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異世界スペースNo1(ランクB)(EX)(完結編)  作者: マッサン
第三次 疾風怒濤編
267/353

45 竜神 4

登場人物の簡易紹介(誰かわからない奴がいた時だけ見てください)


ジン:地球から召喚され、この世界で改造人間にされた男。

ナイナイ(ナイナ):異世界からこの世界に召喚され、ジンと同じ改造を受けた少年にして少女。

ダインスケン:異世界からこの世界に召喚され、ジンと同じ改造を受けた爬虫人類。

リリマナ:ジンに同乗する妖精。

ヴァルキュリナ:ジン達を拾った女正騎士。竜艦Cガストニアの艦長。

クロカ:女ドワーフの技術者。Cガストニア所属。

ゴブオ:ジンについてきたゴブリン。

オウキ:元魔王軍空戦大隊の親衛隊。核戦争で荒廃した世界から来た拳法家。

 ジン達はCガストニアへ戻り、艦は海底洞窟へ入っていく。

 七頭の竜神・セブンセンシズに先導されて。

 いくつかの分かれ道を過ぎ、やがて空気のある広大な空間に着いた。


 そこには町があった。

 石造りの建物が並び、色とりどりの珊瑚や真珠がそこかしこに使われている。

 住人達の姿は人間に近かった――というより、鱗やヒレがついている人間に見える。

 服や装飾品も地上の人々と大差ない。


『水棲種族も様々でな。火・紙・塗料など、水中では扱い難い物を使うために空気中での生活が中心になった種族もいる。この国にはそういう種族の居住区もいくつかあるのだ』

 そう言いながら、竜神は洞窟内に上陸する。

 ガストニアもそれに続いた。



――上陸した艦から、ジン達は町へと出る――



 多少の湿気と陸棲の魚系人達に囲まれるジン達。

 にこやかな表情から歓迎されている事はわかる。

 そして‥‥すぐ後ろの水の中から、巨大な竜――手足の無い、蛇のような――が顔を出した。奇妙な事に、その頭には金槌がめり込んでいる。

『始めて会うな。我が子らよ』


「お、おう?」

 戸惑うジンはそう言うのが精いっぱいだ。他のメンバーもどう反応すればいいかわからず困っている。

 そんなジン達に竜神が説明した。

『ヨルムンは五行の一つ・水の最上位竜(アークドラゴン)。かつて人魚の国で守護者を務めていた。だが、あの国は魔王軍の海戦大隊に滅ぼされたのだ』


 ヨルムンーー探しに来た賢者と同じ名前である。


 蛇竜――ヨルムンは頷いた。

『その時に私も捕らえられた。そしてこの身を‥‥私の細胞を利用されたのだ。新種族作成の材料として』

「それで造られたのが、俺達か‥‥!」

 驚くジンに、ヨルムンはなおも頷き肯定した。 

『そうだ。お前達の体には私の細胞が使われている』


『海戦大隊が壊滅した事で、我を捕えていた監獄にも隙ができた。それで辛くも脱出し、ここに戻って来たのだ。いわばお前達は我が子らにして、我が預かっていた国を滅ぼした憎き仇を討ってくれた勇者であり、我を助けてくれた恩人でもある。そんなお前達がここに来た以上、我はできうる限りの礼をしたい』

