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異世界スペースNo1(ランクB)(EX)(完結編)  作者: マッサン
第2次 烈風復活編
221/353

112 陰陽 6

登場人物の簡易紹介(誰かわからない奴がいた時だけ見てください)


レイシェル:クイン公爵家の令嬢にして魔法戦士。

ノブ:地上最強の霊能者。

ジルコニア:ノブに同乗する妖精。

ドリルライガー:ドリル戦車に宿ったエネルギー生命体。合体形態・ザウルライガー。

オウキ:元魔王軍空戦大隊の親衛隊。核戦争で荒廃した世界から来た拳法家。

エリカ:オーガーハーフエルフの女整備士兼副艦長。

シランガナー:人造人間型強化パーツ・ファティマンの一体。

リュウラ:クラゲ艦・Cウォーオーの艦長を勤める魔法戦士の少女。

新GEッターロボ:屈強で強い主人公が化け物どもをブチ殺しまくる安定と安心に満ちた良作。

 Eムーンシャドゥが身構えた。

 再び駆け出すために。

 決着の攻撃を放つために。

「リュウラや貴方の言葉をこちらで訂正させてもらう。僕はこの決戦において、()()で貴方を倒そうなどと初めから一切考えていない‥‥!」


 最大の敵の元へ来るのに仲間の力を借りた。

 仲間達には今も敵が率いてきた魔物と戦ってもらっている。

 そして敵と戦うための装備も、仲間や先人のおかげで手に入れた物だ。


 何より己を見失いそうな時に、光明となった少女。

 己の光であり、太陽――。


「太陽は‥‥愛に勇気を与えてくれる」

 自分の未来を掴むため、今も戦っているその女性(ひと)の事をノブは想う。


「けれど僕に愛なんて上等な物は無い。それで人を救ってやれる程には無い。むしろ僕が救われる側だ」

 それが、己は夜の月なのだと思わせる。


「勇気だって別に無い。自らの意思と闘志でここまでの道を選んだわけじゃない」

 それが、己は輝かしい道の脇にある影にいると思わせる。


「だが、僕が月であろうと、影であろうと、日輪の輝きに及ばなかろうと‥‥今、先人からの受け売りに(すが)ろう」

 昔読んだ英雄譚の中の、英雄(ヒーロー)ではない男の言葉だったはず。


「それでも、魂くらいは。僕の、この体に宿る、精神(こころ)くらいは‥‥!」


 ノブのその言葉に応じて、Eムーンシャドゥの纏う光のオーロラにまた輝きが宿った。

 先ほどまでの緑の輝きではない。

 揺らめく炎のような青い輝きである。


 もう少しだけ力量(レベル)が足りない筈の、ノブの最後のスピリットコマンドが、先人の残した装備品で僅かに助けられ、解き放たれた。



ソウル()】 次の一撃の与ダメージを2.2倍にする。



 ムーンシャドゥが走る――そして跳ぶ。

 宙で、両足での蹴りを放った!


『新しい夜明けへと続く道は儂が行く! 貴様のショーはここで幕だ‥‥絶望でな!』

 吠える魔人ジェイド。

『ニュークリブラスト『ニュークリブラスト『ニュークリブラスト『ニュークリブラスト『ニュークリブラスト』

 核撃の魔力が五つ灯り、ディケイウィザードが最大の拳で迎え撃つ!


 全てを砕き、最後の一撃が打ち込まれた。


 モニターに26000を超えるダメージが表示された。

 HPの表示は真っ赤に染まり、0を差す。



 各時代の最強機、神話の時代からの伝説の機体、黄金級機(ゴールドクラス)

 瞬間的には光速の攻防を可能とし、不死身の再生能力と回復能力を有し、天を裂き大地を砕く破壊力をも発揮する。有象無象の数任せでは百を、千を、万を以てしても打倒は不可能な、神の力を宿す器。


 その力を宿し匹敵する魔神を、その速さと威力と存在の全てを、実に単純(シンプル)な一撃が砕き、貫いた。


 愛も足りず勇気も無いが、それでも己の太陽と共にありたいと想う、たった一つの魂。

 そこに仰々しい不純物は要らないのだ。



 着地したムーンシャドゥ。

 ディケイウィザードは吹き飛ばされ、地に倒れる。破壊の魔力を五重に宿した拳は砕けて失せ、全身から火花が散っていた。

 それでも足掻き、よろめき、ふらふらと立ち上がるが――


『これで、良い筈がない。儂がこの程度の儂で良い筈がない。そんな筈がありはしないのだ‥‥!』

 操縦席で無念と怨念の籠る声を絞りだす魔人ジェイド。

 その体も、あちこちから火花が吹いていた。

 体内を巡る魔力の奔流を、もはや抑えられぬほど弱っている。

 致命傷だ――。


「我が兄弟子よ。貴方は歪んだ人だ。志は高かったのに、その手段のために道を踏み外した」

 通信機ごしに伝えるノブ。

「だが、最期の最後まで決して諦める事の無かった、その不屈と‥‥己の能力が足りない事を認め、他者のせいに一切しなかったこと。その二つに関してだけは、貴方に敬意を払いたい」


 それを聞きながらディケイウィザードは膝をつく。


「それは、独りで成せる事が何一つ無い僕には、到底できない事だろうからだ」

 兄弟子へ送る、ノブからの敬意の言葉。

 それを聞いた魔人ジェイドは何を思っただろうか。

 だが何を思おうと、もはや体は限界であり‥‥朽ちた魔術師の機体は倒れた。


 轟音とともに火柱があがる。

 黄金級機(ゴールドクラス)に匹敵する魔人の機体は燃え上がり、消滅した。


 魔人の最期を見つめながら、ノブは呟く。

「兄弟子ワーグラ。貴方は望んだ方向ではないにしろ、やはり偉大だった。この時代の強大な敵軍の一角を打ち破る物を、貴方が一つ残したのだから」

 その指にあるのは、兄弟子が作成法を開発したアイテム‥‥。



 魔人ジェイドが倒れた直後から、連鎖的にメタルアントライオンどもが痙攣し、糸が切れたように倒れる。

 操縦する不死の兵士が、存在を維持する魔力を断たれ、屍に戻ったからだ。

 レイシェル達が「え‥‥?」と戸惑う前で、改造怪獣の群れも全滅した。


 戸惑うSエストックナイトへ振り返るノブ。

「客観的には間違っているが、それでもあえて何度でも言おう」

 脳裏に想い人の姿を浮かべながら、通信機に届かない程度の小さな声で呟く。

 その女性(ひと)が共にある限り――

「僕は地上最強の霊能者(サイオニック)だ」

設定解説


・Eムーンシャドゥ

(最終ステータス。機体は全ステータス10段階改造)

HP:8500 EN:300 装甲:2500 運動:160 照準:205

強化パーツスロット4

格 エルボートリガー 攻撃5000 射程P1―2 必要戦意― 消費20

射 サイコビーム   攻撃5200 射程1―6  必要戦意110 消費30

格 レッグトリガー  攻撃5700 射程P1―2 必要戦意120 消費40

格 魔王剣      攻撃6200 射程P1―2 必要戦意130 消費60

格 王者の石の閃光  攻撃7200 射程P1―2 必要戦意140 消費80

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