表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界スペースNo1(ランクB)(EX)(完結編)  作者: マッサン
第三次 疾風怒濤編
300/353

77 神域 8

登場人物の簡易紹介(誰かわからない奴がいた時だけ見てください)


レイシェル:クイン公爵家の令嬢にして魔法戦士。

ノブ:地上最強の霊能者。

ジルコニア:ノブに同乗する妖精。

ドリルライガー:ドリル戦車に宿ったエネルギー生命体。合体形態・ザウルライガー。

リュウラ:クラゲ艦・Cウォーオーの艦長を勤める魔法戦士の少女。

エリカ:オーガーハーフエルフの整備士兼副艦長。

アル:冒険者の少年戦士。

パーシー:スイデン国所属の少年騎士。

コーラル:スイデン国所属の青年騎士。

アリス:元魔王軍魔怪大隊長。

「おーい、チートスキルが極め技で潰されたぞ」

 モニター向こうの惨状を見て、ジルコニアがアリスへどこか投槍に言う。

 アリスは一瞬言葉に詰まったものの、必死にモニターを指さした。

「ま、まだ一匹残ってます!」

 そう‥‥カマセイル隊最後の聖勇士(パラディン)、Sルールノートのサイシュウがまだ残ってはいるのだ。

 しかしノブが溜息をつく。

「なぜだろうな。その言葉を聞いたらサイシュウも敗れるとしか思えなくなった」

「フラグって奴だぜぇ」

 ディアブロはせせら笑っていた。



 一方、モニターの向こうでは。

 サイシュウがおどけた様に、芝居がかった口調で言う。

『なるほど、なるほど。確かにスゲェな。いや、相反する効果のスキルをぶつけたらレベルの高い方が通る‥‥てのは、まぁ理解できるけどな? まさかレスリングスキルで即死スキルや不死身スキルを破れるとは思わなかったぜ』



「まー思わないよなあ」

 一応同意するエリカ。



 そしてサイシュウは――嗜虐的な笑みを浮かべる。

『それじゃあよ? スキルそのものを消したらどうするんだ?』

 サイシュウの無毛の頭部が輝く。そして――

『消えたぜ?』

 自信満々で言い放った。

『貴様のステータスからレスリングスキルを消去した! お前はもうレスリングで戦えねぇ!』

 声高に、勝ち誇って。サイシュウはそう言ったのだ。

 事実上の勝利宣言である。


 そんなサイシュウが吹っ飛んだ。

『!?』

 何も言えず大地に叩きつけられるルールノート。

 ターミガンの剛腕から目にも止まらぬラリアートが繰り出されたのだ‥‥!


