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異世界スペースNo1(ランクB)(EX)(完結編)  作者: マッサン
第三次 疾風怒濤編
321/353

98 再起 7

登場人物の簡易紹介(誰かわからない奴がいた時だけ見てください)


ジン:地球から召喚され、この世界で改造人間にされた男。

ナイナイ(ナイナ):異世界からこの世界に召喚され、ジンと同じ改造を受けた少年にして少女

リリマナ:ジンに同乗する妖精。

レイシェル:クイン公爵家の令嬢にして魔法戦士。

ノブ:地上最強の霊能者。

ジルコニア:ノブに同乗する妖精。

エンク:枝分かれした麒角を持つ精悍な青年。光速戦闘を可能とする能力者。

ラン:長い赤毛の後ろ髪に孔雀のような尾羽の混ざった、強気な目つきの女性。無限再生と敵を即死させる能力を持つ。

サイシュウ:メガネをかけた陰険そうな猫背の禿。ただし頭皮は黄色い。望んだ物を消去する能力者。

老人:ナイナが転がり込んだ、ボロ長屋の一室の持ち主。

 街の一区画が半壊した。

 だが魔王軍が巨大ロボで地上侵攻を行っている世界である。割とよくある事だ。

 とはいえ街の統治者や住人が放っておくわけもない。王なき自治領ではあるが、街の各種ギルドが代表者を出し合って作った行政機関があり、ジンもノブも当然、派遣された兵士達に質問責めにされた。

 しかしジンは()()()()にかかずらっている時間が惜しかったので、クラゲ艦クルーに対応を丸投げした。


 とういうわけで、ジンは貧民窟の長屋の一室を訪れていた。

 ナイナが借主の爺さんと共に、部屋に戻りたがったからだ。

 ノブ、レイシェル、エリザも当然ついてきている。


 同居人の元カマセイル隊も部屋にいたが、話の経緯を訊くと――


「何度も断ってんだろ! それより酒だ! 酒を持って来い!」

 酒瓶を手に怒鳴るサイシュウ。

「俺はそろそろ空き瓶を集めに行く。勢揃いしている必要は無いな?」

 興味なさそうに出て行こうとするエンク。

「私は買い物にでも行こうかしら。売れ残りのクズ野菜がそろそろ値引きする頃だし」

 面倒くさそうに言うラン。


「本気でもうちっともやる気ねーなコイツら‥‥」

 呆れるジルコニアに、錆びたトングを手にしたエンクが言う。

「魔王軍の首領の、偽物だか側近だかまで出てきているんだろう。負け犬をかき集めて役に立つと思うのか」

 エリザががっくり肩を落とした。

 今日もスカウトはできそうにない。


 しかしレイシェルには確認したい事があった。

 先刻戦った女が言っていた事だ。

「お爺さん、あの女魔法戦士‥‥ディーアを知っていますのね? 貴方は彼女の祖父で、ナーラー国の‥‥」

 老人に訊くレイシェルに、しかし横からランが――

「やめな」

 ――低く、キツい声で、質問を遮った。

「この街のこの辺りで、他人の詮索はするんじゃないよ。さっさと他所(よそ)へ行きな」



 気まずい沈黙。

 だがそれを気にせず、ジンはナイナに話しかけた。

「そうするか。行くぞ、ナイナイ」


 だが‥‥ナイナは何も言わない。

 黙って目を逸らしたままだ。

 反応の悪さに戸惑いはしたが、ジンはナイナの肩を掴んだ。

「おい‥‥」


 そう呼び掛けるジンが突き飛ばされた。

 数歩離されたジンが見たのは、酒瓶を手に睨みつけてくるサイシュウ。

「嫌がってんだろうが。テメエだけで出ていけ」


 ジンの目つきが一気に険しくなった。

「お前の出る幕じゃねぇ‥‥!」

 だがサイシュウは、それに臆する様子はない。

「そんなもん知るか! 幕もテメエのステも消してゼロにしてやんよ!」


 サイシュウの頭の模様が光を帯びる。

 空き瓶の汚れを消す事にしか使われなくなって久しい【消去自在】のスキルが、攻撃のために発動した!

 当然、その目標はジン。

 一方ジンは、相手のスキルは知らないまでも()()()()()()()()事は察し、右拳を繰り出す!


