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異世界スペースNo1(ランクB)(EX)(完結編)  作者: マッサン
第1次 旋風覚醒編
3/353

3 召喚 3

地球から異世界へ転移した(じん)

到着早々戦闘に巻き込まれ、巨大なロボット兵器に乗る事になる。

だが彼は最初の搭乗でその操縦方法を把握し、敢然と敵へ立ち向かうのだった――。

 敵からの砲火を掻い潜り、(じん)はなんとか廃墟の中へ駆け込んだ。


 だが一息つく暇も無かった。敵にも同じシステムがあり、(じん)の居場所を把握しているのだろう。駆け込んだ廃墟に集中砲火が浴びせられる。

 無論、(じん)とてただ死を待つつもりは無い。恐怖と焦りで突き動かされながら、大砲の引き金を機体の指で引く。引き金に指をかけると機体の視界には照準のポインターが出てくれるので、それを敵影に合わせて撃った。


 実のところ、追い詰められての苦し紛れな行動だ。

 よく狙ったわけでもないし、とりあえず手を出した……という形に近い。


 だが迫っていた敵影の一つが火を吹き、大きくよろめく。

 眼前のモニターには2000以上の数字が出る。それが敵へ与えたダメージの表示だと、一瞬遅れて気づく(じん)

「当たった!?」

 自分で撃っておきながら驚く。

 だが悠長に喜んでもいられない。他の敵機がこちらへの射撃を続けているのだ。そいつらへも(じん)は必死の反撃を撃ち込んだ。


 機体にアシストする機能でもあるのか、割と当たる。

 百発百中とはいかないが、思ったよりはずっと。


「なんだ、意外と当たるじゃねぇか。それともこれも何か補正してくれてるのか……」

 呟く(じん)

 実のところ、その考えはそれなりに当たっている。武器によってはキロ単位離れた目標へ撃つ事もあるし、敵機の性能によっては超音速の相手へ当てねばならない事もある。だからといってそれらへ当てられる達人的技量を要求していては「軍」など作る事はできない。

 よって機体側で敵機を捉えるようサポートする能力があり、その精度が「照準値」として性能画面に表示されるのだ。


 とはいえ安心などできるわけもない。敵へと射撃を繰り返すうち、ついに(じん)の機体が被弾した! 激しい衝撃とともに、モニターに赤い数字が出る。そのぶんだけ隅に表示されている自機のHPが低下した。5000と示されていたのに、一撃で4000近くまで低下する。

「チイッ! ちょいとヤバくねぇか!? 俺、本当に強いんだろうな!?」

「確認しなよ! きっと高ステータスなはず!」

 リリマナに発破をかけられ、(じん)はかーソルを動かした。


 途中、周囲の地形をカーソルが横切る時、モニター隅に何か数字が出る。



<廃墟> 回避率:+20% 防御率:+20% HP回復:0 EN回復:0



(地形効果か! これのおかげで現状、助かっているのかもしれないな……)

 (じん)は改めて敵の位置を確認した。廃墟を包囲するため、敵は森や山裾を出て平地にいる。あまり拓けた場所でもないので、数機ずつにバラけて接近してきている状態だ。

 廃墟の中で建物や壁を利用すれば、そうすぐには倒されないだろう。

 少し落ち着きを取り戻し、敵へ砲撃をお返ししながらも、カーソルを「パイロット」に合わせた。

 画面に表示される内容が一瞬で切り替わる。



ジン=ライガ

モラール114

レベル2

格闘152 射撃150 技量179 防御131 回避87 命中93 SP64

特殊スキル

ケイオス2 底力7 援護攻撃1 援護防御1

スピリットコマンド【スカウト】

妖精



「な、何で名前がカタカナで姓名逆なんだよ?」

 たじろぐジン。

「この世界でどう呼ばれるかだから仕方ないね!」

 リリマナが当然のように答える。

(他人の勝手な呼び名が採用されるのか? クソバカマヌケと呼ばれたらそう表示されるのかよ? 嫌がらせし放題じゃねぇか……)

 全く納得いかないが、ジンの目はその下段に吸い寄せられた。

 高いか低いかはわからないが、能力値が何を意味するのかは見当がつく。スキルの方も、不明な物が一つあるがまぁだいたいわかる。どれも昔遊んでいたゲームと似たような物だ。

 しかし『スピリットコマンド』とは?


