107 双星 6
登場人物の簡易紹介(誰かわからない奴がいた時だけ見てください)
ジン:地球から召喚され、この世界で改造人間にされた男。
ナイナイ(ナイナ):異世界からこの世界に召喚され、ジンと同じ改造を受けた少年にして少女。
ダインスケン:異世界からこの世界に召喚され、ジンと同じ改造を受けた爬虫人類。
リリマナ:ジンに同乗する妖精。
ヴァルキュリナ:ジン達を拾った女正騎士。竜艦Cガストニアの艦長。
オウキ:元魔王軍空戦大隊の親衛隊。核戦争で荒廃した世界から来た拳法家。
ジルコニア:ノブに同乗する妖精。
ドリルライガー:ドリル戦車に宿ったエネルギー生命体。合体形態・ザウルライガー。
コーラル:スイデン国所属の青年騎士。
戦場に現れた魔王機アミルアリアン。
その一機が討ち取られた。
この世界インタセクシルの歴史に名を刻む、新たな、かつてない黄金級機‥‥GXウイングロードによって。
妹の戦いを見て、ディーンが怒りに叫ぶ。
『レイシェル! 粗相はやめなさい!』
妹の機体へと向かおうとするが――
『やめるのはお前だ』
頭上からの冷たい声。
オウキのSフェザーコカトリスが翼を広げて急降下をかけていたのだ。
『舞葬琉拳奥義・響嵐天舞!』
手刀の竜巻が魔王機を襲う!
装甲に斬り傷が走り、破片が石化して砕けた。
間髪入れず、さらに白い騎士が突撃をかける。
『かつての同胞よ! 祖国を撃つ罪、犯さぬように我らが!』
そう叫ぶのはコーラル。
親しい仲ではなかったが、彼にはディーンも同じスイデン国の騎士だという思いがあったのだ。
白い高機動形態の、エネルギーに満ちて輝く剣が、すれ違いざまに走った。
コカトリスのつけた傷にさらなる斬撃が重なる。
『雑魚めが! 疎ましい!』
ディーンの苛立つ声と共にアミルアリアンが片腕を上げた。
広範囲に拡散して降り注ぐ熱線の雨!
MAP兵器の中を、二機の白銀級機は必死に逃げ惑う。
だが逃げるどころか勢いよく突っ込んで来る巨体もあった。
『ドリルフィーバー!』
ザウルライガーが五つのドリルを高速回転させながら、魔王機へ全力でぶつかる!
半壊していた魔王機を、渾身の超パワーが砕いた。
爆発——!
二人までが討たれた暗黒大僧正。
それを横目に、残る一人が呟く。
『この場の流れはそちらのようだ。この世界の人間にとって黄金級機はやはり大きな影響がある。だからこそ、先にこちらが奪っておいたのだが‥‥』
その言葉を向けた相手は、己へと迫る三機のケイオス・ウォリアー。
先頭にいた、黄金級機・Gサンダーカブトから通信が入った。
「奪い返して悪いな。この黄金級機で、このままあんたの本体も叩く」
『そこまでは不可能だ』
最初の暗黒大僧正・タレスマンが言うと、残る怪獣どもが三機へ、鬼甲戦隊へと殺到した。
「ナイナイ! ダインスケン! 【ゴールドライド】だ。こちとらその機能が今は無いから、せめて敵の攻撃を引き受ける」
仲間二人へ指示を飛ばすジン。
その肩で、リリマナが「すー、はー‥‥」と深呼吸している。
「何してんだ? こんな時に」
ジンが訊くと、リリマナは「ふん、だ!」と拗ねた。
「なにさ、ゴールド、ゴールドって。本当に大事なのはアイテムのパワーじゃなくて、乗ってる人なんだって‥‥こういう時は昔からその筈でしょ。私だって、ジンと一緒にレベルアップしてるんだからね!」
そう言ってリリマナは翅を広げて肩から飛び降り、モニターに触れた。
画面にウィンドゥが開き、同乗する妖精のスピリットコマンドが表示される。
目を見開くジン。
「このコマンド!」
リリマナの習得した、最後のコマンドは――
>
【アウェイクン】
行動回数を1回追加する。
>
急ぎ、ジンはそのコマンドを発動させた。
カブトの動作が不自然なほど機敏になり、敵へ突撃して間合いを詰める。
そして全く止まらず、だが流れるように身構え、全身十四基の発雷結晶から放電し――
「機能がなんだ! こんのォ!」
リリマナの怒鳴り声とともに、電撃の津波・MAP兵器マキシマムサイクロンが放たれた!
