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異世界スペースNo1(ランクB)(EX)(完結編)  作者: マッサン
第三次 疾風怒濤編
294/353

72 神域 3

登場人物の簡易紹介(誰かわからない奴がいた時だけ見てください)


レイシェル:クイン公爵家の令嬢にして魔法戦士。

ノブ:地上最強の霊能者。

ジルコニア:ノブに同乗する妖精。

ドリルライガー:ドリル戦車に宿ったエネルギー生命体。合体形態・ザウルライガー。

リュウラ:クラゲ艦・Cウォーオーの艦長を勤める魔法戦士の少女。

エリカ:オーガーハーフエルフの整備士兼副艦長。

アル:冒険者の少年戦士。

パーシー:スイデン国所属の少年騎士。

コーラル:スイデン国所属の青年騎士。

アリス:元魔王軍魔怪大隊長。

「まー攻め込んだ魔王軍が健在なんだから、ここがやられたんだろうってな予想はついてたけどさー‥‥その割にはおかしくね?」

 雲海に浮かぶ神々の国を眺めてジルコニアが呟く。


 名も知らぬ花が幾種も咲き乱れる中、いくつもの神殿が立っている。

 それらを結ぶ道は中央から放射状に延びており、その中央には大きな広場があった。

 広場には()()が設置されているようだ。


 地面にも建物にも、傷一つ無い。

 だが完全に静まり返り、誰一人として住人の姿は見えなかった。


「争った形跡も無いのに無人ですわね?」

 首を傾げるレイシェル。

 静寂の中の町を見渡し、グリダは途方にくれた。

「どこかに師匠の手がかりがあるのかしら‥‥」


 ノブは黙って指をふる。青い煌めきが宙を舞った。

 光の線が球を描き、その一点が点滅する。


【センス・ライフ】――効果範囲内にある生命反応を捉える呪文。範囲は術者の力量に寄る。ある程度以上の「強い」生命力に限定する事も可能|(そうでなければ空気中の微生物の反応で埋め尽くされてしまうので)。


「まだ住人が残っているな。あそこだ」

 ノブが指さしたのは何かの倉庫だった。



――クラゲ艦を側に寄せ、クイン星輝隊(せいきたい)は艦から降りる――



「失礼する」

 両開きの戸を開け、ノブは中へ踏み込んだ。そこにいる住人に声をかけながら。

 誰がいるのかは前もって透視の呪文で確認済みだ。


 酒樽に囲まれ、ローブ姿の青年が一人、床に座り込んで酒瓶を(あお)っていた。

 その側では小さな白蛇が盃の中の酒に首を突っ込んでいる。


 青年はノブ達の方へ目を向けた。

「こんにちは。お客さんとは珍しいぜぇ」

 警戒する様子は全く無い。

 一見するとエルフの魔術師に見える。中東風のローブを身に纏い、長い銀髪、瞳は青、耳は先が尖っていた。

 薄ら笑いを浮かべつつ、酒瓶を手放す様子も立ち上がる素振りも無い。


「我々はクイン星輝隊(せいきたい)。魔王軍と戦っている者ですわ」

 レイシェルが自己紹介すると、青年は片手をあげた。

「俺はディアブロ。しがない精霊の放浪者だ。昔馴染みに会いに来たらこのザマなんで、まぁ残った酒を飲んでる。こっちがその昔馴染み、大地の神の一柱・イシマルだぜぇ」

 白蛇は頭をもたげ、軽く一礼すると、また盃に頭を突っ込んだ。


 顔を見合わせるノブ達。

「とりあえず話を聞いてみようぜ」

 アルが提案し、一同は彼——ディアブロに話かける。



――かくかくしかじか。これまでの経緯を話し、神々の国で起こった事を訊いてみると――



「お師匠さんの事は知らないが、ここを攻め滅ぼした()の事が知りたけりゃ協力もできるぜぇ。こっちに来な」

 ディアブロはそう言うと酒瓶を一度呷り、ゆっくりと立ち上がった。

 身振りでついて来るよう指示し、酒蔵の外へ出ていく。その後にイシマルという白蛇も。

 顔を見合わせつつ、ノブ達はそれへついていく事にした。


 町の中央へと道を歩くディアブロ。

 ほどなく中央の広場に着く。

 広場の片隅には半透明の結晶板が建っていた。この世界のモニターと同じような板だが、その大きさは下手な家屋以上だ。

 広場中央には――立派なリングがあった。格闘技の試合で使うための、ロープが張られた四角いリングである。その周りには観客席として無数の椅子が並べられていた。

 しかしそのリング、頑丈で立派な物ではあるのだが‥‥古く乾いた血痕が無数に散らばっている‥‥!


