120 淘汰 3
登場人物の簡易紹介(誰かわからない奴がいた時だけ見てください)
ジン:地球から召喚され、この世界で改造人間にされた男。
ナイナイ(ナイナ):異世界からこの世界に召喚され、ジンと同じ改造を受けた少年にして少女。
ダインスケン:異世界からこの世界に召喚され、ジンと同じ改造を受けた爬虫人類。
リリマナ:ジンに同乗する妖精。
ヴァルキュリナ:ジン達を拾った女正騎士。竜艦Cガストニアの艦長。
クロカ:女ドワーフの技術者。Cガストニア所属。
オウキ:元魔王軍空戦大隊の親衛隊。核戦争で荒廃した世界から来た拳法家。
ゴブオ:ジンについてきたゴブリン。
レイシェル:クイン公爵家の令嬢にして魔法戦士。
ドリルライガー:ドリル戦車に宿ったエネルギー生命体。合体形態・ザウルライガー。
アル:冒険者の少年戦士。
先頭にいた魔王機アミルアリアンが熱線の流星を撃つ。
だがその弾幕を縫ってSフェザーコカトリスが飛んだ。
「舞葬琉拳奥義・征嵐十字!」
すれ違いざまの手刀が幾条もの刃となって敵を切り刻む!
魔王機の装甲が石化して崩れるや、続いて突っ込んできたSトライスタッグが深紅の剛剣を叩きつけた。
「レッドキャリバー! チャージアップ!」
輝く刃が一刀両断!
魔王機が爆発し、宇宙の塵と消えた。
次の敵へと向かいながら、オウキはコカトリスの操縦席で不敵に笑う。
「早くも一機。貴様等が神殺しだとして、それを屠る者をなんと呼ぶのかな?」
しかし敵陣の奥でディーンが嗤った。
『やりますねぇ。しかしまだこちらは死んでいませんよ?』
そしてアミルアリアンの群れが、一斉に熱線の流星を放った。
宙域を埋め尽くす破壊光線——十を超える魔王機が撃つ異常な量の熱線の雨、逃げ場などどこにも無かった。
全てが焼き払われる高熱の空間を前に、ディーンが高笑いする。
『ハハハ、まぁこんなもんでしょう!』
「ああ、こんなもんだろうよ」
通信が、灼熱の光の中から返って来た。
その中からいくつもの機影が飛び出す!
先頭にいるのは、Gサンダーカブトとザウルライガー、Sトライスタッグの青い防御フォームに竜艦Cガストニア。
装甲の強度に優れる機体が盾となって攻撃を食い止め、その後ろに他の機体が続いていた。
「ちょっと! 延々撃ってしつこいよォ!」
リリマナの憤慨にジンが応える。
「二回行動する奴が群れで出て来ての一斉連射だからな。まぁ‥‥こちとらそれにも耐えられるからよ」
カブトは敵陣に斬り込み、ひたすら連射を繰り返す敵の一機に放電する右拳を放った!
敵機の装甲が砕け、モニターに映るHPゲージが半分未満まで落ちる。
『ドリルフィーバー!』
一緒に斬り込んでいたザウルライガーが五つのドリルをその敵機に叩き込み、粉砕した。
爆発! また一機、屈強の魔王機が消える。
鬼甲戦隊とクイン星輝隊が魔王機の軍団へ飛び込み、乱戦となった。
激しく激突する両軍――その中を縫って奥へと飛ぶ金色の機体が一つ。
レイシェルの乗る黄金級機・GXウイングロード。
目指すは敵に奪われた世界樹‥‥そこに巣食っているアザナワンの胞子。
だがその行く手を遮る機影があった。
『行かせないわよ』
そのアミルアリアンから届く通信は、女魔法戦士ディーアの声。
「いいえ、行きますわ!」
レイシェルはウイングロードに抜刀させて魔王機に斬りかかった。聖剣エクスカリバーの力を増幅した刃が閃く!
魔王機はその両掌を原子分解の魔力で妖しく輝かせて掴みかかってきた。
その後方では二隻の艦が戦場の中心に乗り込んでいた。そこで指揮と支援を行うためなのだが――
「おうわ、き、来た!」
Cガストニアのブリッジで慌てるクロカ。モニターには乱戦の中を迫り来る敵機が。
『我が兄は死にました。婚約者の貴女があの世で慰めてあげなさい!』
哄笑の混じるディーンの声が届く。
(いけない! 艦が落ちたら勝ち負け関係なくジン達は生きて帰れなくなる!)
