表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界スペースNo1(ランクB)(EX)(完結編)  作者: マッサン
第三次 疾風怒濤編
315/353

92 再起 1

登場人物の簡易紹介(誰かわからない奴がいた時だけ見てください)


ジン:地球から召喚され、この世界で改造人間にされた男。

ナイナイ(ナイナ):異世界からこの世界に召喚され、ジンと同じ改造を受けた少年にして少女。

リリマナ:ジンに同乗する妖精。

オウキ:元魔王軍空戦大隊の親衛隊。核戦争で荒廃した世界から来た拳法家。

レイシェル:クイン公爵家の令嬢にして魔法戦士。

ノブ:地上最強の霊能者。

ジルコニア:ノブに同乗する妖精。

リュウラ:クラゲ艦・Cウォーオーの艦長を勤める魔法戦士の少女。

エリカ:オーガーハーフエルフの整備士兼副艦長。

 ナイナは自機・Sパールオイスターを置いたまま、僅かな荷物とともに姿を消した。

 少し調べると、城の格納庫から一機、飛行型の量産機Bボウクロウが消えていた事もわかった。


 だが、どこへ?

「飛んでいった方向はわかるそうだが‥‥そこから先は街や村を順に当たっていくしかなさそうだ」

 困った顔で告げるヴァルキュリナ。

 ナイナが機体に乗る所も、それが飛び立つ所も見ていた作業員もいるのだが、なにせナイナは既に救国の英雄の一人。まさか無断で行方を晦ますなどと思わず、多少の疑問は覚えたものの、黙って見送ってしまったという。


「方向だけでもわかっているなら、後は根気だな。俺は出る」

 そう言ってジンはSサンダーカブトに乗り込もうとする。

「艦の新装備ができるまで祖国の守りに就いて欲しかったがな‥‥」

 少々困りながらコーラルが呟く。

「ああ、わかっている。スタッグチームとCガストニアは予定通り残ってくれ。俺とダインスケンでこっちはなんとかするからよ」

 ジンがそう言うと、コーラルはもっと困った顔を見せた。

「いや、別に貴公らを批難しているわけでは‥‥」

 だがジンは(かぶり)を振る。

「こっちこそ、別に腹立てたわけでも文句があるわけでもねぇ。鬼甲戦隊(きこうせんたい)の不始末なのは本当だからよ。だが‥‥成り行きとはいえ俺が隊長だ。ナイナイのケツ拭くのはこっちでやらないとスジが通らねぇ」


「責任を感じているというなら、こちらの提案をきいてもらいたい」

 ノブがそう声をかけた。

「何だ?」

 聞き返すジンに、ノブが出した提案は――

「僕が同行しよう。協力を受け入れてもらう」



――Cウォーオーは一路、ナイナの後を追う――



「まぁ理屈はその通りだがよ‥‥」

 説明された事を思い出しつつ、ジンはクラゲ艦のブリッジにいた。

 ガストニアのクルーはいない。ジンだけがクラゲ艦に乗せてもらっていた。

 頷くノブ。

「その通りだ。僕の超能力系魔法を使った方が絶対に発見は早い。艦の新装備が完成するまでに解決しないと困るからな」



 ノブの魔法が人探しに役立った事には前例がある。今回は捜索範囲の広さから今までのようにはいかないだろうが、無いと有るでは天地の差が生じる筈だ。

 よってノブが同行する事になったのだが――どこまで探しに行く事になるか見えない以上、やはり艦は欲しい。というわけでスイデンの物ではないクラゲ艦の方を使う事になった。