「ははっ、神サマの秘宝も腰抜かすからよ!」
怪獣の群れを稲妻で呑み込みながら、ジンは操縦席で思わず笑った。
焼き払われた大地の上で、煙をあげてもがく怪獣達。
そこへ、黄金の輝きを纏った機体が跳びこむ。
『次は、ボクが!』
ナイナイのSパールオイスターだ。怪獣の群れの中央で、周囲の敵のどれが反応するよりも早く次の攻撃を放つ。
敵の組成を変えて崩壊させる、ミラージュレインボーの魔の光を、周囲全てへ。
虹色の光の中、怪獣どもが次々と――全て崩れ去った。
艦のモニターで見ていたクロカが驚く。
「ナイナイの奴もこのコマンドを習得したのかよ!」
モニターに表示されていた、ナイナイの使ったスピリットコマンド。それは【ラブ】。
レイシェルが切り札として使ったものと全く同じコマンドである。
それによって増幅された威力は、怪獣どもを一匹たりとも仕留め損ないはしなかった。
「ウチの部隊の勝利の女神はどなたも怖ぇな」
ニヤリと笑うジン。
全滅した怪獣の向こうから、三機目の魔王機が迫ってくるが‥‥恐れも緊張も全く感じない。
「やってやるぜ!」
ジンの号令に他の二人も動く。
『ケケェー!』
ダインスケンが吠えた。
黄金に輝く装甲のSブレイドバジリスクが駆ける。
それを追うように艦から飛んでくる巨大ドリル、ドライバーブースター。
それを後ろも見ずにノールックキャッチし、バジリスクは走った。
迎え撃つアミルアリアン。
分解の魔力を秘めた掌を伸ばし、相手を掴もうとする。
突進するバジリスクは自らそれにぶつかっていくかのようだ。
ドリルと掌が絡み合うように交錯!
魔王機の掌はバジリスクの頭を掴んだ。
バジリスクのドリルは魔王機のどてっ腹に刺さった。
そして、魔王機が一方的に吹っ飛んだ!
頭部装甲の表面を僅かに粉とされるも、ダインスケンはギリギリの位置を見切り、機体にほぼ触れさせなかったのだ。
そして黄金の輝きの中、再びダインスケンが叫ぶ。
『ケーッッ!!』
その時、カブトとオイスターが既に飛び込んでいた。
それを視認もせずに走るバジリスク。
吹っ飛んだ魔王機が地に立った時、既に三機の攻撃が見舞われていた。
鞭と爪、左右からの刃。
だがしかし、それを魔王機は両手の掌で受け止める。
その掴んで塞がれた武器が、分解される――はずだった。だがその前の、数百数千数万分の一秒という刹那。
カブトの拳が、真正面から魔王機の胸を貫いていた。
二機の攻撃を止めた、その腕の間を抜いて。
迸る電撃が魔王機の隅々までを砕く。
雷が弾ける操縦席から、暗黒大僧正タレスマンは通信を送って来た。
『徐々に目障りになっていたとは思ったが、ここまでになるとはな』
モニター越しに相手を睨みつけながらジンは言う。
「この時代の戦いを俺達が終わらせるからよ。首を洗って待っていろ」
カブトが拳を引き抜いた。流れるような動きで足刀蹴りが炸裂する。電撃を帯びたその蹴りは、アミルアリアンの胸部を粉々にした。
「超電‥‥稲妻キック‥‥!」
爆発する敵機を前に、蹴り足を下ろして呟くジン。
戦いは終わった。
魔王軍の部隊に動く物は何一つ無い。
人同士の戦いでは稀な、片方が文字通りの全滅による終了。
しかしそこへ通信が――
『接近する物、多数? しかし魔王軍の反応では無いぞ?』
戸惑うヴァルキュリナの声。
そして荒野の横手から、いくつもの機影が現れた。
『よく勝った、流石! 届け物じゃぞ、ジン!』
ケイト帝国の姫、ヨウファの声が届いた。
設定解説
・Gサンダーカブト
魔王軍海戦大隊から奪った黄金級機の設計図を流用し、白銀級機Sサンダーカブトを強化改造して完成した黄金級機。
カブトムシを模した黄金の鎧に身を包んだ巨人である。
性能は元になったサンダーカブトをそのまま向上させた上位互換機であり、操縦者は以前と同じ感覚でそれ以上のパワーを発揮する事ができる。
行動速度を倍化する【ゴールドライド】の能力は無いが、機能自体は搭載されているうえ、ゴッドサファイアをもう一つ設置するための下準備は既に施されている。
基礎ステータス(10段階改造時)
HP:16000 EN:350 装甲:2700 運動:150 照準:210
HP回復・小
EN回復・小
格 アームドナックル 攻撃4800 射程P1-2
射 スウォームマイザー 攻撃4900 射程1-6 弾数12
射 マキシマムサイクロン(MAP)攻撃5000 射程1-5・扇形 消費60
射 ライトニングレイ 攻撃5800 射程2-8 消費30
射 トライシュート 攻撃6500 射程1-7 消費40 合体技
格 ルナティックプラズマ 攻撃7000 射程P1-3 消費10 合体技
格 サンダーアーム 攻撃7200 射程P1 消費70
格 トリプルウェーブ 攻撃7200 射程P1-3 消費50 合体技




