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異世界スペースNo1(ランクB)(EX)(完結編)  作者: マッサン
第三次 疾風怒濤編
233/353

11 脅威 3

登場人物の簡易紹介(誰かわからない奴がいた時だけ見てください)


ジン:地球から召喚され、この世界で改造人間にされた男。

ナイナイ:異世界からこの世界に召喚され、ジンと同じ改造を受けた少年にして少女。

ダインスケン:異世界からこの世界に召喚され、ジンと同じ改造を受けた爬虫人類。

リリマナ:ジンに同乗する妖精。

ヴァルキュリナ:ジン達を拾った女正騎士。竜艦Cガストニアの艦長。

クロカ:女ドワーフの技術者。Cガストニア所属。

ゴブオ:ジンについてきたゴブリン。

アル:冒険者の少年戦士。

パーシー:スイデン国所属の少年騎士。

コーラル:スイデン国所属の青年騎士。


レイシェル:クイン公爵家の令嬢にして魔法戦士。

ノブ:地上最強の霊能者。

ジルコニア:ノブに同乗する妖精。

ドリルライガー:ドリル戦車に宿ったエネルギー生命体。合体形態・ザウルライガー。

リュウラ:クラゲ艦・Cウォーオーの艦長を勤める魔法戦士の少女。

エリカ:オーガーハーフエルフの整備士兼副艦長。

オウキ:元魔王軍空戦大隊の親衛隊。核戦争で荒廃した世界から来た拳法家。

 CガストニアとCウォーオー。二隻の軍艦は国境側の村を発った。

 それを村外れで見送るのは――少年戦士アルと旅の少女魔術師アリス。


「そうですか。あの人達はノーセ国へ」

「ああ‥‥」

 アリスの確認に、アルは気の抜けた声で応える。

「貴方は行かないの?」

「俺は‥‥破門されちゃってさ」

 再度の問いに、アルは遠い目で‥‥しかし拳を握りしめてそう答え、そして経緯を話し出した。



――それは会議が終わってすぐの事だ――



 ガストニアの廊下で、アルはジンに話した。

 パーティメンバーに去られた事を。

「それで俺、どうすればいいかわかんなくて‥‥」


 ジンは即答した。

「艦を降りろ。仲間に謝って許してもらえ。達者でな」


「し、師匠!?」

 目を丸くするアル。

 予想しなかった答えでは無い。だがこうも即座に叩きつけられるとは?

「なによ、ジンが弟子入りを許可したんでしょ」

 リリマナも頭上から抗議する。


 だがジンは突っぱねた。

「腕を磨くため、修業したいというから、その役に立つなら‥‥と思っての話だ。だから一緒にトレーニングもしたし、ケイオス・ウォリアーのシミュレーターもやったし、俺なりにここまで覚えた戦闘技術の事も教えた」

 厳しい目をアルへ向ける。

「だが冒険者としてやっていく邪魔になっちまったんなら話は別だ。破門するから急いで仲間と仲直りしてこい」


「師‥‥匠‥‥」

 アルの口からか細い声が漏れる。

 だがジンは首を横に振った。

「ナイナイとダインスケンがいたから俺は今生きている。拾ってくれたのはこの艦の連中だ。その俺が、一緒にやってきた仲間を捨てて来い‥‥と、言うわけが無ぇだろう。世の中には独りでどこまでも無敵で最強の奴だっているんだろうが――」

 ジンはアルの目を真っすぐに見つめる。

「それは俺じゃねぇ。俺はそんな物を目指す事も無いし、人にそんな物になれとも言わねぇ」


 そして、背を向けて、去って行った。

 ナイナイが狼狽(うろた)え、ダインスケンが「ゲッゲー」と鳴く中、アルをもう一瞥もせずに。



――そしてアルはここまでの報酬を貰い、艦を降りた――



「じゃあ友達のパーティへ戻るんですね」

 アリスが訊くと、アルは自虐的な笑みを浮かべて足元を見下ろす。

「カッコ悪いよな」


 実はパーティメンバーは一足先——会議が始まる前——に降りて、既に村を去っている。

 合流するなら急いで追うべきではあるのだ。

 だが、アルは躊躇いと未練の狭間で、まだ村を出る事ができなかった。


 そんなアルを、しばらくアリスは眺めていた。

 だがなにやら考えた後、覗き込むように、そして囁くように言う。

「中古でいいなら、一台、ケイオス・ウォリアーのアテがありますよ」

「え!?」

 アルは顔を上げた。



――並んで進む、二隻の軍艦。その片方、ガストニアの中で――



 格納庫で、騎士コーラルが渋い顔をしていた。

「しかしな‥‥我が国の黄金級機(ゴールドクラス)をノーセ国に造らせようとは‥‥」

「工業技術じゃ中堅国家随一なんだろ。ならまぁ力を借りようや。あの子がお姫様だったとは驚きだが、黄金の横取りみたいな事は企んでねぇだろ」

 ジンは自機を見上げながらそう言う。


 ノーセ公国。

 六中国でも領土は最小だが、工業力は頭一つ抜けており、生産力こそ三大国には劣るものの、一品物の質では互角以上とも評価されている。

 そこを統治するのはファンデム伯爵家——リュウラの実家だ。


 設計図と神蒼玉(ゴッドサファイア)の両方が有ると判明すると、リュウラは「もし良ければだけど」と、実家に協力させる事を提案した。

 スイデン国より技術力が高い事、首都より近い事などもあり、多少の審議の後、その提案に乗る事となったのである。

 

