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異世界スペースNo1(ランクB)(EX)(完結編)  作者: マッサン
第三次 疾風怒濤編
338/353

115 神意 6

登場人物の簡易紹介(誰かわからない奴がいた時だけ見てください)


ノブ:地上最強の霊能者。

ジルコニア:ノブに同乗する妖精。

エンク:枝分かれした麒角を持つ精悍な青年。光速戦闘を可能とする能力者。

ラン:長い赤毛の後ろ髪に孔雀のような尾羽の混ざった、強気な目つきの女性。無限再生と敵を即死させる能力を持つ。

サイシュウ:メガネをかけた陰険そうな猫背の禿。ただし頭皮は黄色い。望んだ物を消去する能力者。

 ジルコニアがモニターを操作する。

 表示されているGエリアルターミガンのHPゲージは残り半分だ。

「あいつらよくやった! これならやれるぞ‥‥ん?‥‥」

 と、その声が途中から勢いを無くす。モニターには詳細な数値が表示されていた。



Gエリアルターミガン(4段階改造)

HP:61200/124000 EN:280 装甲:2760 運動:120 照準:230

HP回復・小

EN回復・大

格 ジャイアントサイクロン(MAP)攻撃3900 自機中心P1-5

格 12の蹴技           攻撃4400 射程P1ー7

格 24の極技           攻撃4900 射程P1ー5

格 36の投技           攻撃5400 射程P1ー3



「HP10万超!? 前と機体性能が違わねーか!?」

 狼狽えるジルコニアに、ノブが険しい目で言う。

「強化型とか後半バージョンとかいう奴だ。昔からよくある」

 そう言うと一つ深呼吸し‥‥そして叫んだ。

「【ゴールドライド】!」


 Eムーンシャドゥの琥珀色の装甲が色彩を強め、輝き出す。

 全身の装甲が黄金の光に包まれた!


『それが神蒼玉(ゴッドサファイア)の新たな使い道か。人の叡智がどこまで達したか、見せてもらおう』

 感心しながら機体を前進させるジェネラル・ルード。

 対するムーンシャドゥも前進を続ける。


 両機が近づき、間合いが狭まり‥‥攻撃圏が触れあった、刹那。


 黄金の光がぶつかり合い、雪原に激突音が響いた!


 吹き飛ばされたターミガンが翼を広げ、雪上に着地する。

 その胸の亀裂はさらに大きく穿たれていた。

 一方、ムーンシャドゥも宙返りして着地する。

 その胸にはやはり激しく打たれた傷跡があった。


 中空にて蹴りと蹴りが交錯し、激しく打ち合い、互いに互いを叩き落としたのである‥‥!


 モニターに表示された、20000に達するダメージ。

 それを見てジェネラルルードが唸る。

『むう‥‥この威力。最初から全力だな』

「手を抜ける状況ではないからな」

 言いながらノブは機体を身構えさせた。


 だがルードは言った。

『悲しいかな。しかしそれではお前はもたない』


 ノブがそのスピリットコマンドを全力で使っている事はルードにもわかった。

 ターミガンを倒すために威力を上げる【ソウル()】、倒されぬよう被ダメージを抑える【プロテクション(鉄壁)】‥‥それらを常時使うのは、SP回復を持つノブでも無理がある。


 しかしノブは言い放つ。

「それが僕自身にわからないとでも思ったのか。僕は勝つつもりだ」

 ターミガンが翼を広げた。

『そうか‥‥ならば見せて貰おうか!』


 鋭く跳び込むムーンシャドゥ。

 ほぼ等速で突っ込むターミガン。

 両機が互いに互いを打つ――肘打ちとラリアートではあるが、先ほどとほぼ同じ事が繰り返されたと言っていい。


 シャドゥのHPはもう6割程度。

 ターミガンは2割程度。

 シャドゥが圧倒的に有利、に見える。

 しかし‥‥着地するや、ターミガンが一早くシャドゥへと飛びかかった。


 シャドゥを抱え上げ、渾身のボディスラムで雪上に叩きつける!

