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異世界スペースNo1(ランクB)(EX)(完結編)  作者: マッサン
第三次 疾風怒濤編
235/353

13 脅威 5

登場人物の簡易紹介(誰かわからない奴がいた時だけ見てください)


ジン:地球から召喚され、この世界で改造人間にされた男。

ナイナイ:異世界からこの世界に召喚され、ジンと同じ改造を受けた少年にして少女。

ダインスケン:異世界からこの世界に召喚され、ジンと同じ改造を受けた爬虫人類。

リリマナ:ジンに同乗する妖精。

ヴァルキュリナ:ジン達を拾った女正騎士。竜艦Cガストニアの艦長。

クロカ:女ドワーフの技術者。Cガストニア所属。

ゴブオ:ジンについてきたゴブリン。

アル:冒険者の少年戦士。

パーシー:スイデン国所属の少年騎士。

コーラル:スイデン国所属の青年騎士。


レイシェル:クイン公爵家の令嬢にして魔法戦士。

ノブ:地上最強の霊能者。

ジルコニア:ノブに同乗する妖精。

ドリルライガー:ドリル戦車に宿ったエネルギー生命体。合体形態・ザウルライガー。

リュウラ:クラゲ艦・Cウォーオーの艦長を勤める魔法戦士の少女。

エリカ:オーガーハーフエルフの整備士兼副艦長。

オウキ:元魔王軍空戦大隊の親衛隊。核戦争で荒廃した世界から来た拳法家。

 黄金級機(ゴールドクラス)を造らずとも、神蒼玉(ゴッドサファイア)で機体を強化できる。

 その案にジン達は乗った。

 翌日から、ファンデム伯爵が所有する中で最新の工場が昼夜を問わずフル稼働する事となった。



 工場で働くのはドワーフの職人達、その中でも名門の熟練工だ。

 中央に横たわるSサンダーカブトの周囲で、屈強な髭面の小人達が止まる事なく作業を続ける。



 それを吹き抜け二階の、壁際の通路から見下ろす、二隻の艦の主だった面々。

 レイシェルが訝しむ。

「大賢者トカマァクさえ言ってましたわよね? 白銀級機(シルバークラス)神蒼玉(ゴッドサファイア)を組み込んでも、白銀級機(シルバークラス)の中の強機体になるだけだと。それを変える新しい手段を用意できるなんて‥‥」

「師匠は偉大だが全知全能では無い。水面下で生まれていた新たな技なら知らない事もある。それに彼らの持ち物を彼らの判断で使う以上、余計な口出しはできないだろう」

 ノブはそう言いながら作業を見つめていた。


 作業員達の働きぶりを見るファンデム伯爵は満足気だ。

「全ての工程が終了するまで、あと一週間という所かな」


「ジンも改造につきっきりか」

 そう言うヴァルキュリナの視線の先は、横たわるカブトの操縦席。

 そこからジンが顔を出し、側で半透明の板を操作しているクロカと何やら話していた。

 少しでも作業を早くするため、操縦者のジンが調整に参加しているのだ。


「うん‥‥」

 そんな光景を見ながら、ナイナイがどこか気の無い返事を呟く。

「ナイナイ? どうした?」

「え、いや、別に‥‥」

 元気の無さを不思議に感じたヴァルキュリナが訊いても、ナイナイは言葉を濁すだけだ。


 そこへ横から元気な声がかかる。

「へへ、自分の機体が心配なのか?」

 二人がそちらへ振り向くと、そこにいたのは工具箱を手にしたオーガーハーフエルフのエリカだ。

「安心してくれよ! そっちもじきにバッチリなのができるから!」


 この際という事で、ナイナイとダインスケンにも新機体が準備されつつある。

 今乗っている機体のデータを流用し、白銀級機(シルバークラス)が二機、並行して造られているのだ。

 ただジン機の強化に人手がとられているので、二隻の艦の工員達が中心となっていた。無論、エリカもその中に加わっている。


「だからあの二人の邪魔しちゃダメだぞ」

 エリカも階下の作業へ目をやった。



「そりゃダメだっつってんだろ!」

「俺が良いと言ってんのに‥‥スジが通らねぇ」

 クロカが何やら怒鳴り、ジンが不満を漏らす。



 それを見ながら楽しそうなエリカ。

「仲良いよな、あの二人。クロカはなんか内気な所あるけど、ジンにはああして遠慮なしに喋るしさ。操縦者と機体の製作者だから信頼も深いだろうし‥‥あれ、恋人同士だったりするのか?」

「えぇ? 違うと思うけどなァ?」

 意外な言い分に困惑しながら、リリマナは否定気味だ。

「う、うん‥‥違うよ、きっと」

 ナイナイは目を伏して、けれどやっぱり否定した。


 そんな話を横で聞き、フォースカー子爵は顎に手を当てて考える。

「違うと思いたいな。ジンにはヴァルキュリナと見合いの一つもしてもらいたいと思っているのだから」

「ち、父上!?」

 狼狽(うろた)えるヴァルキュリナ。


 そんな話を聞きながら‥‥ナイナイはますます浮かない顔をしていた。


 そんな浮いた話を他所に、レイシェルは改造作業を‥‥そこにいるジンを見ながら物思いに耽る。

(なぜ彼は、私にああも否定的なのかしら?)



