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異世界スペースNo1(ランクB)(EX)(完結編)  作者: マッサン
第三次 疾風怒濤編
280/353

58 獣国 2

登場人物の簡易紹介(誰かわからない奴がいた時だけ見てください)


レイシェル:クイン公爵家の令嬢にして魔法戦士。

ノブ:地上最強の霊能者。

ジルコニア:ノブに同乗する妖精。

ドリルライガー:ドリル戦車に宿ったエネルギー生命体。合体形態・ザウルライガー。

リュウラ:クラゲ艦・Cウォーオーの艦長を勤める魔法戦士の少女。

エリカ:オーガーハーフエルフの整備士兼副艦長。

アル:冒険者の少年戦士。

パーシー:スイデン国所属の少年騎士。

コーラル:スイデン国所属の青年騎士。

アリス:元魔王軍魔怪大隊長。

 山上に現れた三機のケイオス・ウォリアーは、猛スピードで崖を駆け下りた。

『邪魔はするなよ』

 そう言ってクイン星輝隊(せいきたい)の横を駆け抜ける。

 彼らの機体に、レイシェルはヘイゴー連合国の紋章を見た。


 ヘイゴーの部隊——三機の言葉を信じるなら、魔王軍への内通者——へ、彼らは攻撃を仕掛ける!

 相手部隊も攻撃目標をクイン星輝隊(せいきたい)から変更し、三機を迎え撃った。



 三機のうち一機‥‥キリンの頭部を持つ半獣人型の機体が射撃の弾幕に晒される。

 しかしキリン機の姿が、前触れもなく唐突に消えた。

 次の瞬間には現れたが――敵部隊の懐、その目の前!

 しかも既に長柄の槍を振り終わっている。

 敵部隊はまとめて横に両断されており‥‥一瞬後、同時に爆発した!


「え!? 今のは一体?」

『回避してから攻撃が終了するまでのタイムラグが、ゼロ‥‥いくら速度があっても、こんな事は不可能のはず‥‥』

 驚愕するレイシェルに、困惑するリュウラの声が続く。

『時間の流れの外にでもいるのか?』

 ノブも戸惑いを露わにしていた。


『だいたいそんな所だ‥‥この俺、エンクは光速の行動を可能とする能力者。俺に敵は無い』

 キリン機から、不敵な青年の声が届く。



 三機のうち一機‥‥赤い鳥の頭部を持つ半鳥人型の機体が射撃の弾幕に晒される。

 鳥型の機体は、それを受けて全身が穴だらけになった!

 だが次の瞬間――その傷は全て消えてしまう。

 同時に、敵部隊が全機爆発した!


「え!? 今のは一体?」

『ダメージが消えた‥‥再生? でも敵が爆発したのは、どうして‥‥』

 驚愕するレイシェルに、困惑するリュウラの声が続く。

『受けたダメージを反射でもしたというのか』

 ノブも戸惑いを露わにしていた。


『ふふ、ちょっと違うわね。このランは生死を直に掌握している能力者。私の再生能力は無限。そして敵には耐性無視のオートカウンター即死能力を常に発動している。私に敵は無いわ』

 半人半鳥の機体から、強気な女の声が届く。



 三機のうち一機‥‥燃え盛る丸い頭部を持つ奇怪な巨人型の機体もまた敵に襲われようとしていた。

 だが攻撃が放たれる事は無かった。爪が、牙が、弓が、ことごとく消えてしまったのだ。

 突然の事に混乱する敵部隊を、燃える巨人機が放つ炎が焼き払う!

 一切の攻撃を放つ事ができず、相手側の部隊は炎上して爆発した。


「え!? 今のは一体?」

『なぜ武器が全て消えてしまったの?』

 驚愕するレイシェルに、困惑するリュウラの声が続く。

『まるで攻撃そのものが許されなかったかのようだ』

 ノブも戸惑いを露わにしていた。


『わかるかぁ? このサイシュウ、【消去自在】という能力を持つ。雑魚どもから「攻撃する手段」を消してやった。オレに敵は無いィ!』

 奇怪な巨人機から、粘っこくも甲高い男の声が届く。



 不可解な()()を持つ操縦者達の、三機の白銀級機(シルバークラス)

 彼らは相手を全滅させると、クイン星輝隊(せいきたい)へ通信を送ってきた。

『終わったぞ、スイデンからの客人。ここからは帝王直属、我ら史上最強の無敵軍【カマセイル隊】が案内を務めよう』

『え? ええ、よろしく‥‥』

 戸惑いながらもレイシェルは了解した。



――カマセイル隊と名乗る三機を迎え入れ、Cオーウォーは連合国内を進む――



 カマセイル隊は三人とも獣人の一種だった。

 人と獣の姿を使い分けるライカンスロープ種ではなく、人の姿に獣の特徴を持つ半獣人種である。


「史上最強とは大きく出たよな。やっぱり聖勇士(パラディン)なのか?」

 そう訊くアルに答えるのは、枝分かれした麒角を持つ精悍な青年・エンク。

「そうだ。だが実力を過信しているつもりはない。むしろ謙遜している。少なくとも‥‥勝手に墜落していたヘタクソどもよりはマシなつもりだ」

「それを言われると辛いですね‥‥」

 パーシーが肩を落とした。


「本当に史上最強なら、魔王軍首領の首をとって全部終わらしてくんねーか?」

 相手の態度が気に入らなかったか、ちょっと棘を含んだジルコニアの言い草。

「ええ、そのつもりよ」

 そう答えたのは、長い赤毛の後ろ髪に孔雀のような尾羽の混ざった、強気な目つきの女性。ランと名乗った女だ。

「マジで!?」

 驚くジルコニアへ、ランは余裕を見せるかのように髪をかきあげた。

「でも私達、ヘイゴーの防衛が仕事なのよね。本当はさっさと大将首をとって終わらせてもいいんだけど、雇主の帝王様が許可を出さなくてさ」



「オレに行かせれば即日終了なのに。どうしてそれがわからないかねェ‥‥」

 不満を露わにそうぼやいたのは、サイシュウと名乗った、メガネをかけた陰険そうな猫背の男だ。頭はほぼ無毛なのだがそこだけ皮膚が黄色く、太く長い同色の毛が何本か垂れ下がっている。

「まぁ、敵を倒してもヘイゴー連合国が潰されては意味が無い‥‥という言い分もわかる。それなら俺一人で乗り込み、他の二人を防衛にまわせばいいと、意見はしたのだが。帝王はまだ許可を出さないのだ」

「ま、雇主の言う通りにはするけどね」

 エンクとランがそう話している側で、サイシュウはニヤニヤと笑っていた。

「へ、へへ‥‥我慢できなくなったら勝手にやらせてもらうさ」



 三人を前に、レイシェルは考える。

(さっき見た力があれば、確かにどんな敵にでも勝てそうですわ。私達が無理に魔王軍の本拠地へ乗り込む必要は無いのかしら‥‥?)

設定解説


・光速の行動を可能とする能力

 秒速30万キロまで加速しているのではなく、己の時間の流れを操作している。よって加速度や衝撃などの問題は発生しない。思考も行動も本人的には普段通りにしか行っておらず、周囲が止まっているも同然に見える。


・生死を直に掌握している能力

 受けた筈のダメージを無かった事にする。結果、HPは満タンのままになる。同時に「敵は死ぬ」。意味不明? でもそういうチートが昔あったのでな‥‥(戦闘シーンが終わったらダメージがなかった事になっており、なぜか敵機が爆発する)。


・【消去自在】という能力

 できるのは「削除」のみだが、敵のデータを直接書き換える。

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