表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界スペースNo1(ランクB)(EX)(完結編)  作者: マッサン
第三次 疾風怒濤編
329/353

106 双星 5

登場人物の簡易紹介(誰かわからない奴がいた時だけ見てください)


レイシェル:クイン公爵家の令嬢にして魔法戦士。

ノブ:地上最強の霊能者。

ジルコニア:ノブに同乗する妖精。

エンク:枝分かれした麒角を持つ精悍な青年。光速戦闘を可能とする能力者。

ラン:長い赤毛の後ろ髪に孔雀のような尾羽の混ざった、強気な目つきの女性。無限再生と敵を即死させる能力を持つ。

サイシュウ:メガネをかけた陰険そうな猫背の禿。ただし頭皮は黄色い。望んだ物を消去する能力者。

老人:ナイナが転がり込んだ、ボロ長屋の一室の持ち主。実は滅んだ大国の前天王ディーヴだった。

 竜艦Cガストニアの横腹にあるハッチが開く。

 ナイナイとダインスケンの機体が出撃し、続いて――黄金に輝く装甲の、新たな二機の新型機が‥‥


 戦場にいる各機のモニターに、新たな黄金級機(ゴールドクラス)の名が表示された。


 黒いボディを包む黄金の装甲。

 スマートながら屈強。複眼でできた鋭い目と、Y字型に割れた大きな角。

 その名は――Gサンダーカブト。


 黄金の甲冑で全身を包み、手に携えるは広刃の長剣。

 背中と兜に一対ずつの、純白の翼。神々しくも雄々しい騎士。

 その名は――GXウイングロード。



「GX‥‥とは一体?」

 戸惑うスイデン国王に、触手で肩を叩きながら大賢者トカマァクが説明する。

神蒼玉(ゴッドサファイア)を二つ使ってるから【クロス】をつけました。おそらくこの世界初の、贅沢な機体です』



 表示された操縦者の名前を見て、ディーンが疎ましそうに叫んだ。

『レイシェル! いけない子だな! 家で大人しくしていなさい!』

 彼の乗るアミルアリアンが大股で迫る。

 連合軍が慌ててそれを止めようとするが、レイシェルは彼らの先頭に自ら機体を立たせた。


 ウイングロードが剣を構えた。

「ディーン兄様。貴方を引き受けたいのは山々ですけれど‥‥想いを託してくれた人のため、私事(わたくしごと)は後ですの!」

 剣が白い光を帯びる。

 ロードが地を蹴り、兄の乗る魔王機へと飛んだ。


 魔王機が無数の熱線を降らせる!

 だがロードはそれを掻い潜り、装甲を掠めるのも構わず突撃。そして剣を一閃!

 魔王機の肩口が斬られ、派手に部品が散った。

『この、切れ味は‥‥?』

 ディーンが唸った。


「あれ、あげて良かったのか?」

 竜艦のブリッジでクロカがヴァルキュリナに訊く。

 彼女は頷いた。

「問題無い。有効に使ってくれるだろう」


 ロードの操縦席にあるレバーの片方‥‥それは専用のスリットに差し込まれた聖剣エクスカリバー!

 これをケイオス・ウォリアーに役立てられないかと、技術者一同がなんとか頭を捻り、操縦席の一部に組み込む事で聖剣のパワーを機体の剣へ増幅して送り込む事にしたのである。



 兄の機体を斬り裂いたレイシェルは、しかし相手の横を通り抜けるようにして跳ぶ。

 ロードはそのまま翼を広げて飛び去った。

『どこへ行くのだ!』

 ディーンのその叫びに呼応し、怪獣どもがロードの後を追おうとする。

 だがその前に、連合軍の部隊が立ち塞がった。

「せめて怪獣は我らが止めるぞ!」

 元ナーラーの騎士が叫び、フォースカー子爵・ファンデム伯爵の両軍も呼応する。

 騎士団と怪獣達が激しく激突した。



 一方、レイシェルのウイングロードは剣を手に飛ぶ。

 向かう先にはディーアの乗る二機目のアミルアリアン。

『私が先というわけね!』

 どこか嬉しそうに言うディーア機へ向かいながら、レイシェルは叫んだ。

「【ゴールドライド】!」


 ウイングロードの純白の翼までもが黄金に輝く。

 金のオーラを纏う聖剣を、ロードは全力で振るった。 

 魔王機が降らせる熱線の中で!


 地獄の光線雨が、一条の閃光に切り裂かれた!


 無数の光線を食らった全身から煙をあげながらも、剣を振り切った姿勢のウイングロード。

 それから飛び退いて距離をとる魔王機の胸には、深い斬り傷がざっくりと刻まれていた。

 怒りにディーアが唇を噛む。

『く、この‥‥!』



 その頃、騎士団は殺到する怪獣どもと激戦を演じていた。

 しかし徐々に圧されていく――魔王機アミルアリアンが出現した時に受けた攻撃で戦力を削られたのが、ここで響いてきたのだ。

『怯むな、持ち堪えるんだ!』

 必死に叫ぶスイデン国の騎士。

 そんな彼に、巨大なアリジゴクの牙が襲い掛かる!

