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異世界スペースNo1(ランクB)(EX)(完結編)  作者: マッサン
第三次 疾風怒濤編
288/353

66 再会 4

登場人物の簡易紹介(誰かわからない奴がいた時だけ見てください)


レイシェル:クイン公爵家の令嬢にして魔法戦士。

ノブ:地上最強の霊能者。

ジルコニア:ノブに同乗する妖精。

ドリルライガー:ドリル戦車に宿ったエネルギー生命体。合体形態・ザウルライガー。

リュウラ:クラゲ艦・Cウォーオーの艦長を勤める魔法戦士の少女。

エリカ:オーガーハーフエルフの整備士兼副艦長。

アル:冒険者の少年戦士。

パーシー:スイデン国所属の少年騎士。

コーラル:スイデン国所属の青年騎士。

アリス:元魔王軍魔怪大隊長。

「あ‥‥本当にできてる。Sトライスタッグ‥‥」

 初合体成功を目にしながら、持ち込んだ本人のリュウラは、喜びより驚きの方が遥かに大きかった。


 ちょっと離れた所でアリスが眉を(ひそ)める。

「音速超えて飛行しながらの空中合体をナビゲートいっさいなしの目視だけでやらせるような頭の悪い機体、造った連中は豆腐のカドに頭ぶつけて死んだ方がいいですよ」


 言い訳としては、それができる者達が召喚された事が昔あったのだ。

 その時代、「俺達は故郷で合体変形機に乗っていた」という聖勇士(パラディン)達がいたのでその言い分を聞き、この世界の技術でできる限り再現した機体を造った所、その聖勇士(パラディン)達は獅子奮迅の活躍を見せた。

 その記録がノーセ国に残っていたのである。

 ただ――それが誰にでもできるのかどうか、確かに考えるべきではあったろう。


 というわけで解決策として、アリスは合体ナビゲート用の使い魔を造って渡したのだった。


「ちょっと考えればわかるでしょうに。本当、バカってバカですね」

 アリスがそう言った途端、ついにリュウラが槍を手にシートから立ち上がった。

 呆れ顔から表情一転、アリスは「ヒッ!」と悲鳴をあげて顔を引きつらせて頭を抱える。


『おい、操艦と戦闘指揮をちゃんとしてくれよ! 合体はできたけど、こいつを実戦で使うのは初めてなんだぞ!』

 アルが通信機ごしに怒鳴ったので、リュウラは舌打ちしながらしぶしぶシートに座ったが。


 超音速で空中ドッキングをやってのけた三機。

 コーラルの機体が白い上半身、パーシーの機体が青い足、アルの機体が背中の大きな赤いバックパックブースター。

 大きな翅を広げて飛ぶ、額に鍬形(くわがた)の輝く武者。

 その操縦席でコーラルが叫ぶ。

「いくぞ! 準備はいいか!?」


 それに答えるアル。

「準備というけどさ。これ、操縦すんのは一人じゃんか」


 機体と一体化して動かすというケイオス・ウォリアーの基本は、この機体でも同じだ。

 合体させて人型の一機になった以上、上半身機の操縦者が戦闘のほぼ全てを担当する。

 下半身とバックパックは動作に何も干渉できないのだ。


「す、スピリットコマンドを使いましょう」

「本当にそれしかやる事ないもんな‥‥」

 パーシーの提案に溜息をつくアル。

 一応、各人のスピリットコマンドは機体の性能に反映される。

 その点では確かに合体する利点は大いにあった。


 よってパーシーはモニターを操作し、自分のコマンドを表示させる。

「ええと‥‥この状況で有用な物は‥‥」


パーシーのスピリットコマンド

フォーチュン(幸運)】次の獲得資金2倍。

トラスト(信頼)】味方1機のHPを3000回復。

フレア(閃き)】敵からの次の攻撃を100%回避。

エイド(応援)】次の獲得経験値2倍。

プロテクション(鉄壁)】短時間、被ダメージを1/4にする。

チアー(激励)】隣接する味方機の戦意(モラール)+10。


「お前、防御系とか他人支援ばっかじゃんか! これから戦うのは俺らだぞ?」

 アルに言われて一瞬怯み、それでも言い返すパーシー。

「そんな事言われても‥‥僕が選んだわけじゃないし‥‥。僕は元々防御壁職を目指していましたし‥‥。それに君が防御系少ないから必要になるでしょう!?」


アルのスピリットコマンド

エナジー(気合)】 自機の戦意(モラール)+10。

ヒット(必中)】 短時間、命中率を100%にする。

ガッツ(根性)】 自機のHPを最大値の30%回復。

ダイレクト(直撃)】 次の攻撃は敵の防御系スキル・特殊能力を無効化する。

アサルト(突撃)】 全ての武器を移動後使用可能として扱う。次の攻撃のみ有効。

バーニング(熱血)】 次の与ダメージを2倍にする。


 パーシーに言われて一瞬怯み、それでも言い返すアル。

「そんな事言われても、俺が選んだわけじゃないし! 俺は元々物理アタッカー職を目指していたし! それに誰かが攻撃する必要あるだろ!」

「落ち着け、お前達。今は敵に斬り込むぞ。幸い、私には命中回避系が豊富なようだ」

 話を納めようとコーラルが口を挟んだ。


コーラルのスピリットコマンド

ヒット(必中)】 短時間、命中率を100%にする。

フレア(閃き)】 敵からの次の攻撃を100%回避する。

アクセル(加速)】 次の移動は移動力+3。

コンセントレーション(集中)】 短時間、命中率・回避率+30%。

アジャストメント(手加減)】 技量値で劣る敵のHPを10だけ残す。

バーニング(熱血)】 次の与ダメージを2倍にする。


「じゃあ今必要なのはコーラルさんだけじゃん!」

 文句を言うアル。宥められたというのに不満があるようだ。

「す、すぐにお前達二人も必要になる! 多分! だからとりあえず戦意(モラール)は上げておけ!」

「チッ‥‥はいはい、【エナジー(気合)】やっときますよ! 三連発だチクショウ!」

 コーラルの指示で、半ばヤケクソでアルは己のスピリットコマンドを連発した。

 機体に満ちる力! 操縦者コーラルの気力がどんどん増してゆく!



