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異世界スペースNo1(ランクB)(EX)(完結編)  作者: マッサン
第三次 疾風怒濤編
311/353

88 離別 8

登場人物の簡易紹介(誰かわからない奴がいた時だけ見てください)


ジン:地球から召喚され、この世界で改造人間にされた男。

ナイナイ(ナイナ):異世界からこの世界に召喚され、ジンと同じ改造を受けた少年にして少女。

ダインスケン:異世界からこの世界に召喚され、ジンと同じ改造を受けた爬虫人類。

リリマナ:ジンに同乗する妖精。

ヴァルキュリナ:ジン達を拾った女正騎士。竜艦Cガストニアの艦長。

クロカ:女ドワーフの技術者。Cガストニア所属。

ゴブオ:ジンについてきたゴブリン。

アル:冒険者の少年戦士。

パーシー:スイデン国所属の少年騎士。

コーラル:スイデン国所属の青年騎士。


レイシェル:クイン公爵家の令嬢にして魔法戦士。

ノブ:地上最強の霊能者。

ジルコニア:ノブに同乗する妖精。

ドリルライガー:ドリル戦車に宿ったエネルギー生命体。合体形態・ザウルライガー。

リュウラ:クラゲ艦・Cウォーオーの艦長を勤める魔法戦士の少女。

エリカ:オーガーハーフエルフの整備士兼副艦長。

オウキ:元魔王軍空戦大隊の親衛隊。核戦争で荒廃した世界から来た拳法家。

 ジンがナイナイの名を叫んだのは、攻撃を頼むと言う意思表示だ。

 それを共感能力で瞬時に察し、ナイナは呼ばれるのと同時に近いタイミングでナイフを投げた。

 それはマスターメカバトラーに、見事に突き刺さった。


 だが――砕けて落ちたのは、自爆装置だった。


「あ‥‥」

 呆然と呟くナイナ。

 狙ったのは首だった筈だ。

 それが胸のど真ん中。ナイナの投擲技術なら有り得ないズレである。


 自爆装置が床に落ち、さらに割れた。

 途端に三つの棺が揺れ、中で何かが砕ける音、蓋に内側から叩きつけられるような音が響く。

 そして――完全に静まった。



「ぬううっ!」

 呻くマスターバトラーのボディの、各部にあるランプが点灯する。出力を限界まで上げた四肢が震える。

「バカな事をしおって‥‥かくなる上は俺の最大の武器を見せてやる!」


 しかし、その時。


「ほう。そうしてもらおうか」

 そう言いながら部屋へ入ってくる男がいた。

 それを見とめ、バトラーが声を荒げる。

「貴様、マスターウィンド!」



 元マスターウィンド――オウキは剣呑な笑みを浮かべた。

「他の三人はもうおらんぞ」

 彼の後ろに別の誰かが姿を現す。「ケーッ」と鳴くそれはダインスケンだ。

 オウキが一つ、ダインスケンが二つ、何かを床に放り投げた。

 ゴロゴロと転がるのは――生首!

 マンモス、コウモリ、ザリガニの、人と同じ大きさの首。他のエリアを守っていた三人のエイリアンズの成れの果てであった。


 歯軋りするバトラー。

「ぬう‥‥ならば見るか! 俺の最大の殺人機能(キリングパワー)、アイアンテンペストを!」

 バトラーの周囲に旋風が起こった。金属のボディを中心に、竜巻が生まれて吹き荒れる。

 それはただの竜巻ではなかった。風の中に鈍い輝きが無数に煌めいていた。それは金属の粒子——風の刃を巨大な不定形の刀と化すための! 

 竜巻は床を削り、抉り、宙で砕く。全方位を粉砕しながら、急速に広がるのだ。

 バトラーが竜巻の、巨大なミキサーの中心で勝ち誇った。

「攻防一体! 10秒後、この部屋の全ては粉々になる! 砕けて‥‥」


 言葉が終わる前に、影が竜巻を跳び越えた。

 渦の中心を二つの斬撃が縦に裂く!


「ケケェー!」

 ダインスケンが雄叫びとともに、その爪でバトラーのボディが右の肩から袈裟斬りに断った!

「10秒は長すぎたな」

 オウキが呟いたのは、その手刀がバトラーのボディを左の肩から袈裟斬りに断った後だった‥‥!


 竜巻は消えた。

 四つに寸断された胴体が転がる。

 刻まれた床に金属が転がる、耳障りな音が響いた。



 だが、敵はまだ息絶えてはいなかった!



