105 双星 4
登場人物の簡易紹介(誰かわからない奴がいた時だけ見てください)
ジン:地球から召喚され、この世界で改造人間にされた男。
ナイナイ(ナイナ):異世界からこの世界に召喚され、ジンと同じ改造を受けた少年にして少女。
ダインスケン:異世界からこの世界に召喚され、ジンと同じ改造を受けた爬虫人類。
レイシェル:クイン公爵家の令嬢にして魔法戦士。
ノブ:地上最強の霊能者。
ジルコニア:ノブに同乗する妖精。
エンク:枝分かれした麒角を持つ精悍な青年。光速戦闘を可能とする能力者。
ラン:長い赤毛の後ろ髪に孔雀のような尾羽の混ざった、強気な目つきの女性。無限再生と敵を即死させる能力を持つ。
サイシュウ:メガネをかけた陰険そうな猫背の禿。ただし頭皮は黄色い。望んだ物を消去する能力者。
魔王軍の接近に、急ぎ出撃する連合軍。
首都前の平野に各部隊が出揃った時、敵の軍は機体の目で視認できる距離まで近づいていた。
「なんだ、あの軍は?」
誰かが狼狽える。
魔王軍のケイオス・ウォリアーは、一機もいなかった。
太い四肢を持つ環形動物、節足を多数生やした結晶、巨大なグンカンドリ、鋼鉄のアリジゴク‥‥
レイシェル達が旅の間に戦った怪獣どもが、雑多な群れをつくって迫っていたのである。
無論、こんな群れが自然に発生する筈が無い。
グスタが威勢よく指示を出した。
『よし、双剣の陣で迎え撃つぜ!』
双剣の陣——インタセクシルではよく用いられる戦法である。
同じぐらいの戦闘力に分けた部隊二つと、修理・補給装置を装備した機体を集めた部隊。
二つの戦闘部隊が交互に敵へ突撃しては、交互に退いて修理と補給を受ける。二刀流の剣が閃くがごとく、交代交代に。
戦場で機体を直接修理・補給できる装置が存在するインタクセシルでは自然と発生した王道戦法の一つだ。
が、部隊を再編成する前に、敵へ真っすぐ突撃する一団があった。
『ヒャッハアア! 殺せえ!』
元魔王軍陸戦大隊残党軍である。
彼らに戦法を指示する場合は先頭に立って大声をあげねばならないのだが、そんな事を人類側の軍は知らないのだ。
『あ‥‥行っちゃった』
茫然と呟くエリザドラ。
『まぁあれは軍を三分割する時間を稼ぐ捨て駒という事でいいだろう。こちらは今のうちに準備を』
冷静に促すノブ。
だがグスタは注意を促してきた。
『おっと、悪いが鬼甲戦隊とクイン星輝隊は待機で頼む。代わりにカマセイル隊を主力にさせてもらいたい』
『お、話がわかるじゃねぇか。オレらの無双を見ておきな!』
乗り気でそう応え、サイシュウは率先して前に出る。エンクとランも共に――カマセイル隊が先陣をきる形だ。
無論、戦法を理解しているので三機だけで突撃したりはしないが、軍団の先頭に位置して攻撃の時を待っていた。
それを見ながらザウルライガーが訊く。
『我々は待機でいいのですか?』
『ああ。でも戦場にはいてくれよ。絶対出番が来るからな!』
グスタは確信をもって答えると、第二陣の先頭へと向かった。
「なんだ? アイツ‥‥」
首を傾げるジルコニア。
しかしノブにはグスタの考えがわかった。
「怪獣どもに指令を出している奴が見当たらない。だからだろうな」
――元陸戦大隊が半壊する頃、怪獣軍団へ連合部隊が突撃を開始した――
単純なパワーなら怪獣どもの方が上だっただろう。
だが交戦と後退、修理と立て直しを交互に繰り返す連合部隊は徐々に魔王軍を圧し、優勢に立っていた。
カマセイル隊の三機が同時に三体の怪獣を屠るのを城から眺め、フォースカー子爵が呟く。
「ふむ。この連合軍だけでもかなりの戦力だな。このままなら‥‥」
「いや、やはり来たようだぞ」
ファンデム伯爵の緊張した声。
怪獣部隊の最後尾のさらに後ろに、新たな機影が現れたのだ。
『久しぶりに戻ってくれば、随分と余所者がいるじゃあないか』
新たな機体から届く通信。
生体部品だけで構成された、謎の機体——アミルアリアン。
その操縦者が各機のモニターに表示される。
【暗黒大僧正】という名と、細い目を曲げて気味悪く微笑むディーンの顔が‥‥。
新たな敵の出現に、陸戦大隊の残党がいきり立った。
『敵の頭か! やっちまえ!』
「首領の名前が表示されてんの、見えねーのかよ」
そんなジルコニアの呆れ声など聞こえもせず、得物を振り上げて突撃する陸戦大隊の各機。
しかし――彼らの進路の横手から不意に姿を現す別の一機があった。
『臭そうな連中ね』
操縦者の声とともにその機体——別のアミルアリアンが片手を上げる。
途端に天から降り注ぐ光線の雨!
