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異世界スペースNo1(ランクB)(EX)(完結編)  作者: マッサン
第1次 旋風覚醒編
29/353

29 増員 6

異世界へ転移し、巨大ロボ:ケイオス・ウォリアーの操縦者となった男・ジン。

彼は世界を席巻する魔王軍へ、仲間と共に敢然と立ち向かう。

次の街で奇妙な少女と出会うジン達。それは新たな補充人員だった。

だが同時に魔王軍の新たな刺客が、ジン達を、そして母艦を襲う――!

 マスターファングは笑いながら、実に楽しそうに言う。

『よくもやりおったな。部下達の怨念を受けるがいい』

 彼の機体が重々しく歩き出した。ジン達の方へと。


 だが歩きながら彼は予想外の事に気づく。

『むう? おかしい……戦意(モラール)が思ったほど高まらん。160に達している筈なのに、なぜ150しかないのだ?』

「MAP兵器でまとめて消された分は、一匹ずつ認識して怒ったり悲しんだりし難いんじゃねぇか?」

 ジンはそう言ってやったが、別に確信があるわけではない。

 ただ彼が遊んでいたゲームシリーズも、プログラムの都合上、MAP兵器で敵をまとめて倒しても他キャラのパワーには影響しない作品が多かった。それを思い出し、極めて適当に言っただけだ。


 だがマスターファングにはまだ余裕があった。

『小賢しい。しかし現状でも、ワシの機体を鋼の塊にする事は可能だ!』

 彼の防御系スキル・ガード(レベル2)の発動戦意(モラール)は130である。150なら十分にクリアしているのだ。

『グフフ……残弾もENも既に消耗しているだろう。MAP兵器まで派手に撃ったのではな。貴様らが合体技でなかなかの火力を出す事は知っているが、ワシを倒せるまで撃てねば意味があるまい!』

 Sマチェットウルフが、いよいよ射程内に踏み込もうとしていた。


 そしてジンのとった行動は。

「いくぞリリマナ!」

「任せて!」

 二人そろって放つ、不可視の力。見えない大口が相手を呑み込む。

 敵の戦意(モラール)を低下させるスピリットコマンドの重ねがけである。


 しかしマスターファングは笑っていた。

『その手段はお見通しよ。だが貴様らが飛ばせるのは2発程度のはず。130も戦意(モラール)が残ればワシのスキルは発動する……なにぃッ!?』

 笑い顔が凍り付き、驚愕に歪む。

【ウィークン】により、4度もの脱力感がマスターファングを襲ったのだ!


 ジンのレベル上がり、SPが増えていたせいもある。

 そしてジンがSP回復アイテムをクロカに用意してもらったからでもある。

「なんだ。意外と美味いじゃねぇか」

 SPが50回復する【ミッドナイトポーション】の瓶を、ジンはドリンクホルダーに戻した。黒いポーションはコーラのような味だった。


『おのれ、卑怯な奴らめ! だがワシはまだ負けたわけではない!』

 歯軋りしながらも吠えるマスターファング。

 ジン達の――というよりMAP兵器担当のBバイブグンザリの消耗次第では、自機Sマチェットウルフを倒しきるほど合体技を出す事はできないだろう。そうなればバリアのある自分の勝ちだ。

 その上、合体技は参加するメンバーがいてのもの。一機でも撃墜すればもはや使えない。

 マチェットウルフが両手の蛮刀を振り上げる。



格 ブレードファング 攻撃4200 射程P1―1



 二刀の刃と二本の牙が敵を八つ裂きにする獰猛な攻撃! それはナイナイのBバイブグンザリを襲った!

 炸裂!


「ふん……結構痛いじゃねぇか」

 だがその四つの斬撃は、割り込んだジンのBカノンピルバグが食い止めていた。

 裂かれた装甲が軋む音を聞きながら、モニターに表示される情報をジンは読み取る。

(防御して威力を半減させても2000以上のダメージかよ。流石は白銀級機(シルバークラス)、真正直に撃ちあうとやられるな……)


 そのジン機の陰でナイナイが叫ぶ。

『今度はこっちが! トライシューっト!』

 動きの止まったマチェットウルフへ撃ち込まれる光の輪。一秒と間をあけず続いて炸裂する砲弾と爪手裏剣。

 叩きだされたダメージは……4800以上!