「許さんぞ! かくなる上はこの艦で圧し潰してくれる!」

 怒りの声をあげるバトラー。

 その頭部が無残な胸部から抜け出し、首から小さな足を二本生やして、猛烈な速さで走り出した。

 誰もいない壁の方へ――そして壁を垂直に走り、天井に開いた孔の奥へ駆け込んで行った。


 奇怪な逃亡を呆然と見送っていたジルコニアが、ハッと我に返る。

「あいつ、何言ってんだ?」

 痛手を負ってよろめきながら、シュリテイスが説明する。

「艦を操縦する気だ。ダンジョン内隅々まで蒸し焼きにできるマイクロウェーブ機能で我々を殺すつもりだろう。早く出た方が良い」



 一同は棺を見た。

 透明な蓋から中が見える。

 そこに横たわっていた三人の体が、氷結され、粉々にされた無残な状態なのも。

(回復魔法‥‥は、無駄なんだろうな)

 詳しい説明を聞くまでもなく、ジンはそれを察した。


 三人の体を取り返す事には失敗したのだ。

 完全に。


「出口は僕が探そう。こちらだな」

 透視の呪文【ウィザードアイ】で映像を出しながらノブが先導する。

 皆はそれに続いて走り出した。


 ただ一人。

 ナイナだけは、まだ棺を眺めて立ち尽くしていた。


 ジンがその肩を揺さぶる。

「いくぞ、ナイナイ」

 ナイナはジンへと振り向いた。

 震えながら。何かに怯えながら。

 ナイナと名乗ってからいつも自身と余裕に満ち、ジンに冗談なのか本気なのかわからないアプローチをかけていた()()が――そんな事などまるで無かったかのように、頼りなく、今にも消えてしまいそうな、弱々しい視線でジンを見る。

「ボク‥‥こんな所で‥‥ボクが全部、壊しちゃった‥‥」


 ジンはナイナの手を握り、力強く、強引に引っ張る。

「来い!」

 指示ではない。連れて行くという意味だ。

 ジンは有無を言わさずナイナの手を牽き、全力で走り出した。



――敵艦Cムツベロスの外では、戦闘が続いていた――



 量産機の群れがCガストニアとCウォーオーへ攻撃を加える。

 それを阻止し、敵を蹴散らしているのは、ザウルライガーとSトライスタッグ。

 量産機に後れを取る2機ではない‥‥が、ジン達が中にいる以上、敵艦へ本気で攻撃を加える事はできなかった。


「ぬう、随分と搭載数の多い艦だな」

 呟きながら目の前にいるBソードアーミーを両断するコーラル。その機体の向こうから、Bダガーハウンドが牙を剥いて飛び出してきた。

 かなりの時間戦っているが、敵機はまだまだいる。


 しかしそこに通信が入る。

『白旗を揚げているのが僕達だ。両艦、ハッチを開けてくれ』

 新たに敵艦から出て来た、2機のBボウクロウ。しかしその機体の頭頂部には、翻る白旗がはっきり見えている。

 ノブが透視の呪文で先導し、敵の格納庫へ皆でなだれ込み、飛行型の機体を奪って脱出したのだ。


了解(ラジャー)! 援護します!』

 空で戦っていたザウルライガーが降りてきて、2機を追う敵を食い止める。

『ありがとよ! 恩にきるぜ』

 礼を言うジン。

 鬼甲戦隊(きこうせんたい)の機体はCガストニアへ。ノブ達の機体はCウォーオーへ。真っすぐに向かった。


 しかし‥‥

 

 それをモニター越しに見ながら、頭部だけになったマスターメカバトラーが忌々し気に唸る。

「チィ! 脱出したか。だがな」

 そう言うと、ブリッジ中央にある柱へ自らを連結した。

 Cムツベロスの12の目が輝きを増す。

「この艦の砲撃で灰にしてやるまでの事だ!」


 ムツベロスの六つの顎が開き、炎が漏れ出す。

 一瞬の後、魔獣艦から流れる炎の波が、竜艦とクラゲ艦へ押し寄せた――!

設定解説


・他のエリアを守っていた三人のエイリアンズの成れの果てであった


ダインスケンはエイリアンズの一人を仕留めたが、まだ敵の臭いがするので隠し通路を探り出してもう一人始末しに行った。

エイリアンズの二人目を仕留めたが、まだ敵の臭いがするので隠し通路を探り出して次の敵を始末しに行った。

三人目を見つけたがオウキが既に仕留めていた。それにジンやナイナの匂いがする。

よってオウキと二人で中央の部屋へ行く事にした。


中央の部屋へ真っすぐ行かなかった理由:真っすぐ行かなければいけないと思っていなかったから。

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