表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界スペースNo1(ランクB)(EX)(完結編)  作者: マッサン
第三次 疾風怒濤編
305/353

82 離別 2

登場人物の簡易紹介(誰かわからない奴がいた時だけ見てください)


ジン:地球から召喚され、この世界で改造人間にされた男。

ナイナイ(ナイナ):異世界からこの世界に召喚され、ジンと同じ改造を受けた少年にして少女。

ダインスケン:異世界からこの世界に召喚され、ジンと同じ改造を受けた爬虫人類。

リリマナ:ジンに同乗する妖精。

ヴァルキュリナ:ジン達を拾った女正騎士。竜艦Cガストニアの艦長。

クロカ:女ドワーフの技術者。Cガストニア所属。

ゴブオ:ジンについてきたゴブリン。

アル:冒険者の少年戦士。

パーシー:スイデン国所属の少年騎士。

コーラル:スイデン国所属の青年騎士。


レイシェル:クイン公爵家の令嬢にして魔法戦士。

ノブ:地上最強の霊能者。

ジルコニア:ノブに同乗する妖精。

ドリルライガー:ドリル戦車に宿ったエネルギー生命体。合体形態・ザウルライガー。

リュウラ:クラゲ艦・Cウォーオーの艦長を勤める魔法戦士の少女。

エリカ:オーガーハーフエルフの整備士兼副艦長。

オウキ:元魔王軍空戦大隊の親衛隊。核戦争で荒廃した世界から来た拳法家。

鬼甲戦隊(きこうせんたい)を捕らえたというのは、あの艦か‥‥」

 呟くノブ。

 Cオーウォーのメインウインドには、山裾の荒野で待ち構えている魔王軍の艦が映っていた。

 Cガストニアと睨み合う、六つの犬頭を持つ野獣型の艦が‥‥。


 連絡を受けて即、クイン星輝隊(せいきたい)はトカマァクのダンジョンから出発した。

 ほとんど休まず敵艦へ辿り着いたので、鬼甲戦隊(きこうせんたい)との時間差は一日に満たない筈だ。


 リュウラが敵艦を窺いつつ呟く。

「地獄の番犬ケルベロス‥‥じゃないわね」

 何せ頭は六つだ。それが横一列に並んでいる。

 上下にずらそうとか向きを揃えようとかいう考えは無かったらしく、前半身のぐるりを頭が囲み、前方180度を常に見ているかのような奇妙な姿だ。


「お義姉様! どういう状況ですの!?」

 レイシェルがCガストニアに通信を送った。

 ヴァルキュリナからの返事がすぐに返って来る。

『レイシェル、すまない! ジン達はあの艦の中に誘い込まれてしまったんだ。機体はここに置いたまま‥‥』

「なんでそんな事に?」

 エリカが首を傾げた時、敵艦の頭上の一つに誰かが姿を見せた。

『それは奴らの元の体を、この艦の中で預かっているからだ~!』


 その()()男だとわかった――全身に装甲を纏い、肌が全く出ていないので外見ではわからないのだ。

 丸みを帯びた、装飾の少ない鎧で身をすっぽり包んでいる。

 そしてその鎧、至る所にハッチやランプがある、機械仕掛けの物なのだ。


「貴様は‥‥陸戦大隊のマスターギルフか」

 オウキには見覚えがあるようだ。

 相手は意気揚々と肯定する。

『覚えていたか、マスターウィンド。そう、今ではエイリアンズ最強の親衛隊マスターメカバトラー!』

 男の両眼が「ブゥン‥‥」と低い音とともに点灯した。


「ロボット‥‥?」

 怪訝な表情で呟くレイシェル。

 すると相手の機嫌が悪くなる。

『勘違いするな。俺は改造人間(サイボーグ)だ。全身の99.9%を機械改造した完全殺人兵器パーフェクトキリングマシーン、それが俺なのだ!』

「残り0.01%ならロボットの中に肉片が貼りついてるだけじゃねーか」

