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異世界スペースNo1(ランクB)(EX)(完結編)  作者: マッサン
第三次 疾風怒濤編
232/353

10 脅威 2

登場人物の簡易紹介(誰かわからない奴がいた時だけ見てください)


ジン:地球から召喚され、この世界で改造人間にされた男。

ナイナイ:異世界からこの世界に召喚され、ジンと同じ改造を受けた少年にして少女。

ダインスケン:異世界からこの世界に召喚され、ジンと同じ改造を受けた爬虫人類。

リリマナ:ジンに同乗する妖精。

ヴァルキュリナ:ジン達を拾った女正騎士。竜艦Cガストニアの艦長。

クロカ:女ドワーフの技術者。Cガストニア所属。

ゴブオ:ジンについてきたゴブリン。

アル:冒険者の少年戦士。

パーシー:スイデン国所属の少年騎士。

コーラル:スイデン国所属の青年騎士。


レイシェル:クイン公爵家の令嬢にして魔法戦士。

ノブ:地上最強の霊能者。

ジルコニア:ノブに同乗する妖精。

ドリルライガー:ドリル戦車に宿ったエネルギー生命体。合体形態・ザウルライガー。

リュウラ:クラゲ艦・Cウォーオーの艦長を勤める魔法戦士の少女。

エリカ:オーガーハーフエルフの整備士兼副艦長。

オウキ:元魔王軍空戦大隊の親衛隊。核戦争で荒廃した世界から来た拳法家。

「そうか! ついに黄金級機(ゴールドクラス)を造るのか!」

 喜ぶ騎士コーラル。

 彼にしてみれば首都から出向いた甲斐があったという物だろう。


 Cガストニアの一室に主だった者達が集められての、今後の方針を話す会議。

 そこでジンは、鬼甲戦隊(きこうせんたい)黄金級機(ゴールドクラス)を受け取ると発表した。


「ああ。今の状況と俺らの実力で好き嫌いを言うのは我儘だ。俺が間違っていた事は素直に認めるからよ」

 ジンが言うと、コーラルは笑みを浮かべながらも称賛の眼差しを向ける。

「いや、やはり貴公は勇者の名に相応しい男だ。そうと決まれば首都へ戻ろう」

 だが上機嫌の彼を向こうに、リリマナが首を傾げた。

「また結婚責めにあうんじゃないのォ?」

「どういう事だ?」

 ジン達の事情を知らないオーガーハーフエルフのエリカが訊いてくる。



――Cオーウォーの面々と二人の騎士に、ジンは海戦大隊隊長を討った後の事を伝えた――。



「ギャハハハハ! 結婚式には呼んでくれよ!」

 何がおかしいのか、ジルコニアが宙で腹を抱えて笑う。

 そんな彼女にジト目を向けるナイナイとヴァルキュリナ。ジルコニアを引っ込めようと慌てて手を伸ばすレイシェル。


 だがジンは事もなげに言う。

「ああ。この場にいる奴らぐらいはな」

「「「え!?」」」

 ごくあっさり出された返答に、その場の者達は大半が目を丸くした。

 さっきの説明だと、腹に一物ある結婚話が連日出るのが嫌で首都を出たような話だったのだが‥‥。


 しかし今のジンに迷いは無い。

「スイデンの資本で造ってもらう以上、その分の譲歩は要るだろう。黄金級機(ゴールドクラス)の操縦者を家系に抱えたい貴族家があり、そこに入る事で今後の戦いに益があるなら、前向きに検討するべきなんじゃねぇか?」

「そんな!? ジン‥‥」

 茫然と、どこか悲し気に呟くナイナイ。

 だがジンは静かに、だがはっきりと言った。

「勝つために必要な事はやる。それは変わってないからよ」


 会議の場が静まる。

「貴公は‥‥そこまで‥‥」

 コーラルは胸を打たれていた。感動さえしているようだった。

「これで敵なしだぜえ! アニキ最強! アニキ最強! 最強アニキのロボ!」

 ゴブオだけは浮かれて喚いていた。


 そんな中、ノブがジンに訊ねる。

「しかし、異界流(ケイオス)レベルの問題はどうする? そこは解決していないが」

 ジンはこれにもあっさり答えた。

「ああ。解決はしねぇ。そのまま乗る」


「え?」

 その場の一同——ゴブオまで含めて――が硬直する。


 話を続けるジン。

「今の俺らはケイオス技能レベル7までは上がっている。なら通常武器での戦闘はできる筈だろ」

「通常武器しか使わないのか!?」

 驚くエリカ。

 ジンの目が鋭くなる。

「そうだ。強力な武器が必要な時は、三機での合体技で畳みかける。そもそも‥‥俺達はそうして生き延びて来た。足りない物ばかりの中で、自分達が出せる物を出して切り抜けた。俺達の旅と戦いは、そこから始まったんだ」