『な、なんだ!?』

 見下ろすターミガンの前でよろよろと立ち上がるノートの中で、サイシュウは混乱しながらモニターを見た。

 それが敵のステータス欄に止まった時――

『け、消した筈のスキルが消えてねぇ!?!?』



 一方、ノブ達は操縦者としてのステータスを表示させる。



ジェネラル・ルード LV55

格闘275 射撃275 技量265 防御240 回避150 命中208 SP186

底力6 ガード3 戦意+(DEF) フルカウンター アタッカー 極



「おかしい‥‥」

「何がですの?」

 鋭い目でモニターを睨むノブにレイシェルが訊いた。

 返答は――

「ジェネラル・ルードのステータスだ。スキル欄のどこにも、ケイオスレベルが無い」

「え!?」

 アリスが驚き、他の面々もステータスを確認した。

「本当だ‥‥」

 エリカが呆然と呟く。

黄金級機(ゴールドクラス)を操縦するには、通常攻撃でさえ7レベルは必要なはず。表示されないなら1未満という事だが‥‥なぜあの機体が動く?」

 ノブが抱く疑問を他所に、Gエリアルターミガンは肩をいからせてのし歩いていた。



 迫るターミガン。

 後ずさるノート。

 ルードが低い声で告げる。

『貴様の技を、私は一度「受け」た。だがそれは「効いた」わけではない』

『意味がわからねぇ!』

 必死に首をふるサイシュウに、ルードは無慈悲に告げた。

『それは貴様が物を知らんからだ。技を受ける事で勝負の流れを作り、それを勝ちへの道へと組み立てる足掛かりにする‥‥リングの上では常識の一つ!』

『昭和のプロレスかよ!?』

 やけくそ気味に怒鳴るサイシュウに、ルードは無慈悲に告げた。

『ショウワがどこの世界なのか知らんが‥‥格闘に勝つため必要な基本は不変。ただそれだけの事であろうな』


 ルードの目に蔑みの色が浮かんだ。

『それを貴様ら、下衆転移者や下等転生者はすぐにチートだのギフトだのユニークスキルだのに逃げ、楽をしようとする』

 彼は横目で見る。

『だから技の食らい方も知らない』

 視線の先には、瓦礫に頭を突っ込んで動かないSタイムジラフ。

『だから締め技からの脱出方法も知らない』

 視線を移した先には、ヘシ折れて動かないSデスフェニックス。

『だから‥‥基本がなっていない!』

 視線を移した先には、既に目前まで迫っているSルールノート。


 ターミガンが手を伸ばした。

 身を退いて逃げようとするルールノートを捕らえ、ノートはそれを振り切ろうともがき、そこをターミガンが捕まえ――手四つと言われる姿勢になる。


 折れる音と砕ける音が響いた。

 ルールノートの両腕が捩じ切られたのだ‥‥!


 サイシュウの悲鳴が響き、ノートが身悶えした。

 ターミガンは無造作に千切った敵の両腕を投げ捨てる。

 だがサイシュウは操縦席でその目をギラつかせていた。

『お前の存在そのものを、消してやる!』

 再びサイシュウの頭が輝く。


 サイシュウの反則能力(チート)を持ってすれば、敵の存在そのものを消して事実上の即死攻撃を放つ事もできた。

 それをあまりやらないのは、経験値も資金も消えるし、無力な敵を一方的に叩きのめす楽しみが味わえないからである。

 しかしそこら辺に妥協するならば、初手敵消滅により一方的に勝つ事ができるのだ。


『消えねぇ‥‥消えねぇ!』

 だがサイシュウは絶望して呻く。

 目の前で自分を見下ろすターミガンの前に。

『私のタフネスがまだわからんのか。二人の友の敗北から学ぶ姿勢さえない』

 ジェネラル・ルードは完全に呆れていた。


『この勝負にもはや盛り上がりよう無し! 終わりだ!』

 ターミガンが動いた。稲妻のごとき速さでルールノートを掴む! 抱える!

 そして飛んだ!

 上空で振り回されるルールーノート。抱えられ、腕が極められる。



「ありゃあダブルアームスープレックスとかいう技だぜぇ」

「しかし落としてるんじゃないな。高空から()()()()()()()ぞ、あれ」

 技を見て呟くディアブロに、ジルコニアが補足を入れる。

 モニターの向こうで実に見事なアーチを描き――ルールノートは地面へ投げられようとしていた。



 だが、サイシュウは――

『の、能力バトルってのは、頭脳戦なんだぜ‥‥』

 苦しい息を吐きながらも、再びその頭を輝かせる。

 だがルードにその反則能力(チート)が通じない事はわかっているのに、何を消すというのか?

 それは――

『時間を消せば、俺以外の全ては止まる! お前の頭悪いプロレス技もな!』


 ルードではなく、周囲の空間自体に。サイシュウは己の反則能力(チート)を使った。


 空間が、砕けた!



「何が起こったんだ!?」

 理解できずに目を見開くアル。



 空間が砕けながら、()()()()()()()()()のだ。

 投げ技は止まる事なく、ルールノートはターミガンに捕らえられたまま、高速で落下‥‥いや、地面へと飛ぶ。


『止まらねぇ‥‥なんでだよぉ‥‥』

 呻くサイシュウ。ルードは無慈悲に告げた。

『時間を止めれば投げ技が止まるなどという根拠の無い甘えを喚くよりも! 受け身の練習を一つでもすべきだったのだ! 貴様は!』


 それでもサイシュウは思いつく限りの物を、概念を、消去しようとした。

 重力、加速度、大気組成、etc‥‥。

 だが何を消しても空間が砕け、技は止まらない。

 否。砕けているのは空間ではない。サイシュウの消去自在能力が砕かれているのだ。


 ルードが叫ぶ。

神落必殺技フォールンゴッドフェイバリット! クラップサンダードロップ!』

 ついにルールノートが地面に叩きつけられた!


 GAGAAN!!


 地面にめり込み、一瞬後、ルールノートは爆発した‥‥!

設定解説


・操縦者としてのステータスを表示させる


ロボットを操縦する時のステータスは、対象の能力のあくまで一部である。

仮に冒険者としてのステータス等を表記すると、また別の数値や技能が並ぶと考えていただきたい。

これは「ファンタジー世界のキャラクターがロボットにも乗る世界」故の処理である。

操縦者が装備している武器だの防具だの、本人のHPだのMPだの、習得している鑑定スキルだの料理スキルだのランニングスキルだの、習得呪文だの習得言語だの個人修正だの、そんな物まで記載していたら書く方が面倒くさいからだ。

他の方がやるぶんには止めないので頑張ってください。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