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異世界スペースNo1(ランクB)(EX)(完結編)  作者: マッサン
第三次 疾風怒濤編
264/353

42 竜神 1

登場人物の簡易紹介(誰かわからない奴がいた時だけ見てください)


ジン:地球から召喚され、この世界で改造人間にされた男。

ナイナイ(ナイナ):異世界からこの世界に召喚され、ジンと同じ改造を受けた少年にして少女。

ダインスケン:異世界からこの世界に召喚され、ジンと同じ改造を受けた爬虫人類。

リリマナ:ジンに同乗する妖精。

ヴァルキュリナ:ジン達を拾った女正騎士。竜艦Cガストニアの艦長。

クロカ:女ドワーフの技術者。Cガストニア所属。

ゴブオ:ジンについてきたゴブリン。

オウキ:元魔王軍空戦大隊の親衛隊。核戦争で荒廃した世界から来た拳法家。

 山間の平原を前進するCガストニア。

 やがて前方に水平線が見えてきた。

 海だ。

 陽光に輝く潮を眺め、ジンは呟く。

「海中王国、ねぇ‥‥」


 かつて世界の中心だった千年帝国ケイト。

 その支配域――領土だけでなく、配下・影響下の周辺国も含む――には、無数の異種族・異民族が住んでいる。

 その中には、領海内にある水中種族の国家もあった。



 大賢者トカマァクの旧友・ヨルムン。

 ヨウファ姫が辺境で出会い、魔術を学んだ師でもあるその男は、半人半竜で陸と水中の両方を生息圏とする種族だったというのだ。

 別れて久しいためどこにいるのかは姫にもわからない。

 だがその故郷を教えてもらったので、ジン達は手がかりを求めてそこへ向かったのだ。


 海中にあるという「竜神国」へと。



――そしてCガストニアは、海を臨む大きな岬へと着いた――



「故郷が沖の水中王国ってな‥‥水陸両棲の種族だと聞いたが、水の比率に偏りすぎだろ」

 窓から海を眺めつつ愚痴るジン。

 輝く波は美しいが、その下へ潜らねばならないとなると警戒もする。

 ケイオス・ウォリアーもCガストニアも、泳げも潜れもする。だが水中適応が高いかどうかは別の話だ。

 というより、水適応が高い機体はナイナのSパールオイスターしか無い。


(剣と魔法のファンタジー世界なら、水中にもモンスターはごろごろいるだろうしな‥‥)

 ジンには嫌な予感しかしないのだ。

「戦闘準備も今のうちにしておくか」

 ジンの懸念に、ナイナが「ふふふ」と笑う。

「ボクの独壇場だね。何がでてきても負けるつもりはないから、任せて」


「まぁ水の中で戦う事になるとは限らない。魔王軍も今ではほぼ来ないそうだし」

 さらにヴァルキュリナが気休めで慰めてくれる。

「ああ。海戦大隊は壊滅したからよ。だから多分安全だ」

 彼女の優しさにジンは頷く。

 ナイナは少しつまらなさそうな顔をしたけれど。


 しかしジンは付け足すのだ。

「つまり敵はいて戦闘になるからよ」


 壁にもたれたまま怪訝な顔を見せるオウキ。

「すまんがわからん。流れと結論が剥離しているように聞こえたが」

「世の中、()()()()()は大丈夫じゃねぇんだ」

 ジンは断言した。

 凄く自信を持って断言した。

 召喚される前の、故郷の地球での経験則だが、このインタセクシルでも絶対に同じだと根拠は無いが確信していた。

「ゲッゲー」

 ダインスケンも鳴いた。



――数時間後。海底を歩くCガストニア。その前方に――



 巨大な洞窟が口を開けていた。

 おそらく沖の島になっているであろう、海底の隆起。

 その根元に、艦でも容易に入る事ができる大洞窟が口を開けていたのだ。


 MAPと照らし合わせ、ヴァルキュリナが確認する。

「あそこが竜神国の入り口か」


「大丈夫だったじゃン!」

 ジンの頭上で批難するリリマナ。

 物凄く自信ありげに断言されたので、彼女もレーダーの側で緊張しながら身構えていたのだが‥‥艦に攻撃できる大きさの生物など出て来なかった。

 まぁ素潜りだったら襲われていたかもしれない、体長2~3mのサメなら何度か見たが。大きさが違いすぎて、向こうが逃げてしまったのである。

 他は魚がのどかに泳いでいただけだ。


 ジンは腕組みして頷く。

「ああ。大丈夫じゃないと断言したからだな」

「えー。意味わかんない!」

 やはり批難するリリマナ。

 だがジンは落ち着いて言った。

「そりゃお前さんが幸せな人生だったからだ」



 大丈夫と言ったら(あるいは言わされたら)大丈夫ではなくなる。

 悲しいがよくある事だ。

 正直に述べれば、無い方がいい。



 ためになる教訓は別として、ガストニアは洞窟に入るべく前進した。

 だが――突如、艦が激しく揺れる!

 耳障りな警報!

「うわっ!」

 衝撃に誰かが悲鳴をあげた。


「攻撃を受けているぞ!」

 モニターを慌ててチェックし、ヴァルキュリナがブリッジの皆に聞こえるように叫ぶ。

 歯軋りするジン。

「チィッ! 大丈夫と断言しちまったからか!」

「だから意味わかんないよォ!」

 批難めいた声をあげるリリマナだが、彼女を掴むと、ジンはブリッジから駆け出した。



――鬼甲戦隊(きこうせんたい)は出撃する。艦から海中へと――



 水の中に飛びだす、四機の白銀級機。

 ガストニアの周囲には光線が次々と着弾し、水の中で黒い砂煙をあげる。

 その光線を撃つ敵を、出撃した者達は見た。

 

『おいおいおい、ありゃあまさか!?』

 ブリッジに入ったクロカの、半ば悲鳴のような声。

 ナイナも緊張した声を、通信機の向こうで漏らした。

『まさか‥‥竜神国の王竜って‥‥あれ?』



 竜神国――その名の通り、ある竜が治める国だという。

 記録に残る限り最古の竜であり、その国では神と同一視もされている。

 ケイト帝国の領海内にあるものの、支配下に置かれているわけではない。地上の勢力図など気にしていないので、干渉してこないだけだ。

 そして帝国臣民がその竜を自分達の味方かのように言うのは‥‥長い歴史の中、竜の元に赴き助力を得た勇者や賢者が何人かいるからである。

 決して、竜を従えたわけではない。


 どんな姿なのか、調べるのは容易だった。

 記録されているのだ。七本首の、様々な色彩の輝く鱗をもつ、小山のようなドラゴンの姿が。


 その記録が正しければ――洞窟から出てきた七本首の竜。それが竜神国を治める、王にして神の筈である。

 問答無用でガストニアへ(ブレス)を吹きかけてきた、巨大なドラゴンが。

 その名は神竜セブンセンシズ。

 


 ジンが苦々しく呟いた。

「敵にまわってたのか。理由はわからんがな」

設定解説


・神竜セブンセンシズ


七つの頭を持つ最古の竜。

それぞれの頭は竜・人・獣・鳥・魚・虫・髑髏となっており、この世界に存在する全ての動物の祖であり、誕生と死の始まりだとされている。

これが「七感竜」の名の由来であり、それに基づいてケイオス・ウォリアーの分類も生まれた。

争いを好まず、海の底でこの世の流れをずっと見守っているが、地上への干渉も求められた時だけは応じる。

しかし一たび荒れ狂えば七つの頭から吐き出す魔力の波が全てを粉砕し、嵐と豪雨が全てを押し流すと言われている。

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