 三発の同時攻撃が炸裂した瞬間、ウルフの装甲表面は黒く変色し、射撃を弾き返そうとした――これがこの機体のバリア機能である――が、一体となった威力はそれを完全に貫いた。


(ふん、やっぱり限界以上のダメージは全く防げないタイプのバリアか)

 予想通りの結果を確認するジン。「減少」ではなく「無効化」と表示された時点でそんな気はしていた。これも昔遊んだゲームと同じだった。


「おのれ! だがまだ……」

『ゲッゲー』

 怒りに燃えるマスターファングへ、今度はダインスケンが合体攻撃を放った。完璧な三機同時射撃がさらに白銀級機を撃つ! 再び強烈な攻撃を受けてのけぞるマチェットウルフ。

 だが青銅級機(ブロンズクラス)なら一撃で倒される威力の攻撃を、それも二度も受けても、白銀級機(シルバークラス)は倒れないのだ。


『今度はこちらの番よな!』

 マスターファングが吠え、マチェットウルフが口から反撃の衝撃波を放つ!



射 デッドハウリング 攻撃3200 射程1―6



 だがそれは――Bクローリザードが身を翻して避けた。

 ダインスケンのスピリットコマンド【フレア】によって。


(ぐっ……だが他の操縦者全員がそれだけの回避をできるわけでも……)

 そう考えるマスターファングの前で――


 ジン機とナイナイ機はしかけてこず、合体技に参加できる間合いで機会を伺っていた。

 母艦Cパンゴリンは運搬作業用アームを伸ばし、援護防御でダメージを受けたジン機を修理していた。修理・補給装置として使えるアイテム【レスキューマシンナリー】は母艦に積み替えたのだ。

 避けられない・耐えられない機体、撃墜されてはいけない母艦。それらはアシスト以外しない、直接ぶつかるのは生存能力のある機体だけ。そういう冷静で沈着な戦法である。


 クローリザードがくいくいと人差し指で「かかってこい」と挑発する。【フレア】をもう何度か使うSPが残っている事は明らかな態度だ。


『貴様ら! 姑息な戦い方しかできんのか!?』

「お前と違って、身内に犠牲者を出したくないからよ」

 怒鳴るマスターファング、誠意ある回答を返すジン。

 激怒したマスターファングは再び蛮刀で斬りかかった。今度はジンのピルバグへと。


 今度は母艦が割り込んで食い止め、その陰からジンが反撃した。

「対応は臨機応変、かつ作戦通りにな。ほらよ……トライシュートォ!」

 三機同時射撃が三度、白銀級機を抉る!


 もはや残りHPは3000未満。

 しかし、マスターファングは……この期に及んで笑っていた。

『よくやった……だがワシを倒しきる事はできなかったな。あと一撃……そのENはあるか? 無かろう? ならばこちらのバリアを貫ける攻撃はもう無い。ワシの勝ちだ!』


 確かにBバイブグンザリにはもう20程度しかENが残っていない。MAP兵器で大量に、通常射撃武器でも少しずつEN(エネルギー)を消費する以上、他の2機より遥かに消耗は激しい。

 その操縦席で、ナイナイは「アイテム1・動作」のスイッチを入れた。

「ぽちっ、と」

 腰部カバー内部の【リカバータンク】――これはENが250回復するアイテムだ――が作動する。モニターに映るENゲージが、ほぼゼロの状態から最大を表示しなおした。


 なおアイテムでのEN回復は補給装置と違い戦意(モラール)が低下しない。

 どうやら「ENがまだ残っていた」判定のようだ。


『なんでそんなに回復消耗品が好きなんじゃあ!』

「別に好きじゃねぇ。数値を上げる強化パーツで強いブツが手に入らないだけだからよ」

 怒鳴るマスターファング、ちょっと不満そうに答えるジン。

 

『いくよ! トライ、シュートッ!』

 ナイナイの声とともに三発の弾がマチェットウルフを貫く!

『な、なんという! もっと部下を連れてきていれば……!』

 その嘆きを残し、白銀級機(シルバークラス)・Sマチェットウルフは爆発した。


「勝ったぜ。ありがとよ」

 戦闘MAPから敵の識別アイコンが全て消えてから、ジンは母艦に通信を送った。

『ああ。町へ補給班を迎えに行くとしよう』

 ヴァルキュリナが事務的な口調で返信する。

 が……艦が向きを変える中、遅れて通信が続く。

『……ジン。貴方なら勝ってくれると、期待はしていた』


 気のせいか。声はいつもより、気持ち柔らかかった。


「俺だけで勝ったわけでもないだろ。文句言ってやれ、ダインスケン」

 なんだか気恥ずかしくてつっけんどん気味になるジン。

『ゲッゲー』

 ダインスケンはいつも通りに応えた。

SAいとうたかを氏が亡くなられたか……ご冥福をお祈りします。

作者が死すとも作品は死せず。GOルゴは続くようで何より。


あの主人公は東西冷戦の頃からいるわけで、そうなると年齢は80超えてそうだが。

まぁ本当に人間なのかどうかもわからんからな。

実はエルフか超人であり、人間とは寿命が違うという可能性もゼロではない。

ゲェーッ……スナイパーの超人!

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