 アルが気張るとコーラルのやる気が満ちるというのも、この世界の合体式ロボにとっては何ら不思議は無い。

 機体と一体化して操縦するケイオス・ウォリアーのパワーを上げれば操縦者に力が漲るのはむしろ当然と言えよう。



「よし‥‥行くぞ!」

 ついに――本当にようやくと言うべきか――合体式ケイオス・ウォリアー、Sトライスタッグは翅を広げて戦場へと飛んだ!

 その手に持つのは、各機の大顎だった刃が合体し、緩やかにカーブした曲刀。つまりカタナである。


 飛翔しながらスタッグが剣を振る。

 一閃!

 刃から斬撃が(ほとばし)り、進行方向にいる離れた敵機、ソードアーミーを両断した。

 そのままスタッグは一気に前線へ躍り出る。先行していた他の機体に一気に追いつき、さらに前へ。


『うわあ? すっごいスピードね』

『フォーム1は高機動型、スピードと運動性重視だから』

 ブリッジで感心するグリダにリュウラが説明した。

 事実、そう話している間にもスタッグは次々と敵を斬り伏せていく。

『ほう‥‥勿体ぶっただけあって中々の物だ』

 己も敵機を叩きのめしながらも、ノブは高い評価をくだした。



 しかし敵もただ圧されるばかりではない。

 穴の底からさらにケイオス・ウォリアーの増援が現れる。

 それらは迂回コースをとって、クイン星輝隊(せいきたい)の横腹を突こうとした。


『別方向から来ますわよ!』

 叫ぶレイシェル。それにコーラルが応えた。

「ならば増援の方を頼む。ここは我々が抑えよう。パーシー、任せるぞ!」

「は、はい!」

 緊張した声で、それでも了解するパーシー。

 スタッグは一瞬にして分離し、再び三機のクワガタ虫型戦闘機になる。


 そして‥‥

「チェンジ、フォーム2! スイッチオン!」

 パーシーが叫んだ。


 その側に、ゆらり、と陽炎が生じる。

 そこからひょいと顔を出すのは、ナビゲート用使い魔のポルタ。

 先刻同様、モニターに各機の位置と座標を映し出す。


 三機のクワガタ虫が合体した。

 武者のようなその姿はほぼ同じながら、今度は上半身が青、脚部が赤、背負うバックパックが白だ。

 翅を広げ、空中で槍と盾を構える。


『これは頼れそうです。ここは任せました!』

 そう言うとザウルライガーは迫る敵増援へと向かう。

 周囲に残る敵機は、これよりSトライスタッグのフォーム2が食い止めるのだ。



 敵の群れから矢と砲弾が雨のように降り注ぐ。

『まぁあのぐらいの数なら‥‥』

 リュウラがそう言うと、まるでそれが聞こえたかのように、敵群の後方にいるFSデスイーグル‥‥ゴーズの機体が飛んできた。

『グゥヘヘヘヘ‥‥!』

 狂気の笑みを浮かべ、ゴーズは機体の両腕から黄金の閃光を放つ!


 爆発! 大地が(えぐ)れた。

 しかもその爆発の中に敵の群れは容赦なく砲撃を叩き込む。

「わ、わぁあ!?」

 予想以上の弾幕に呑み込まれ、パーシーの悲鳴が通信機から響いた。


『え!? ちょっと!? アルくん!?』

 グリダが悲鳴をあげた‥‥。

設定解説


・Sトライスタッグ(フォーム1)

 クワガタムシのケイオス・ウォリアー。地上・空中戦を得意とする白い高速の武者。

 三形態中、運動性と移動力に特に優れる。

 武器は「ホワイトキャリバー」という刀、それに高エネルギーを籠めて威力を上げた「ビートスラッシュ」、右腕に内蔵された「ビームキャノン」。

(10段階改造済み。戦艦の改造度が反映されたらしい)

HP:8000 EN:300 装甲:2300 運動性:160 照準:205

格 ホワイトキャリバー 射程P1ー3 攻撃力4500 消費10

射 ビームキャノン   射程1ー6  攻撃力4700 消費15

格 ビートスラッシュ  射程P1ー4 攻撃力5700 消費25 戦意110


・Sトライスタッグ(フォーム2)

 クワガタムシのケイオス・ウォリアー。地上・空中戦を得意とする青い鉄壁の武者。

 三形態中、装甲と射程に特に優れる。

 先端が曲刀の槍(ヴージやサイズといった形状)「ブルースピア」、両眼から放つ光線「アイビーム」、盾から放つ破壊光線「シールドブラスター」を駆使して戦う。

(10段階改造済み。改造度が反映されたのは一時期召喚武器になっていた関係らしい)

HP:8000 EN:300 装甲:2500 運動性:150 照準:205

射 アイビーム     射程1ー8  攻撃力3900 消費10

格 ブルースピア    射程P1ー3 攻撃力4000

射 シールドブラスター 射程1ー7  攻撃力5100 消費25

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