「なぁリリマナ。スピリットコマンドって何だ?」

「精神の力で起こす、一種の魔法みたいなものかな。バフや回復の効果が多いよ。優秀なコマンドが使えるなら、能力値以上の強さが発揮されるんだから! でもSP(スピリットポイント)を消耗するから気をつけてね」

 リリマナの忠告に「お、おう」とたじろぎながら答えるジン。

(これも知っているシステムだな! まぁいい。それより俺の【スカウト】てのは……)

 シンはカーソルをコマンド名に合わせた。



【スカウト】まだ交戦していない敵のデータを参照できるようにする。



「それかよぉ! もっとこう、攻撃力か防御力を上げるとか! HPを回復するとかあるだろ!」

 叫ぶジン。能力の有用性は認めるが、今欲しいのはそうではないのだ。

 だがリリマナがどんと自分の胸を叩く。

「安心して! 妖精には聖勇士(パラディン)をサポートできる能力を持つ者もいるんだ。何を隠そうこの私もね! ピクシーのリリマナが力を貸すよ。私のスピリットコマンドを使って!」


 言われてみれば、ステータス画面に『妖精』とある。そこにカーソルを合わせると……



リリマナ レベル1 SP41 スピリットコマンド【サーチ】【ガッツ】



「さ、【サーチ】って……」

「隠された物の位置がわかるんだよ。だから私が今回の調査に選ばれたんだ!」

 呻くように訊くジンへ、意気揚々と答えるリリマナ。

(納得はするが、今必要なのはこれじゃねぇからよ!)

 歯軋りするジン。

「じゃあ、【ガッツ】って……」

「機体のHPを最大値の30%回復するよ。世の中根性だ!」

 呻くように訊くジンへ、意気揚々と答えるリリマナ。

「おう、確かに根性だな。それなら助かる」

 やっとの事で安堵するジン。だが――


「SP消費は25だよ。気をつけてね」

「はぁ? お前、SP41しかないだろうが! 使えんの一回だけぇ?」

 リリマナの忠告に目を剥くジン。

「これもねー、消費量には個人差があってさァ。上手い人なら15ぐらいで使えちゃうんだけど、私はそうじゃないっていうか」

 テヘペロっと舌を出すリリマナ。世の中、上手い話は無かった。


 そしてその間も、敵の砲撃は止まらない。天井からはパラパラと小さな欠片が降り注ぐ。

(ここ、超強い規格外チートコマンドで俺が無双する所じゃねぇのかよ……!)

 嗚呼無情――そんな接待は用意されていなかった。

前書きに前回のあらすじを書く際は、少々前向きな形で書かせていただく。

一部内容と剥離する可能性もあるが、でも今は、そんな事はどうでもいいんだ。重要な事じゃない。



機体解説


Bカノンピルバグ

ダンゴムシのような頭部を持つ機体。

肩には大砲が設置されており、威力・射程ともに優れたこれが主要武器。

装甲も厚く、戦場では砲台として運用される。

半面、運動性は低い。また懐に潜り込まれるとアームドナックル(腕部装甲に備え付けられたメリケンサック)しか武器が無く、攻撃力は著しく低下する。

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― 新着の感想 ―
[一言] >一部内容と剥離する可能性もあるが、でも今は、そんな事はどうでもいいんだ。 次回予告ってそんなモンですよね(笑)。
[一言] 何故だろう? 脳内ではヘルメット被った顔無しモブが 会話しているイメージになってる。
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