 呆れるジルコニア。

 それを肩に乗せたまま、ノブが相手に訊いた。

「で、そのキリングマシーンはなぜ鬼甲戦隊(きこうせんたい)と戦わずに外にいる?」



『フッ‥‥教えてやろう。この猛獣艦Cムツベロスの中はダンジョンになっていてな。六つの口は別々の入り口にもなっている。どれに入っても中央の保管庫には行けるが‥‥当然、どの道にもエイリアンズの親衛隊が待ち構えているというわけだ!』

 勝ち誇るバトラー。

「え? キリングマシーン本人は戦わないのですか?」

 アリスが納得できずに訊くか、それも相手は一笑に付す。

『清掃員に戦闘のプロの戦術はわかるまいよ』


 ひらひらとアリスの頭上を飛ぶジルコニア。

「気づかれてないぞ、元魔怪大隊長」

「あ、あいつは陸戦だったらしいし‥‥」

 アリスは苦々しい顔で呻いた。


 まぁそれはそれとして、ノブはバトラーに鋭い目を剥ける。

鬼甲戦隊(きこうせんたい)にケイオス・ウォリアーを使わせず、かつ分断したかったという所か」

 バトラーは少し感心したようだ。

『ほう‥‥気づいたか。ならば貴様らはどうしなければいけないか、それも理解できるかな?』

「残り三つの口‥‥まだ開いている所に入って来い。そう言いたいのか?」

 ノブの問いに、相手は『フハハハ!』と笑う

『理解したようだな! この決闘方法を拒めば、当然、鬼甲戦隊(きこうせんたい)の元の体は破壊させてもらう』


「汚ねー」

 ジルコニアが顔をしかめる。

『何を言う? 勝負してやっている時点でどれだけの温情措置かわからんのか?』

 バトラーは平然と言う‥‥が、ノブはメガネをくいくいと弄った。

「言い方があるものだな。一切抵抗するな、などと言えば開き直って元の体を諦めるかもしれない。だから取り返せるチャンスをあえて与え、自分達主導で戦える場に呼び寄せているのではないのか?」

 その指摘に、バトラーは笑うのをやめた。

『ふん‥‥好きに思え。貴様らがこの勝負を断れん事は変わらんのだ』

 そう言って艦の、六つの頭を指さした。

 入って来いと促しているのだ。



「で、こちらは誰が行くのだ。ノブと私は決まっているだろうが‥‥」

 ブリッジを見渡して仲間に訊くオウキ。

 レイシェルが強い眼差しを向ける。

「私が行きますわ」

「ドリルライガーにも行ってもらいたい所だけど‥‥あいつら、入れる気なさそうね」

 リュウラが艦の口を窺う。

 身長10mを超えるロボットが直立して入る事ができる大きさでは無い。


 結局、メンバーはノブ、レイシェル、オウキの三人に決まった。


 自艦の上でマスターメカバトラーが勝利を確信して嗤う。

『さあ、入って来るがいい。地獄の番犬の奥は、当然、あの世と決まっている‥‥』

設定解説


・マスターメカバトラー


「科学技術が進歩し続けた25世紀の地球」という世界から召喚された改造人間。

海王星シティで行われていた合法殺人格闘興行「ガッデムデストロイ」の選手であり、99戦99勝の無冠の帝王だった。

強敵は前日までに路地での不意打ちで弱らせるor抹殺する事前工作を得意としており「リングに立った時には既に勝っている」を信条とする手堅さを誇っていた。

100戦目の対戦相手を酒場の裏で待ち伏せしていた所、運悪くインタセクシルに召喚されてしまった。

滅びそうな小国の若き姫君(召喚した本人)に国を救ってくれるよう頼まれるも「負け戦にはつきあわんので」と言って即座に出奔。実に自然に魔王軍に参加した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