表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界スペースNo1(ランクB)(EX)(完結編)  作者: マッサン
第三次 疾風怒濤編
290/353

68 再会 6

登場人物の簡易紹介(誰かわからない奴がいた時だけ見てください)


レイシェル:クイン公爵家の令嬢にして魔法戦士。

ノブ:地上最強の霊能者。

ジルコニア:ノブに同乗する妖精。

ドリルライガー:ドリル戦車に宿ったエネルギー生命体。合体形態・ザウルライガー。

リュウラ:クラゲ艦・Cウォーオーの艦長を勤める魔法戦士の少女。

エリカ:オーガーハーフエルフの整備士兼副艦長。

アル:冒険者の少年戦士。

パーシー:スイデン国所属の少年騎士。

コーラル:スイデン国所属の青年騎士。

アリス:元魔王軍魔怪大隊長。

「とどめを! 今のうちに! こいつは人の迷惑になるために生まれて来た害獣です!」

 その聞き苦しい罵りの中、ゴーズは目を覚ました。


 目を開けると、木漏れ日が差し込む樹海の中だった。

 上体を起こす。体がだるく、痛い。

 周りを見れば、覚えのある小娘——魔怪大隊長アリスが「ひっ!」と慄いて、やはり見覚えのある女騎士——レイシェルの後ろに隠れた。

「‥‥よう、久しいな」

 ボケた頭をフラつかせながら挨拶すると、彼女の隣にいたメガネの霊能者(サイオニック)——少し遅れてノブという名前を思い出す——が訊いてきた。

「何があったか覚えているか?」


 薄ぼけた意識を、頭を振りながらはっきりさせようとするゴーズ。

 だがなかなか上手くいかない。

 しかし最後の戦闘がだんだん思い出されて来た。

 そう‥‥自分は戦っていたのだ。

「思い出してきたぜ。寄生虫に乗っ取られている間の事もな」


 自分のすぐ脇を見るゴーズ。

 森の腐葉土の上に、奇怪な節足動物の屍が転がっていた。

 己の意思を奪い、操っていた寄生虫ゴンコングのなれの果てである。



 虫の死骸を見ているうちに、意識がますますはっきりする。

 だからゴーズは、自分を囲む連中が一番知りたいであろう事を先ず教える事にした。

「ま、見てわかるだろうが、世界樹はここにはねぇ」


「ではどこですの?」

 訊くレイシェルに、ゴーズは肩を竦める。

「さあな。魔王軍の本拠地にあるらしいぜ。そんな物、俺は見た事ないんだがな」


 少なくとも本来の場所のここには、ゴーズが配置された時、既に大穴しかなかった。

 本拠地にあるという話も、自分をここに連れて来た者——寄生虫を頭に植え付けた奴——が言っていただけだ。


「師匠‥‥タレスマンがどこにいるか知りません?」

 見覚えのない、鳥系の獣人娘がそう訊いてくる。

 そこでまた一つ、記憶がはっきりした。

「俺に寄生虫を乗っけた奴か。暗黒大僧正と名乗ってやがったが」


「「「な、なんだってー!?」」」

 ゴーズにとっては見覚えのない、騎士だか戦士だかの三人組が驚いて声をあげる。


「暗黒大僧正とは何者なんだ?」

 ノブにそう訊かれ、ゴーズは自分を()()()()()連中を思い出す事ができた。

「わからん‥‥そう名乗る奴が何人もいてな。どれが本物なのやら、俺にもさっぱりだ。唯一手がかりと言えば‥‥俺が知っている範囲なら、神々の園に殴り込みかけたぐらいか。行ってみれば何かわかるんじゃねぇのか?」



 神天山。その山の頂に、主な神々が住まう天空の園がある。

 無論、定命の者がそう容易く行ける場所では無いが‥‥その山がヘイゴーの端にあるのは確かだ。



「そんな所へ? 魔王軍は神々とも戦ったとでも‥‥」

 悩むレイシェル。

「知らんよ。ま、好きにしな」

 そう言ってゴーズはなんとか立ち上がった。


 ふらつく。足元が定まらない。

 力を籠めても、片っ端から全て抜けてゆく。

 そこでようやく、自分の頭が包帯でぐるぐる巻きにされている事に気づいた。


 頭蓋骨に穴をあけられ、脳髄に管を差し込まれ、触手と変な体液を脳や脊髄に注入されていたのだ。

 元凶を引っこ抜いたとはいえ、体に後遺症が無い筈も無かった。

 そしてこれが自然に治る事は無いだろう――ゴーズにはそれがわかった。


 ジルコニアがぱたぱたと羽ばたきながら訊く。

「オッサンはこれからどうすんだ?」

 ゴーズは‥‥「ヘヘッ」と、軽い調子で、どこかやるせなく笑った。

「こうなっちまうと、俺の首を狙う誰かにやられるんだろうな。いや、その前に森の獣に食われて終わるか」



 当然、この世界にも回復・治療の魔法はある。自然治癒しないからといって治せないわけではない。

 ノブやリュウラもそれなり以上の物を使えるし、ある程度ならゴーズの傷を治療する事も不可能ではない。

 だがしていないのだ。

 寄生虫の支配から逃れても、ゴーズは味方になる奴かどうかはわからない――二人ともそう判断したが故に。

 また同行しているクルー達も、ゴーズを治療する事に難色を示す者がいた。


 治療を勧めていたのはレイシェルのみ。

 アル、パーシー、コーラルの三人はゴーズと行動を共にした事はないし、魔王軍大隊長だった事しかわからない。彼らが友好的な意見を出すはずがない。

 元同僚のアリスは「息の根をとめましょう」と積極的に意見していた。どうも大隊長同士は相当に仲が悪いらしい。

 他のメンバーはどうした物か判断しかね、消極的な中立である。



 自身の周りの、腫れ物に触るかのような嫌な雰囲気。

 それを感じ、ゴーズは‥‥ふらつきつつも背を向けた。

「ま、俺を始末しないなら、勝手に去らせてもらうぜ」

「その体で? ここで!? 死にますわよ!?」

 驚くレイシェル。


 樹海の中にはモンスターが多数生息している。

 野獣や植物系、魔獣や幻獣と呼ばれる物も。そのレベルも低から高までピンキリであり、物によってはケイオス・ウォリアーで相手をする事が前提の巨獣だ。

 足元も覚束ないケガ人が、丸腰で歩けばどうなるか――答えは明白である。


 だがゴーズは、背を向けたまま笑っていた。

「だろうな。まぁいいんじゃねぇのか。善意での助けに縋りたいならハナから善行つんでら。そうじゃない、悪党として好き勝手する生き方を選んだなら‥‥ま、それに相応しい最期で当然だろ」


 メガネをくいくい弄るノブ。

「確かにそうだ。それに、ここで助けたところで、それを機に生き方を変える奴だとも思えない」

 その口調は、どこか呆れた、突き放したようなものだった。


「まぁ変わらんわな! それで結局は野犬の餌か。魔王軍の大隊長でござい、と好きに威張り散らしておいてよ。なんともケッサクな話じゃねぇか」

 自らそう言い、大声でバカ笑いをかまし‥‥そして元魔王軍陸戦大隊長・ゴーズは一人、木々の間へ消えていった。

 止めるかどうか、レイシェルは迷いはしたが――その背を前に、かける言葉が思いつかなかった。


 その背中が、レイシェル達がその男を見た最後の姿だった。

今回の制圧はEX5で見送りかのう‥‥。

これ以上は運ゲー、リソース消費しながら挑戦する気にならんわい。

背伸びせず遊ぶべし。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