 だがシャドゥは跳ね起きざまに蹴りを放ち、ターミガンを打った。

 打たれたターミガンはダメージも構わず敵の足を掴み、ジャイアントスイング気味に地へ叩きつける!

 再び雪上にめり込んだシャドゥだが、身を起こしながらの手刀打ちをターミガンに炸裂させた。


 シャドゥのHPが2割をきった。

 ターミガンは‥‥1割は残っている。

【ガード】スキルによる被ダメージ軽減、【底力】スキルによるHP減少に応じての守備力増加。そして黄金級機(ゴールドクラス)の自己再生能力。

 複数の能力が噛み合い、あと少しの所で倒せない。


 それでもシャドゥが最強武器【王者の石の閃光】で渾身の一撃を見舞えば、その一割を吹き飛ばせる筈だ。

 スピリットコマンド【ソウル()】でそれができる筈だ。

 しかし‥‥ジェネラル・ルードはよろめくシャドゥを前に言い放った。

『回復アイテムに頼っても、やはりそこまで。終わりだな』


 SPを回復するアイテムもケイオス・ウォリアーの強化パーツにはある。

 ノブもそれは持っている。

 しかし‥‥この戦闘においては、()()使()()()()()()()のだ。


 ターミガンとぶつかる直前、戦意(モラール)を上げるべく【エナジー(気合)】を連発した直後に。

 最強の必殺技を使い、攻防ともに底上げするために。



 だがしかし。

 ジルコニアが「クシシシ」とほくそ笑んだ。

「も一つ頼るもんがあればどうよ?」

 その額には汗が滲み、全身が薄ぼんやりと発光している‥‥。

「あたしもずっと付き合ってきてレベルアップしてるかんな。これがあたしの、最後のスピリットコマンドだ」


 (うそぶ)くジルコニアのSPが急激に減った。

 同時にノブのSPが大きく回復する!


エクスペクティション(期待)

 他者のSPを30回復する。



 ムーンシャドゥを包む光のオーロラに、青い炎が混じった。

 そして宙へ跳ぶ。

(来る!)

 最後の一打が放たれる事を察し、ジェネラル・ルードがターミガンを飛ばせた。


 二機のドロップキックが宙でぶつかる!


 僅かに残っていたSP。

【SP回復】スキルで回復したぶん。

 そしてジルコニアから譲渡されたぶん。

 それらを搔き集めた、ノブがシャドゥから放つこの戦い最後の一打。

 それはターミガンのカウンターキックを紙一重で避け、胸部の亀裂へ炸裂‥‥!


 ノブの攻撃は全て敵の胸部を狙っていた。

 先に戦い倒れた者達の残した、意地の痕跡へ。

 堕天した神の乗る、この世界最強の巨大兵器の、不滅の装甲が――いくつも刻まれた傷についに耐えられなくなり、完全に砕けた。


 黄金の鳥人が雪原に落ちた。

 背中から、雪を飛沫のごとくあげて。

 ムーンシャドゥは雪原に着地した。

 精魂あらかた使い果たし、よろめきながらも立つ。装甲が金色(こんじき)の輝きを失い、元の琥珀色に戻った。


 雪の上で火花をあげる最後の大隊長機から通信が入る。

『この私を、破ったか‥‥』


 敵機を見下ろし、ノブは言う。

「僕は地上最強の霊能者(サイオニック)だ。それに‥‥」

 どこか悲しげに付け加える。

「とうの昔に敗れていたではないか。真の敵に、貴方は」

設定解説


・強化型とか後半バージョンとかいう奴だ。昔からよくある


機体の強化改造とは別に、基本性能そのものを底上げする事も当然ながらよくある事だ。

見た目も名前も同じなので、うっかりしていると交戦してから「HPも攻撃力も別物!?」と驚く事も稀によくある。

やはり悪の組織は汚い‥‥とばかりも言えない。人類側の機体も、追加装備が来た際にこっそり基本性能を上げておくような処置がよく為されるからだ。

たまに夜間迷彩にしたら性能が上がっている事もあり、ペインティングとオーラソードの攻撃力について一考するような場合もある。

敵の装甲を分解するような塗料を剣に塗ったのかもしれないな。

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