「ここが滅んだ日、何があったか。記録が残っていてな」

 そう言うと、ディアブロは巨大な結晶板を指さした。

 何の魔力か、その板に映像が映し出される。やはりモニターだったのだろう。もちろん音声もついている。



 映し出されたのはこの町。

 しかし多くの神々がいた――老若男女、半人半獣や獣そのもの等。トーガを纏った者、甲冑姿の者、ドレスを着た者、半裸の者、全裸の者。

 それらがこの地に集まり、世界の運行を見守り、宴を開き、互いに交流していた。



「かつてここには神々の国があった。神様にゃ己の聖地にいる奴も多いんだが、ここで他の神と共に世界を見守ってる奴も多かったそうだぜぇ。神話の時代から延々と‥‥神様連中にとってはついこの間の、数年前までな」

 ディアブロが説明していると――画面が切り替わった。

「その日。一人の男がここに来た」



 立ち籠る暗雲の下、この中央広場に乗り込んで来る者が映し出されていた。

 神々の、戸惑いと反感の視線を受けながら、それを物ともせずに‥‥。



「一人!?」

 驚くレイシェル。

 魔王軍がケイオス・ウォリアーの大軍で押し寄せたのかと思っていたのだ。

 だがディアブロはモニターを見つめる。

「映像じゃそうなってるぜぇ」



 強靭で屈強な男であった。

 身長200cm体重130kgの筋肉の塊で、ロングタイツと両手足に巻いたバンテージ以外は何も身に着けていない。

 顔はわからない。闇と影に隠れて見えないのだ。

 だがその周囲の空間が歪んでいた。陽炎のように‥‥波打つように‥‥あるいは色彩が滲んで混ざり合うかのように。

 それはその者の放つなんらかの「気」による迫力かもしれないし、本当に空間に干渉する魔力が漏れ出ているのかもしれない。

 ただ、根本的に()()が違う。それだけは確かだった。


『何やつ?』

 神々の一人が訊ねたが、男はそれを黙殺し、リングに上がる。

 影に覆われていた顔が露わになった。


 無精髭を生やした禿頭の男。

 鋭い目に鋭い鼻、固い顎。



 その(いか)つい容貌を見たグリダが目を見開いた。

「師匠!」

「ええっ!?」

「マジ?」

 皆が驚く中、グリダは驚きながらも確信を持っていた。

「は、はい。人相も体格も変わってはいますが‥‥もともと師匠は探検家で、結構たくましい人でした。あの師匠を身長二メートル以上体重百キロ以上にビルドアップしたらこんな感じになる筈です」

 だがディアブロは肩を竦めた。

「でもこいつ、暗黒大僧正としか名乗らないぜぇ? しかも神々へ挑戦状を叩きつけた」



 モニターには言われた通りの内容が展開されていた。

 男は名乗る。「我は暗黒大僧正。天界の神々に挑戦しに来た」と。

 神々は混乱し、リングを遠巻きにする。


 だが神々には当然、武神や闘神といった戦いを司る者もいる。

 また嵐や炎など、気象の神にも強さと力を誇る者がいる。

 彼らはすぐに気をとりなおし、この挑戦に応じる事にした。


 最初にリングに上がったのは細身ながら屈強な青年だった。

 彼は両の拳を握り、油断なく身構える。



「あれは戦神の一柱、【迅速の神】だ。ファイトスタイルは拳闘‥‥いわゆるボクシングのようだな」

 ディアブロが解説している間に、モニターの向こうで暗黒大僧正も身構えた。

 それは‥‥対戦相手と同じ、拳闘の構え!



 モニターの向こうで両者の間合いが狭まってゆく。

 神と挑戦者が、互いに手の届く距離に踏み込んだ。


 一瞬!


 DOGOOOON!


 神の体が天高く舞う!

 それは広場の端を超えて遥か遠くへ吹き飛び、川に落ちた。

 水柱が立ち‥‥それが収まると、迅速の神の無残な屍がぷかぷかと力なく浮いていた。



「え? 何だ、今の!?」

 何が起こったかわからず叫ぶエリカ。

 ノブがメガネの奥から鋭い目をモニターヘ向けながらも説明する。

「真正面からのストレートだ。それがああも決まってしまうとは‥‥」 

「ケタ違いって奴だ。そしてこれが、神の園の終焉の幕開けだったんだぜぇ‥‥」

 ディアブロがそう言っている間に、モニターの向こうでは、リングに次の神が上がっていた‥‥!

そろそろGGUンダムがDDに来ないかなーと思いつつ、常にお金ジャブジャブしないとクソ弱型落ちキャラになり下がってしまうGOッドガンダムはあんま見たくない気もする。

難しい所だ‥‥。

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