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異世界スペースNo1(ランクB)(EX)(完結編)  作者: マッサン
第三次 疾風怒濤編
296/353

74 神域 5

登場人物の簡易紹介(誰かわからない奴がいた時だけ見てください)


レイシェル:クイン公爵家の令嬢にして魔法戦士。

ノブ:地上最強の霊能者。

ジルコニア:ノブに同乗する妖精。

ドリルライガー:ドリル戦車に宿ったエネルギー生命体。合体形態・ザウルライガー。

リュウラ:クラゲ艦・Cウォーオーの艦長を勤める魔法戦士の少女。

エリカ:オーガーハーフエルフの整備士兼副艦長。

アル:冒険者の少年戦士。

パーシー:スイデン国所属の少年騎士。

コーラル:スイデン国所属の青年騎士。

アリス:元魔王軍魔怪大隊長。

 インタセクシル最大の大陸で三大国と呼ばれる、ヘイゴー連合国。

 その国が、今、魔王軍の攻撃を受けている。


「どうなっているんだ!?」

「わかりやせん。とにかくそういう通信が入ったんでさ!」

 突然の事に焦るエリカへ、エルフ作業員は動転したまま叫んだ。


 そんな一向を見て、ディアブロの連れていた白蛇が鎌首をもたげる。

「ちょいと現場を見てみるかい」

「喋れましたの!?」

 驚くレイシェル。


 ディアブロはこの蛇イシマルを紹介した時、はっきりと「神」と言ったのだが‥‥酒を飲む以外特に何もしなかったので、皆その事を忘れていたのだ。


 イシマルが何やら()を飛ばす。

 するとモニターの映像が切り替わった。そこは――燃え盛る瓦礫の中で、ケイオス・ウォリアーの軍が戦う戦場だった!