 なし崩しにクイン星輝隊(せいきたい)側のクルーが同行する事になったので、ジンはダインスケンに首都の防衛を頼んだ。

 またジンとナイナが抜けた穴を埋めるため、ドリルライガーにも防衛組に加わって貰っている。



 ノブの肩でジルコニアが「クシシシ」と笑った。

「つっても結局は賢者タレスマンが見つからなかったからな。その弟子、アルの姉ちゃんが代理してるとはいえ、やっぱ一週間じゃ到底無理だってよ」

「ある程度形になったらスイデン首都に持ってくるのでしょう?」

 訊いたのはレイシェル。

 彼女もスイデン国の人間なのだが、クイン星輝隊(せいきたい)の隊長なので、こちら側に同行している。

 彼女に答えるのは艦長として操艦を担当するリュウラだ。

「ええ。外付けパーツにするのではなく、艦に直接増設してしまうって。艦ごと使い捨てる形になるけど、工期は短縮できるから」

「流石に王様も渋い顔してたな‥‥」

 思い出して呟くエリカ。


 Cガストニアはスイデン国最新鋭の軍艦である。失う事を喜ぶわけがない。

 だがそれでも勝利のために必要ならと、受け入れるだけの配慮はできる王でもあったが。


「私達としても、敵地の真ん中で乗艦を失う危険な戦いになりますわね‥‥」

 悩むレイシェル。

 ジルコニアがノブの肩で足をぶらぶらさせた。

「もう考え変えて、時間かけてゆっくり造った方がいいと思うけどなー。あたしらばっか危険な博打うつ必要あるかあ?」

「でも大国が全部滅ぼされちゃったし、長引くとどれだけ被害が出るかわかんないよォ」

 ジンについてきたリリマナが、肩の上で足をぶらぶらさせつつ応える。

 壁にもたれて腕組みしているオウキが「フッ」と笑った。

「愚図愚図していると敵も手を打ってくるかもしれん。大将首を獲ろうというのだ。伸るか反るかの勝負も面白かろう」

「面白くないんだけど」

 冷めた目でリュウラが毒づいた。

 まぁ二人の戦いに関する姿勢が違うので仕方がない。



 話をしながらナイナを追うクラゲ艦の一同。

 だが突然、ブリッジクルーのモヒカンエルフが「敵襲!」と大声をあげた。

 棘ヘルムエルフが続いて叫ぶ。

「このマーカー色! 魔王軍ですぜ!」


 驚くエリカ。

「なんだと!? こっちの動きを察知してやがんのか!」

「私達もマークされている、というわけですのね‥‥」

 レイシェルが顔を顰める。

 と、モニターに敵の画像が出た。


『クイン星輝隊(せいきたい)の艦だな! こんな所で会えるとは思わなかったが、これは僥倖! 元陸戦大隊にしてエイリアンズ最強の親衛隊マスターギロチンがその首を貰った!』

 ウサギの獣人——頭部がまんまウサギで、長い前歯から血が滴り落ちている――が嬉しそうに(うそぶ)く。

 その乗機は両手に首切り斧を握る、長い毛の塊であった。

 その後ろにいる多数の量産機も全て猛獣型で統一されている。


 首を傾げるジルコニア。

「ただの遭遇戦みてーだな」

「どこで会ってもおかしくないかあ」

 露骨にうんざりしてリリマナが(こぼ)した。


「出るぞ!」

 言ってブリッジから走り出るジン。

 ほぼ同時に廊下へ駆け出し、並走しながらノブが訊く。

「以前、世界は大切な人のついでと言ったな」

「ちょっとォ! こんな時に何言ってんの?」

 ジンの肩で批難するリリマナ。

 だがジンは走りながら頷く。

「ああ、言った」

「ナイナ‥‥あの子がそうか?」

 その問いにもジンは迷う事無く頷いた。

「ナイナイ()、ではあるがよ」


 ノブはさらに問う。

「あの子は自分の意思で出て行った。元の体を死なせた責任を感じてだとして‥‥それは本人の勝手ではないのか?」

 ジンは「ああ」と頷いたものの、走る速度を落としはしなかった。


「それを追いかけるのは俺の勝手だからよ」


「おいおい、どこかで聞いた話だな!」

 笑いながらジルコニアが横目でノブを見る。

 それを気にもせず、ジンは呟いた。

「言わなきゃならねぇ事もできた。ナイナイが出ていく前に言うべきだったのにな‥‥」


 そしてジンは走った。行く手を遮る敵を倒すために。

 ノブは「なるほど」と呟き、その後を追って走った。

設定解説


・マスターギロチン


元陸戦大隊親衛隊。

恐るべきクビキリジュツの使い手で、未熟な敵の首を刎ねて屍の山を築いてきた獣人戦士。

未熟者を狙って星稼ぎする冷静で的確な戦法により、陸戦大隊屈指の撃墜数を誇っていた。

陸戦大隊が壊滅したのでエイリアンズに移籍。次代の大隊長の座を狙う。


この回の話でも戦闘力に乏しいある人物を探して探索任務に就いていた。

まともに強い相手に挑む失態をおかしたため、この回の直後に戦死。

次回は場面が変わります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