装甲で受けきってみせた。
とはいえどちらも無傷では無い。だが黄金級機の膨大なHPは、死の連波にも踏み止まったのである。
しかし二機とも損傷が激しい。残りHPは半分も無いとモニターが表示している。
「こっちの最強二機が、初っ端からズタズタにされてんぞ」
冷や汗を流すジルコニア。
そんな彼女のいるEムーンシャドゥは‥‥実は熱線の雨を受けていない。
「まぁ覚悟の上だからよ」
そう言うジンのカブトから離れた所で、別方向から迫っていたので。
『こちらの範囲攻撃を前提にしての位置取りか。ここまで来た者達なのだ、驚くには値せんが』
(え? え?)
タレスマンの言葉に戸惑うレイシェル。
ウイングロードが飛んだ時、サンダーカブトはそれに付き合い、すぐ近くを並行する軌道をとった。
だがナイナイ・ダインスケン・ノブは散開し、二機から離れて迂回するコースで敵を目指したのである。
そうなるとタレスマンは敵の最大戦力へ対応するため、正面から迫る二機の黄金級機へ範囲攻撃を集中せざるを得なかったのだ。
レイシェルが動くのを見たジンは、この流れにするためあえてウイングロードと並んで機体を飛ばせた。
ナイナイとダインスケンはそれを察して散開し、ノブは他の機体の動きから意図を見抜いて合わせたのである。
(わ、私だけわかってなかった?)
レイシェルが愕然としている間にも、事態は常に動いている。
『だがここまでだ‥‥』
タレスマンが次の熱線雨を放とうとした。
散開したコースをとったとはいえ、タレスマン機を討つために五機は接近してきている。
だがそれは五機も攻撃圏に相手を捉えたという事だ。
「トライシュートぉ!」
ナイナイが操縦席で掛け声をかけた。
全く同時としか思えない動きで、鬼甲戦隊の三機が射撃を見舞った。
虹色の光線、電光、撃ち出された刃が同時に着弾! アミルアリアンの右肩を吹き飛ばした。
魔王機が一瞬だけよろめく。
だが今や、戦いはその一瞬で動くレベルに達しているのだ。
サンダーカブトが右腕から放電しながら、翅を広げて飛来していた。
「サンダーアーム!」
ジンの叫びとともに叩きこまれる右拳! アミルアリアンの左肩が爆発した。
利かない両腕を動かそうとするアミルアリアン。
だが何をしようにも、次の攻撃が迫っていた。
「ケケェー!」
ダインスケンの叫びとともにカブトとオイスターが動く。
飛び込んできたバジリスクが世界樹に着地し、爪を振るう。爪はオイスターの刃の帯と同時に魔王機を切り裂く!
そして切り裂かれた裂け目に、再びカブトの稲妻の拳が叩きこまれた。
行動の確認を一瞬でもしていては成立しない怒涛の攻撃。
三つの機体と三つの意思が、完全に一つとなっているからこその、この三人でなければ不可能な連携だった。
だが、敵は神々を蹂躙した超存在なのだ。
半壊した身を捩り、アミルアミアンは鬼甲戦隊の三機を撥ねのける!
「耐えた!? ウッソー!」
姿勢を立て直すカブトの中で驚愕するリリマナ。
そんな彼女に声が届く。
「ならば僕等がやらせてもらおう」
そう応えたのはノブだ。
Eムーンシャドゥが魔王機へと飛び込んで来る。
ジン達を押しのけたばかりのアミルアリアンに避ける暇は無く、放たれた跳び蹴りがまともにヒットした!
青い燐光が渦巻き、魔王機の胸甲が破壊される。
だが次の瞬間、アミルアリアンはムーンシャドゥをも撥ね飛ばした。
「これにも耐えんのかよ!」
幹を転がるシャドゥの中でジルコニアが悲鳴をあげた。
アミルアリアンは容赦なく攻撃に移る――
――筈だった。
二つの光球が放たれ、シャドゥの側を通り抜けてアミルアミアンに着弾しなければ。
超高熱の柱が二本、半ば重なって立ち昇る。
その中で魔王機の黒い影が身を捩っていた。
ウイングロードが放った、渾身のツインニュークリアーブラスト。
その火柱の中で、ついに魔王機は爆発‥‥!
五機の総力をあげた猛攻に、この時代の魔王は爆炎の中に消えた。
世界樹の上に立つ五機。
勝った。
だがムーンシャドゥの中、ノブの肩でジルコニアが叫ぶ。
「ぼさぼさしてんな! 奥の胞子をブッ壊すんだろ! そうしなきゃこいつも復活しちまうぞ」
その言葉に五機は洞へと向かった。
いや、向かおうとはしたのだ
だが――
『それ以前に、まだ息絶えてはおらん』
地の底から響くような声。
「なにィ!?」
ジンが驚愕したのは、声がタレスマンの物だったからだ。
倒れて炎に包まれていたアミルアミアンが、消し飛んだ!
炎と装甲片が飛び散る中、立ち上がる黒い巨人。
「ガワが剥けるパターンじゃねーか!」
ジルコニアが叫んだ時、新たな影から放たれた無数の輝きが五機を飲み込んだ――!
設定解説
・アミルアリアン(核)
体表が破壊された時に中から出て来るスペアボディ。
あらかじめ操縦席の周辺細胞に半溶解した「体の素材」を用意しておき、ダメージが大きくなると、再生・回復の魔力で素材となる細胞から次のボディを生成する、昆虫が蛹から変態するに近いプロセスをふむ。
それなりに大がかりな仕掛けなので、この「スペアのボディ」の中に次のスペアのボディを仕込んでおく事はできない。
基礎ステータス(5段階改造)
HP:150000 EN:575/575 装甲:2850 運動:165 照準:250
HP回復・大
EN回復・大
オールキャンセラー
射 流星光線(MAP)攻撃4000 射程自機中心1-6
射 破壊光線 攻撃5000 射程2-9
格 死の接触 攻撃5500 射程P1-3