――それは改造作業が始まる直前の事だ――



 ジンはCオーウォーの面々を呼びつけた。

 そして要求したのだ。彼らの持つ二つの神蒼玉(ゴッドサファイア)を、今回の強化が上手く行ったら鬼甲戦隊(きこうせんたい)へ渡すように。


「私達の持つ二つ。そちらにはカブト以外にも二機。それはわかりますけれど‥‥」

「だからってこっちのを二つとも渡せというのは図々しい」

 戸惑うレイシェル、睨みつけるリュウラ。

 それでもジンは言った。

「そうだな。だが渡してほしい」


「こちらで使う事も視野にいれるべきだろう。レイシェルはケイオスレベル9、黄金級機(ゴールドクラス)に乗れるのだからな」

 ノブがそう言うと、ジンはレイシェルに訊いた。

「乗って、戦えるのか? ディーンと‥‥君の兄貴と」


 その言葉にレイシェルの目が険しくなった。

「肉親の情はあります。けれどそれは裏切り者へ容赦するという事ではありませんわ!」

 ジンは‥‥それに対し、こう告げた。


神蒼玉(ゴッドサファイア)を俺に渡して、君は家に帰った方がいい」


「お断りしますわ。渡せなくなりましたもの」

 はっきりと突っぱねるレイシェル。

 ここで渡すという事は、兄相手では嫌だと戦いを投げ出す事だ。そしてジンはレイシェルが投げ出すと思っている――そう感じて。 


「そうか。なら仕方ねぇ。すまんかったな」

 ジンはほんの少し沈んだ顔でそう言い、それ以上は要求してこなかった。



――それからジンは、改造作業に連日没頭しているのだ――



(ディーン兄様に裏切られて間一髪だったというし‥‥ケイド兄様とも仲が悪かったという話もあるし。彼はクイン家を嫌っているのかしら?)

 悩むレイシェル。

 ジンの態度や要求は、どうも自分への何か隠した感情があるような気がするのだ。

(まさか、スイデン国からの期待に踊らされているわけじゃないでしょうに)

 そう思いつつ、スイデンの使者を横目で見る。


 使者たる騎士コーラルも、また真剣な眼差しをカブトへ向けていた。

「後は完成まで敵が攻めてこない事を祈るのみ、か」

 その側でジルコニアが顔をしかめる。

「おいおい、そりゃフラグって奴‥‥」



 警報が、鳴った‥‥!

 敵襲! 敵襲である!



「マジきやがった! クソ騎士のせいで!」

 怒鳴るジルコニア。

「わ、私のせいか?」

 目を丸くするコーラル。


 だが直後、工場の隅から駆動音が響く!

『自分は先に出ます! ここには近づけさせません!』

 片隅で整備を受けていたドリルライガーが勇ましくそう言うと、搬入のため開いていたシャッターから全速力で出て行く。


「フッ‥‥愚図愚図してはおれんか」

 そう言うと、オウキは手すりを跳び越えて階下へ降りた。

 十数メートルの高さと距離など問題にせず、自機Sフェザーコカトリスの前へ着地する。


「ジル、行くぞ」

 そう言うとノブも手すりを跳び越えた。

 こちらは青い煌めきを舞わせ、浮遊系の魔法で滑るように自機へと飛ぶ。当然、ジルコニアも翅をはばたかせて後を追った。


「な、なんだかあちらは素早いな」

 Cオーウォーのメンバーを見て、ヴァルキュリナは呆気にとられる。


 レイシェルは階段へと大急ぎで走っていたが、まぁ彼女もじきに出撃するだろう。


 リュウラも艦がある格納庫へ走ろうとしたが、その前にCガストニアのメンバーへ振り向く。

「貴方達は待機していていいわ」

「え? でも‥‥」

 戸惑うヴァルキュリナ。

 だがリュウラは言う。

「機体を改造している最中だから、鬼甲戦隊(きこうせんたい)の隊長が動けないでしょ。もし一週間戦いが続いたら、その時は増援として駆け付けて」

 そして彼女は隣接する格納庫へ行くため、渡り廊下の入口へ駆け込んだ。


 リュウラが去ってから、ナイナイはガストニアの面々を見渡す。

「僕達だけでも出撃した方がいいのかな‥‥」

「いらねーと言ってるんだから、今回は任せちまえばいいんじゃねースか?」

 ゴブオはやる気なさそうにそう言って、酒の入った徳利を煽った。


「せめて私は出よう。いくぞ、パーシー!」

 コーラルは側の少年騎士へ声をかける。

「は、はい!」

 慌てて頷くパーシー。

 二人の騎士も階段へと走った。



――山間部の川沿いを、敵の軍団は街の側まで迫っていた――



 Eムーンシャドゥ、Sエストックナイト、Sフェザーコカトリス、ザウルライガー、そして母艦Cオーウォー。

 ノブ達一行は街までの道を塞ぐ。

 彼らのモニターが、戦闘MAPに敵影を表示した。


 そのアイコンを見て、リュウラが一瞬絶句し、そして呻いた。

「この、反応‥‥黄金級機(ゴールドクラス)!? 大隊長なの‥‥?」


 その情報は各メンバーにも当然伝わる。

 彼らの間に緊張と、そして戦慄が走った。


 黄金級機(ゴールドクラス)の反応は、()()あったのだ‥‥!

設定解説


・今乗っている機体のデータを流用し、白銀級機が二機、並行して造られているのだ


データを流用するので改造段階も持ちこされる。

まぁこの時点で性能解析するとして、どの強化部分が後付けで元の性能はどんな物か、といちいち逆算していたら手間が増えるばかりだ。

よって「とにかく今の状態を基に、上乗せする形で新機体を造ろう」となるのである。

こう書いてみたが、実際にどういじって何を組み立てているのか、自分自身でもちょっと想像し難い。

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