 無残に破壊されたそこが、少し前に訪れたシソウの都だと皆が気づいた。

 それを止めるべきヘイゴー軍のケイオス・ウォリアーは、無残にも撃破され、残骸となっていくつも転がっている。死屍累々、というに相応しい。

 一方、魔王軍の機体も相当な数が倒れていた。その中には白銀級機(シルバークラス)の機体も何機か見える。



「相打ちなのか?」

 焦るエリカ。

 だがレイシェルはモニターの隅を指さした。

「いえ‥‥残念ながら魔王軍側が勝利したようですわ」



 ヘイゴーの紋章をつけた機体が、あちこち砕かれ膝をついていた。

 赤と青にカラーリングされ、全身に黒い(まだら)の描かれた、カエル型の白銀級機(シルバークラス)ケイオス・ウォリアーが。



「あれは‥‥ヤードック帝王のSバトラコトキシンフロッガー。数多くの敵を倒してヘイゴーを平定し、魔王軍の親衛隊を何機も葬ったネームドキラーだと聞いているわ」

 リュウラが説明するや、モニターの向こうから高笑いが響いた。



 魔王軍の機体が数機残っていたのだ。

 それらは燃える街を背に、帝王のフロッガーを見下ろし、立っている。

 先頭にいる機体は白銀級機(シルバークラス)であり‥‥その胸部には赤い宝珠のような結晶が無数に輝いていた。

『我が軍の半数以上を倒すとは、流石は帝王というだけある。だが人類のどの国で王者を名乗ろうと、魔王軍の真の精鋭には通じん』


 奇怪な機体である。

 足が無い。腰から下は黒い靄となって宙に消えている。

 腕が透き通っている。半透明の黒い腕は、ねじくれ、長い鉤爪を光らせていた。

 黒い影のような頭部には、額に角のような突起こそ幾本もあるが、目も鼻も口も無い無謀であった。


 モニターの隅に操縦者の顔が映る。

 影か煙のような人影が、両目だけをぎらぎらと輝かせていた。

『元魔怪大隊のナンバー2にしてエイリアンズ最強の精鋭‥‥このマスターハルシネーションと、その乗機FSグレイヴミストにはな‥‥』



「ナンバー2と言っているが、元直属の部下か何かか」

 コーラルがアリスへ振り向く。

 彼女は指を顎にあて、以前の事を思い出していた。

「何も言わず私の側に着き従っている事が多かったガス状生命体ですけど、まさか自分をナンバー2だと思っていたからなんて‥‥」

「魔怪大隊って自分がエライと勝手に思い込んでる奴の集団だったのか?」

 呆れてそう言うジルコニアの言葉には、アリスが実は大隊長として扱われていなかったのではないかという疑いも大いに籠められている。

「私はちゃんと大隊長に任命されてましたから!」

 アリスは必死に訴えた。自分は違うと主張した。

 その側でポルタがうんうんと頷いた(ナイスなフォロー)。



 エライと勝手に思い込んでいたガス状生命体は、余裕を見せながら呟く。

『いつか隙を見て体を乗っ取ってやろうと思っていた前大隊長は死んだ。代わりにヘイゴー帝王の体を貰うのも一興か‥‥』



「体を狙われていたみたいぞ、元大隊長」

「もう死んだ事にされてますよ、元大隊長」

「ええ!? そ、そんな‥‥」

 ジルコニアに呆れられパーシーに哀れまれ、アリスは悲痛な声をあげた。

 真相がキモかったし扱いは悪いしで、ちょっと納得がいかないのだ。



 アリスが半ベソをかいているうちに、ついにとどめの一撃が放たれた。

 グレイヴミストが瘴気の雲を放つ!

 それは煙の奔流となり、膝をついて動けないフロッガーを撃った。


 しかし‥‥雲の中から女の笑い声が!

『ふふ‥‥不死身の私に通じる攻撃じゃないわね』


 雲が飛び散った。

 帝王機の前に立ち塞がり、瘴気を食い止めたのは、カマセイル隊鳳凰獣人のランが乗るSデスフェニックス!



 その光景を見てグリダが声をあげた。

「あ! カマセイル隊が呼び戻されたのって!」

「そうみたいだな。となると‥‥」

 アルが呟いた途端、モニターの向こうで爆発音が響いた。



 一瞬。

 本当に全く同時に、魔王軍の量産機が爆発した!

 その場に突然、ぱっとわいたかのように姿を現すのは、麒麟獣人エンクのSタイムジラフ。

『さっそくで悪いが、残るはお前だけだ』



 光速の奇襲で雑兵全てを葬り去った。

 それを理解し、ノブは「ふうむ」と感心の呟きを漏らした。

「いまいち馴染めん奴らだったが、流石に腕は立つ」



 だがしかし。

 一機になってもなお、マスターハルシネーションは全く動じなかった。

 長い爪でデスフェニックスを指す。

『よかろう。やはりカエル獣人よりは若く瑞々しい女の体を貰うとしよう。私が乗っとると肌が褐色に染まるからな‥‥グラマラスな女の方が映える。前大隊長はちょっとお粗末だった』



「お粗末だってよ、元大隊長」

「そんな‥‥人並みの筈なのに‥‥」

 ジルコニアに言われ、半べそのままアリスは自分の体を見下ろす。

 胸や腿に手をあてながら。

 ポルタがうんうんと頷いた(優しい同意)。



 だがハルシネーションの無慈悲な言葉は続く。

『伊達メガネをかけて賢そうにみせているクセに、腹がたるんで少しだらしないのがいただけなかった」



「そのメガネはファッションだったのね、元大隊長」

「たるんでるのか、元大隊長」

「あのヤローなんで知ってるんです!?」

 リュウラに呆れられジルコニアに哀れまれ、半べそのままアリスは怒りに叫ぶ。

 まぁガス状生命体なので隙間からどこにでも入り放題なのだろう。



 だがそこで、三人目の乱入者がハルシネーションに声をかけた。

『テメェよりいただけない奴はいねぇよ。オレの強さの踏み台にしてやるから喜べや』

 傲慢にそう言うのは、空亡の獣人サイシュウのSルールノート。



 モニターの向こうで対峙する、カマセイル隊と魔王軍の親衛隊員。

「がんばれ! カマセイル隊がんばれ! そんな薄汚れた悪党を生かしておいてはいけないんです!」

 アリスが今までで一番熱心な声援を送っていた。

 ポルタもうんうんと頷いていた(場の空気を読む)‥‥!

設定解説


・何も言わず私の側に着き従っている事が多かったガス状生命体ですけど


死と呪いの魔力を得意とする大隊長の側に生きている瘴気の塊がわだかまっているので、誰も不自然に思わなかった。

よってマスターハルシネーションに何か言う奴なんていなかった。

アリス自身も、理由はよくわからんが部下だから後ろについて来るんだろう‥‥ぐらいにしか思っていなかった。

組織において「ほうれんそう」はとても大事だと理解していただけると思う。

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