『なにィ!?』
驚愕の声をあげ、迂闊に突撃した陸戦大隊残党は次々と射抜かれ、焼かれ、爆発した。
操縦者の声を聞いて、ディーヴ前天王が昏い声で呻く。
「ディーア‥‥」
『お爺様。こんな連中を搔き集めても無駄ですよ?』
そう言うかつての孫娘は、小馬鹿にしたように嗤っていた‥‥。
だが、敵の増援はこれだけでは無かった。
ジルコニアがモニターを見て嫌そうな顔をする。
「なぁ、もう一機いやがるぞ」
その、最後の一機が姿を現した。
それは三機目のアミルアリアン。
操縦者からの通信が届く。
『久しいな』
そしてモニターにその顔が映った。
無精髭を生やした禿頭の男。
鋭い目に鋭い鼻、固い顎。
グリダが青ざめた。
「し、師匠!」
水竜ヨルムンの声も苦々しい。
『タレスマン‥‥身も心も囚われ、悪鬼になり下がるとは』
しかしタレスマンと呼ばれた男は、厳かに断言した。
『いいや。わたしほど自由な物は、この世におらんよ』
だしぬけにノブがクラゲ艦へ通信を送った。
「奴らのステータスを調べてくれ」
「あ、ああ!」
了解しつつ、エリカがスピリットコマンド【スカウト】で敵機の能力を解析する。
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暗黒大僧正 LV56
アミルアリアン HP72000
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暗黒大僧正 LV56
格闘275 射撃275 技量278 防御237 回避172 命中212 SP187
2回行動:連続して行動を行う。
ガード3:戦意130以上で被ダメージが20%軽減される。
極:戦意130以上で命中・回避・クリティカル率に+30される。
アタッカー:戦意130以上で与ダメージが20%増加する。
精神耐性:パイロットへのデバフを無効化する。
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モニターの表示画面を、ノブは次々と切り替えた。
それを見て首を傾げるジルコニア。
「どうしたんだ? ノブ」
ノブは手を止め、モニターを凝視した。
「彼らのステータスは三人とも全く同じだ。うち二人は死んだ筈の者‥‥」
顔をあげ、機体の目で敵機を睨むノブ。
「寄生だの憑依だのと考えていたが、違うのかもしれないな。彼らは操られているのではなく‥‥顔と体を似せて作り直したのかもしれない。記憶はオリジナルから奪いでもしたか」
そう推測していると、通信機からジンの声が届いた。
「勝手な偏見で言わせてもらうが、宇宙人ならデータ化だの洗脳だのクローニングだのも得意そうだしな」
その声にノブは振り向く。
「来たか」
城の門が開き、竜艦Cガストニアの巨体が現れた。
「あの三機は私達が相手をしますわ」
レイシェルの声がして、艦の横腹にあるハッチが開く。
先ずナイナイとダインスケンの機体が出撃した。
続いて――黄金に輝く装甲の、新たな二機の新型機が‥‥!
本棚や押し入れをなんかの理由で探った時、ときたま紛失に気付く事がある。
おかしい‥‥GUンダムセンチネルRPGのルールブックがどこにも見当たらねぇ。
RPGと表記されているのに、戦闘MAP上を索敵しながら動いて敵を倒して全滅させればクリア、というブツであり「これSLGちゃうんか」と仲間内で物議を一回だけ醸した逸品なのだが。
なおプレイ回数も1回。