『無論、ヨルムンを含む五行竜全ての親である我もだ。孫といえるお前達のためにもな』

 神竜とその子竜が感謝を述べると、周囲の住人達から盛大な拍手が起こった。



――ジン達は居住区の奥に案内された――



 磨かれた床の上に祭壇が並び、その陰に様々な財宝が乱雑に置かれている。

 ここがこの居住区の、神の座であるらしい。

 二柱の竜がそこでジン達がここに来た目的を尋ねた。


『魔王軍との決戦準備か。我もお前達こそが勝利をもたらす勇者だと思う。よかろう、我が旧友トカマァクに力を貸そう』

 そう言うとヨルムンの体が水となった。

 驚くジン達の前で、水となった体が大きさと形を変える。

 体が再び個体となった時、そこには古代のトーガを纏う、蛇頭人身の魔術師がいた。頭に金槌がめり込んでいる事は変わらないが‥‥。

『この姿も久しいな。ケイトの姫に魔術を指導した時以来か』


「これでここに来た目的は達成できたな」

 ほっと一安心するヴァルキュリナ。

 次に竜神セブンセンシズが言う。

『さて、次は我だ。やはり最強の敵と戦うとなれば、何か力になる物を与えたい』

「強力な武器とか?」

 期待をこめてリリマナが訊くと、竜神はあたりに散らばる財宝へ目をやった。


『それが望みか? 古代の聖剣エクスカリバーなら、確かそこのどこかに転がっていた筈だが‥‥』

「この世界にもあるのかよ、エクスカリバー。しかし転がってる程度の物なのか‥‥」

『ケイオス・ウォリアーが普及してから、必死に探す者も少なくなったからな。生身で戦うぶんには未だ最強の武器の一角なのだが』

 呆れるジンへ竜神がそう言っている間に、ヨルムンが輝く盾の下から両手剣を引っ張り出す。

『これだ』

 永い間置かれていたというのに、錆一つ浮いていない美しい刃。

 薄らとオーラを放つ聖剣がジンの手に渡された。


 ジンはその剣を一振りしてみる。

 怪訝な顔になる。

 刀身をそっと撫でる。

 首を傾げる。

 刃に直に触れる。

 どうにもおかしい。

「これ、ウレタンの棒みたいなんだがよ‥‥」


 ヨルムンは『ふむ』と呟いた。

『持ち手を選ぶタイプの剣だからな。剣で戦わない者に使わせる気がないのだろう』



※ジンの武器

・パンチとキック

・巨大ロボ



 しばらく考え、ジンは聖剣をヴァルキュリナに手渡した。


「え? え‥‥私が使うのか?」

 戸惑うヴァルキュリナ。

 ジンに頷かれ、おずおずと剣をふりあげ‥‥転がっている物へ適当に振り下ろした。


 兜が真っ二つになる。

 鎧が真っ二つになる。

 石の祭壇も真っ二つになった。


「へえ、なんでも斬れるんだね」

 ナイナが感心するも、ヴァルキュリナはやっぱり戸惑っていた。

「ありがたいが‥‥私も、使うかどうかは‥‥」


 そんな彼女は置いといて、セブンセンシズは改めてジン達に向き直る。

『本題に戻り、我が孫らへの援助だが』

「潜在能力を引き出してレベルアップさせる、とかできないんですかよ?」

『レベルアップならもうやった。我を倒して大量の経験値を得ただろう』

「それで襲ってきたのかよ!」

 当然のように言う竜神。その親切な配慮に、ジンの声には抗議が多分に含まれていた。


 だがそんな事は気にせず、竜神は宙に映像を造りだす。

 そこにはジンの名前と顔と各能力が映っていた――ステータス画面である。

『ふむ。これが今のお前の力か』



ジン=ライガ レベル54

格闘252 射撃250 技量258 防御241 回避161 命中203 SP168

ケイオス8 底力7 援護攻撃1 援護防御1 アタッカー ガード3 気力限界突破3 闘争心3 H&A

スカウト(偵察) ウィークン(脱力) ヒット(必中) プロテクション(鉄壁) ブレイブ(勇気) レイジング(怒涛)



「ジンのレベルが一気に上がったね」

「この竜神様、レベルが高かったからな‥‥」

 嬉しそうなリリマナに、ジンは微妙に納得いかない顔で呟いた。


 そして竜神は指摘する。

『お前のケイオスはこれ以上、上昇せんようだ』

「やっぱ黄金級機(ゴールドクラス)の操縦者としちゃ不完全か。選ばれし勇者サマじゃあねぇだろうと、まぁ思ってはいたけどよ」

 薄々予想していた己の上限に、ジンは溜息まじりに肩を小さくすくめた。


 その言葉に、竜神セブンセンシズは――

『ならば完全にしよう』

 そう言ったではないか‥‥!

設定解説


・五行竜ヨルムン


竜神セブンセンシズの子にして、この世界の元素を司る五体の竜の一つ。

木・火・土・金・水のうち水の力を持ち、豊かな知識と豊富な変化の術を併せ持つ。

普段は世界の果てと言われる海溝の底に沈んでおり、なまなかな事では見る事もできないが、気が向いた時には適当な姿に化身して海中や地上を気ままに旅する流動性も併せ持っている。

会う事さえできれば知識を分け与える事に躊躇いはなく、有史以来、何人かの幸運な賢者の師ともなった。


そんな蛇竜ではあるが、過去、大きな戦に巻き込まれた事もあり、その時に雷神の一柱から叩きこまれたハンマーがまだ頭から抜けないでいる。

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