「そう‥‥だった‥‥」

 ヴァルキュリナが呟いた。

 クロカはがっくりと肩を落とす。

「あたしの全力で造ったカブト‥‥もうお役御免かぁ‥‥」

「他の人が乗ればいいじゃん?」

 リリマナはそう言うが、戦い方には適正という物がある。

 遠近ともに強力な武器を持ち、重装甲で高耐久——その特性を完全に活かす事ができる操縦者は、鬼甲戦隊(きこうせんたい)にはジンだけだ。


 というわけで。


 ジンは「は?」と呟いた。

「何言ってる。あんな有能機体から降りるわけねぇだろ。黄金級機(ゴールドクラス)に乗るのはダインスケンだぞ」



「「「「!?!?!?」」」」

 一同びっくり。

「?」

 ダインスケンの頭にも疑問符が浮かぶ。


 物凄く当たり前みたいに話を続けるジン。

「BCクローリザードは合体技以外、通常武器しか使ってねぇだろ。それしか無いんだからな。だからダインスケンが乗り換えれば、機体性能が上がるぶん単純にパワーアップだ」


 乗り換えるのがジンだなどと、最初からジン本人は一度も言っていなかった。


「え? え? だって隊長はジンで‥‥それに結婚がどうとかは‥‥」

 混乱しつつ訊くヴァルキュリナ。

「俺が鬼甲戦隊(きこうせんたい)の隊長なのは俺が言い出して成り行きでそのままになってるだけだ。ダイスケンが交代しても誰も困らねぇ」

 キリッとした表情で答えるジン。そう言ってポケットから何か取り出した。


 腕章だ。

 紙で作ったお手製で「隊長」と書いてある。

 ジンが会議前に数分でこしらえた物なのは明白である。


 腕章をダインスケンの腕につけるジン。

「頑張れよ、新隊長」

「?」

 ダインスケンの頭の上には疑問符が浮いていた。

 一応、断ったりはしなかった。


「結婚話も、黄金級機(ゴールドクラス)で隊長サマなら来る時は来るだろう‥‥ダインスケンにな。来ないならそれで別にいいからよ。そもそももう俺に来る話じゃなくなったから俺が考える必要はねぇな。はい無くなったー」

 ジン、両手をあげて万歳。

 顔をしかめるノブ。

「覚悟があるみたいな言い方は何だったんだ‥‥」


 コーラルは会議机の上に突っ伏していた。

 その頭上でジルコニアが声をかける。

「おーい騎士様、生きてるかー?」

 返事は無かった。


「と、とにかく、神蒼玉(ゴッドサファイア)と設計図が必要ですね。首都へ戻りましょう」

 無理矢理気を取り直して少年騎士のパーシーが話を進めようとする。

 客観的に考えれば、彼とコーラルの目的は達成されるわけだ。鬼甲戦隊(きこうせんたい)黄金級機(ゴールドクラス)を得てスイデン国を守るため戦ってくれるのならば。


 しかし横から口を挟むノブ。

「両方、Cオーウォーにあるが」


「「「「「え!?」」」」」

 一同、呆気にとられて彼の方を見た。ジン含む。


 もう一度説明しなおすノブ。

鬼甲戦隊(きこうせんたい)が獲った設計図と神蒼玉(ゴッドサファイア)だろう? 両方、僕らが持ってきた」

設定解説


・会議前に数分でこしたらえた物


つまりジン本人も「お前が乗るんじゃねーのか」というツッコミは予想できていたという事だ。

「よく考えたらなんでそんな前提になってんだ」という事に気づいたので、分かり易いように準備したのである。


なお【隊長腕章】は強化パーツでもあり、援護攻撃/援護防御を行った時、上がる戦意が1増える。

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