 リリマナがすいっとクロカの頭上に飛んだ。

「クロカの故郷でもあるんだよね? リュウラの事は知らなかったの?」

 そう、クロカの生まれた国でもある。だがクロカは困った顔で頭を掻いた。

「領主ならともかく、娘はな‥‥外国へ留学してたそうだし。それにあたしは何年も前にホウツへ引っ越したから」


 ヴァルキュリナの故郷でもある、スイデン国フォースカー子爵領都市ホウツ。この都市はノーセ公国と友好関係にあって久しい。人や物の行き来も多く、同スイデン国の他の都市よりも親しいほどなのだ。

 両貴族家が、前の魔王軍と共に戦ったが故に。



 だがコーラルは渋い顔のままだ。

 その横で、少年騎士パーシーも浮かない顔をしている。

「それにしたって、他所の国の人がスイデンの機密品を持って来ていたなんて‥‥」

 彼は格納庫に運び込まれた、小さな箱を横目に見た。


 それには黄金級機(ゴールドクラス)の設計図と神蒼玉(ゴッドサファイア)が入っている。

 ジン達が命がけで得た、今スイデン国が所持している最重要機密が。

 村を出発する前にノブが持ってきたのである。


 彼らがこれほどの貴重品を、正規の騎士であるコーラルとパーシーを差し置いて預かっていた。

 これが二人にとって面白くないのは当然の事だ。


 そんな二人にナイナイが言う。

「でも、レイシェルさんはスイデンの騎士なんでしょ? 彼女があっちの艦のリーダーみたいだし‥‥」

 だから気にするな、と言うわけである。


 だが実のところ、黄金級機(ゴールドクラス)の設計図と神蒼玉(ゴッドサファイア)を運んでいる事は、レイシェルでさえ知らなかった。

 ノブが「本来の持ち主に会うなら持って行けばいいだろう」と、一人で王に打診したのが通っていたのである。


 そういう経緯を聞いた事もあり、パーシーの心は沈んでいた。

 黄金級機(ゴールドクラス)に匹敵する敵を倒した艦に預けるなら、首都の宝物庫に入れておくより安全。王はそう判断したのだろう。

 頭ではそれが理解はできるが――肩を落として呟く。 

「僕らじゃ実力が不足してたんですね‥‥」

 事実、その通りだ。

 同じ事をパーシーが申し出ても、預けてもらえるわけがない。


 ゴブオが酒の徳利を片手に上機嫌で品無く笑う。

「当然だろうが。アニキ達とは神とムシケラの差があるってわかれよ。つかオメーラ、なんでまだついて来てんだ。もう仕事終わったんだろうが? ならアルと一緒に降りろよな。ケツまくって帰れ帰れ、用済みのザコがよオ!」

 他人をこき下ろせる時は、こいつにとって幸福そのものなのだ。


「このゴブリン、斬っていいか」

 そうジンに訊きながら、コーラルは既に剣を抜いている。

「あ、アニキ!」

 ゴブオが転がるようにジンの後ろに隠れた。

「‥‥一応、止めとくか」

 げんなりしたツラでジンは呟いた。


 そんな騒ぎにリリマナが窓の側から声をかける。

「ねぇねぇ、街が見えたよ!」



――山間部の城塞都市ノーセ。そこに二隻の艦は入る――



 街を見下ろす城にドックがあり、二隻はそこに案内された。


「おお、おお、リュウラ!」

 ファンデム伯爵はそこで自ら娘達を出迎えた。

 かつて自ら魔王軍と戦った戦士だという領主は、背丈こそさほどでも無いが、齢五十を迎えようという今でも服の上からわかるほど屈強である。

 だが彼のがっしりした髭面は、娘を前に喜色満面であった。

「お久しぶりです、お父様」

 そんな父を前に、リュウラは澄ましたものである。


「ご無沙汰しております、おじさま」

 ヴァルキュリナも伯爵に挨拶する。

「おお、ヴァルキュリナ嬢ちゃん! 大きくなったのう」

 伯爵は旧友の娘を前に、ますます上機嫌だ。

 彼は頭を巡らせ――


「クロカ嬢ちゃんは私に挨拶してくれんのか?」

 クロカにそう訊いた。

「え? あ? いや、へへへ‥‥」

 きょどりながら愛想笑いに必死なクロカ。


「ほう‥‥意外と地位のある出か」

 感心したようなオウキ。

 ジンも意外そうに、だがついさっき聞いた事を話す。

「あれで名門職人一族の分家筋らしい」

「だからあの腕前なんだね」

 ナイナイは合点がいったようだった。


「さて、皆さまにこちらからも一人紹介するかの」

 そう言うと伯爵は悪戯っぽく笑う。

 そしてドックに入ってきたのは――


 ヴァルキュリナが驚いて叫んだ。

「父上!?」

設定解説


・王に打診したのが通っていたのである


ラノベにおける有能な王(NPC)とは主人公に全部投げするヤツ。

ネットで得た情報である。

自分でやってみて思った感想は、これがありがたいのは主人公よりもラクチンな作者になんじゃねーのか‥‥だ。

まぁリアリティがあって有能な王様の描写を考えるのに時間をさくなら美少女を一人増やしとけ、という話なら

作成の技法として理解できなくもない。

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