 何かが砕ける音がし、サイシュウが胸板をしこたま打たれて壁に叩きつけられた。

 ジンには――変わった様子は無い。

【消去自在】のスキル効果はジンに通じなかったのだ。

 人造人間としての能力が何か作用したのか、単に鍛えられた体が跳ね返したのか。それはわからないが。


「ヘヘ‥‥ま、こんなもんか」

 ズルズルと床に崩れ落ちながら自嘲気味に笑うサイシュウ。こうなる事が薄々予想できていたらしい。

 殴り飛ばしたジンの方が、何が何やら戸惑う始末。

 そんなジンに、今度はランが立ち塞がった。 

「次は私が相手になるよ、オレサマ気取りさん」


 ジンは困惑する。

 フェミニストを気取るわけではないが、生身の女性に拳を叩き込むのはやり難い。

 己の異形の腕はいかな魔剣をも凌駕する凶器なのだから。


 だがエンクがランの肩に手をかけてどかし、己が進み出た。

「女相手では気が引けるようだな。やられ役は俺が代わろう」


「いい加減にして! ナイナイは私達の仲間なんだよォ!」

 苛々したリリマナが叫ぶ。

 だがエンクは、静かに(かぶり)を振った。

「昔の話ならやめてもらおう。この区画の住人に過去など無い。ナイナは、今は俺達と同じ家で同じ飯を食っている」

「ま、拾ってきたのは私だけどね。ついてきたのはこの()よ」

 ランがそう言い、横目でナイナを見る。


 ナイナは‥‥黙って、頷いた。



 ジンが歩き出した。

 ナイナを真っすぐ見つめて、大股で。

 だが次の瞬間、エンクの姿がフッと消える。


 そして、彼の拳がジンのどてっ腹に真っすぐ突き刺さった!

 光速かどうかはともかく、視認さえできない超高速での一撃。

 衝撃でジンの体がくの字に折れる。


 だが、吹き飛びも倒れもしない。

 踏み止まると、異形の手で相手の拳をゆっくり押し退けて‥‥再び前進する。

 睨みつけるエンクの視線を意に介さず、その側を通り過ぎ、ナイナの側へ。

 手を伸ばせば届く距離で、そこで足を止めた。


「ここに居たいのなら、それで構わねぇからよ」


「ええっ!?」

 驚くリリマナ。

「わざわざここに来たのにか」

 ノブがメガネを弄りながら訊く。

「そうだ。言う事はあるがな」

 振り向きもせずにそう応えると、ジンは改めてナイナに言った。



「俺達の体を殺した事を気に病んでるなら、それはやめろ。その責任があるのは俺だ」



 ナイナが顔をあげた。

 思いもかけない言葉に戸惑って。

「ボクがナイフを当てちゃって‥‥」

 その言葉を、ジンは遮る。

「覚えているか? 海戦大隊長とやらが黄金級機(ゴールドクラス)で基地を吹き飛ばした後の事を。オウキの奴が俺達の体の事を教えた日の事を」


 それが随分前だった気がするのは、ジンとナイナ、二人とも同じだ。


「俺が俺以上の敵を相手にするため、ナイナイに来てくれと頼んだろうが。俺達の元の体が敵に抑えられている事がわかった時、ナイナイは悪者の言いなりになりたくないと言って、俺はそれに賛成したろうが」

 ジンの目が険しさを増す。

 語気が強くなる。まるで憤っているかのようだ。何に‥‥かはわからない。

「来てくれと言ったのは俺! ナイナイの選択に同意したのも俺! ナイフを投げろと指示したのも俺だ! だったらその結果も俺でないと、スジが通らねぇだろう!」


 そこまで言って、少し途切れ‥‥「ふう」と一息、吐く。


「それにな。来雅(らいが)(じん)て奴は、もう死んでたんだ。俺が殺した」

「えっ!?」

 驚くナイナに、ジンは続ける。

「オウキの奴に啖呵きったろ。元の体に戻る理由が無い、てな。あれを口にした時、もう来雅(らいが)(じん)て奴が生き返る目は無くなって‥‥ジン=ライガが、息の根止めちまったんだ」


 ジンが笑った。

 静かに、微かに。

「それでも怒る資格がある奴がこの世にいるとすれば、それはダインスケンだけだ。だが、わかるだろ。あいつがこんな事でナイナイに文句つけるわけがねぇ事ぐらいは」

 そして優しく諭す。

「自分を責めるな。そんな理由なら一緒に帰るぞ。ダインスケンの奴も待ってるからよ」



 だが、ナイナは再び目を伏せた。

「それだけじゃ、ないもん‥‥」

DDのオーブ欠片が8000個突破。

そろそろ主要キャラに使うか。

しかしこの素材はつぎ込みだしたらいくらあっても足りないから踏ん切りがつき難くて困る。

まぁ使わないなら使わないで、現状戦力で遊んでおけばいいだがな。

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