 しかし騎士がやられる前に、アリジゴクは打ち倒された。


 目を丸くする騎士に、キリンの頭部を持つ白銀級機(シルバークラス)が呼び掛ける。

『損傷した機体は修理部隊の所へ戻れ』

『後は私らが片付けとくから、ね』

 赤い鳥の頭部を持つランの機体からも。

 彼らが怪獣を倒したのだと、連合軍の騎士達は理解した。



 そして、二人の女魔法戦士は――


 触れた物を崩壊させる掌と、熱線。

 聖剣と、破壊の魔術。

 一呼吸の間に連続して放つ攻撃を互いに繰り出しあいつつ、ディーアの魔王機とレイシェルの黄金級機(ゴールドクラス)は睨み合った。

 互いに小さくないダメージを受けている。


『流石は黄金級機(ゴールドクラス)ね』

 次の攻撃の機会を伺いながら言うディーア。

「ここで貴方を倒しても、まだ解放されないとはわかっているけれど」

 応えつつも次の攻撃の機会を伺うレイシェル。

『言うじゃない! けれどまだ‥‥』

 しかしそこへ割り込むジルコニアの声。

『いんや、ここはおひらきにしてくれよなー』


 振り向いた二機は見た。

 怪獣達の屍が累々と横たわるのを。

 その中に立つ二機の白銀級機(シルバークラス)を。

『まだもう少しいるが、残りはオレがやっといてやるよ』

 片方‥‥燃え盛る丸い頭部を持つ奇怪な巨人型の機体からサイシュウが言う。屍を踏み越えて近づく、生き残りの怪獣どもを睨みつけて。

 言われたのはもう一機の‥‥Eムーンシャドゥ。

『ああ、頼んだ』

 ノブはそう言うと、ディーアのアミルアリアンへと向かう。

『【ゴールドライド】!』

 新たに得た機能を叫んで。


 ムーンシャドゥが、金色こんじきに輝く光のオーロラを纏った‥‥!


『そういや貴方もいたわよね!』

 浅からぬ因縁を思い出し、ディーアは光線の雨を降らせた。

 だが異界流(ケイオス)と超能力に加え、新機能により地形適応まで上がったシャドゥは、焦熱地獄の中を物ともせずに走りぬける!

 そして跳ぶ!


 王者の石の閃光に包まれたシャドゥのドロップキックは、容赦なく魔王機に突き刺さった。


 仰け反って吹っ飛ぶアミルアリアン。

 それが体勢を立て直す前に、レイシェルの詠唱が響き渡った。

「【光熱の領域、最終第七の段位。真なる極小の核は分かれ融合する。速き風は光と共に全てを滅する】――ニュークリアーブラスト!」

 熱核撃の光球が放たれ、魔王機を呑み込む!


 熱波は荒れ狂った。

 いつも以上の、異常なほどの勢いで。

 クラゲ艦のモニターでそれを見ていたリュウラは表示されたデータを目の当たりにする。

「スピリットコマンド【ラブ()】‥‥これがレイシェルの最後のコマンド。それであの威力に‥‥」



・スピリットコマンド【ラブ()

 最強のコマンドの一つ。戦意(モラール)+10、命中率100%、回避率100%、威力2倍、獲得資金2倍、獲得経験値2倍の複合効果を発揮する。


 

 光と風と熱が魔力の結界内を荒れ狂い、魔王機を焼却した。

 爆発が収まった時、焦げた大地に残るは残骸の欠片のみ‥‥。


「彼女なら、きっとお前を解放してくれるじゃろう。もう少し、待っておくれ‥‥」

 レイシェルの乗るウイングロードの、黄金のオーラが収まるのを見ながら、老ディーヴ前天王は孫娘を想いつつ、そう呟いた。

設定解説


・GXウイングロード

 ナーラー国で未完成に終わった黄金級機の設計図を流用し、白銀級機Sエストックナイトを強化改造して完成した黄金級機。

 金色の甲冑に身を包んだ騎士であり、背中に大きな、兜に小さな翼が一対ずつある。

 性能は元になったエストックナイトをそのまま向上させた上位互換機であり、操縦者レイシェルの技量をいかんなく発揮する事ができる。外見通り高い飛行能力も備えており、【ゴールドライド】で一時的に攻撃速度を倍化させる事も可能。

 作中現時点における人類の技術の最終到達点であり、これを超える機体はこの世界に存在しない。


基礎ステータス(10段階改造時)

HP:15000 EN:350 装甲:2400 運動:170 照準:210

HP回復・小

EN回復・小

射 エナジーブラスト    攻撃4900 射程2-7

射 ニュークリアーブラスト(MAP)攻撃5000 射程1-5・着弾指定直径5

格 エクスカリバー     攻撃5200 射程P1-3

射 ディープフリーズ    攻撃5900 射程2-8

格 聖剣一刀両断      攻撃6200 射程P1-3

射 ニュークリアーブラスト 攻撃7200 射程2-8

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