焦りながらヴァルキュリナは指示を飛ばした。
「近づけるな! 騎獣砲座、撃てーっ!」
――Cガストニア・格納庫――
「お前らいい加減にしろよ! ブレスを撃てよブレスをよー! ここ生き物が外に出るような環境じゃねーだろうがああ!?」
喚くゴブオが兵士に両脇を抱えられて砲座マイマイまで連行される。
さすまたで抑えられて無理矢理のせられ、頭に【宇宙A】と書かれた金魚鉢のようなガラスヘルムが被せられた。
マイマイにもパイプが咥えさせられ、ヘルムとパイプが空気の詰まった一升瓶|(呼吸確保用のマジックアイテム)にチューブで連結される。
そしてさすまたで外へのシュートに押し込まれた後、強制的に甲板へと飛び出した。
――Cガストニア・甲板表面――
一升瓶を背負って外へ飛び出したゴブオ。
広大な星の海を上に、巨大な大地の半球を下に眺める、風も音も無い空間――この日、インタセクシル史上初、宇宙へその身で飛び出したゴブリンが誕生した。
歴史にまた一つ、新たな足跡が刻まれたのだ。
惜しむらくは、本人がそれを感じてはいなかった事。
ゴブオは迫るアミルアリアンをガラス越しに見て、涙と涎をヘルムの中へ撒き散らしながら半狂乱で砲座マイマイの引き金を引き続けるのに忙しかったので。
強化パーツの力で宇宙Aになった機銃の弾が魔王機の装甲表面で弾ける。
『鬱陶しいですね。バカですか?』
言いながら、ディーンは弾を片手で防がせた。
10段階強化されていても敵が敵だ。致命傷にはならない。
だが一瞬足を止めた、その瞬間に。
「ケケェーッ!」
ダインスケンが操縦席で叫んだ。
そちらを見たディーンは、襲い来る鬼甲戦隊の三機を見る!
爪と帯で裂かれ、稲妻の拳がそこへ叩き込まれた。
「今日であんたとも最後だからよ」
ジンが言うや、カブトの足が跳ね上がる。
回し蹴りに頭を砕かれ、ディーン機が爆発した。
「一刀! 両断!」
ほぼ同時にレイシェルが叫び、ウイングロードがエクスカリバーでディーア機を真一文字に斬った。
二つに分かたれた機体が、一瞬遅れて爆発する。
「ヴァルキュリナさん、大丈夫ですか?」
ガストニアへ通信を送るナイナイ。
だがヴァルキュリナはそれに応えず、モニターを見て慄いていた。
「ど、どういう事だ!?」
モニターに映っているのは敵に占領された世界樹。
その洞から、次々と新手のアミルアリアンが現われたのだ!
新手の機体から通信が届く。
『おやおや皆さん、久しいではありませんか。数分ぶりですかねぇ?』
嘲り混じりのその声は、紛れもなくディーンの物だった。
『これまでの事を思い出せば、わかりきっていた事よね』
冷酷なその声はディーアの物だった。
後続の他の機体も先ほど倒した物が復活したのだろう‥‥それはジン達にも容易に想像できた。
「こりゃ、無限に復活するパターンだな‥‥」
敵を睨みつけて呟くジン。
『霹靂の神とて、好きで諦めたわけではない』
一番奥に控えて戦況を見守っていたアミルアリアンから、タレスマンが告げた。
淡々と、無感動に。
当然の事を口にするように。
ナイナイが不安に包まれた声で訊いた。
「ジン‥‥どうするの?」
設定解説
・アミルアリアン
全機全く同じ‥‥に見えて、ステータスは少しずつ違ったりする。
名前の無い「暗黒大僧正」(なんだか矛盾しているが‥‥)の乗る物の戦闘力は以下の通り。
基礎ステータス(3段階改造)
HP:42000 EN:345 装甲:2770 運動:145 照準:230
HP回復・大
EN回復・大
射 流星光線(MAP) 攻撃4300 射程1-6直径5
射 破壊光線 攻撃4800 射程1-8
格 死の接触 攻撃5300 射程P1-3




