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異世界スペースNo1(ランクB)(EX)(完結編)  作者: マッサン
第2次 烈風復活編
220/353

111 陰陽 5

登場人物の簡易紹介(誰かわからない奴がいた時だけ見てください)


レイシェル:クイン公爵家の令嬢にして魔法戦士。

ノブ:地上最強の霊能者。

ジルコニア:ノブに同乗する妖精。

ドリルライガー:ドリル戦車に宿ったエネルギー生命体。合体形態・ザウルライガー。

オウキ:元魔王軍空戦大隊の親衛隊。核戦争で荒廃した世界から来た拳法家。

エリカ:オーガーハーフエルフの女整備士兼副艦長。

シランガナー:人造人間型強化パーツ・ファティマンの一体。

リュウラ:クラゲ艦・Cウォーオーの艦長を勤める魔法戦士の少女。

真GEッターロボ:屈強で強い主人公が化け物どもをブチ殺しまくる安定と安心に満ちた良作。

 光と爆発が激突した――!


 光のオーロラを纏いながらの、Eムーンシャドゥの跳び込みながらのパンチと。

 五つの指輪に核撃の魔力を篭めたUディケイウィザードのストレートが。

 ぶつかりあい、閃光と衝撃を巻き起こしたのだ――!


 それは少し離れた所で戦っている、レイシェル達とメタルアントライオンどもさえ揺さぶり、一瞬戦いを止めてしまう程であった。


 衝撃が収まった時‥‥2機のケイオス・ウォリアーはまだ健在であった。

 だが互いに膝をついている。

 激突の威力ゆえか、間合いは再び離れていた。

 互いに損傷は受けている。



 ウィザードが立ち上がった。

『凄まじい威力だ。だが強化パーツで一瞬だけ爆発力を生み出したもの。そのパーツは連続使用できない物であろう?』

 魔神ジェイドの声は嗤っていた。

 彼とて究極のアイテム作成法を編み出さんとしている男である。強化パーツ【ブレイブドライバー】の効果を知っていた。

 そして彼の指摘どおり、一度使うと戦闘が終わってから魔力をチャージしなければならない、再利用可能ではあるが消耗品なのである。

『手詰まりだな、ノブ!』

 先ほどの威力はもう出ないと踏み、ジェイドは悠然と機体を前進させた。


 だがしかし。

「ブレイブドライバー!」

 ノブは叫んだ。

 シャドゥが纏う光のオーロラに、再び勇気を宿した緑色の輝きが混ざる。

 そしてシャドゥは力強く立ち上がった。


『何ィ!?』

 驚愕する魔神ジェイド。

 だが信じられまいと疑おうと、シャドゥは再び走ってくる。

 そして跳んだ。今度は宙で高々と腕を掲げ、そして手刀を振り下ろす!


 咄嗟にジェイドは魔力を篭め、そして繰り出した。

 ウィザードの拳にまたも核撃の魔力が宿り、そして繰り出す。

 最大の筈の必殺拳を瞬時に準備して打てるほどに、ウィザードの性能も高められているのだ。


 激突と爆発が再び起こった――!


 それが収まった時、2機は再び膝をついていた。

 より損傷を深くして。


『な‥‥なんで2回もあのアイテムが使えるんだ!?』

 恐るべき激突を目の当たりにし、アントライオンどもと戦いながらも【ブレイブドライバー】の本来の持ち主・オーガーハーフエルフのエリカが思わず疑問を口にする。

 だがそれに、ノブから通信が返された。

「ありがとう、エリカ。君が持っていた物と、()()()()()()()()()()新たな物。今ムーンシャドゥには二つの勇気の石が装備されている」


 2回使えたのは2個持っていたからだった。


 ノブとてアイテムの作成術を大賢者トカマァクの下で学んでいる身である。また大賢者の住居には参考となる書物や記録も豊富にある。

 実物が有れば、解析して新たに造る事も不可能では無い。容易ではないが、できるのだ。


『ステータスがいくらか上がっても、黄金級機(ゴールドクラス)を一機では倒しきれないから‥‥だから瞬間の爆発力を上げる物を複数装備したんだ‥‥』

 リュウラが納得して呟いた。

 今回のノブが完全に、強敵1機を仕留める事を念頭に置いた装備で固めていた事を悟って。


 まさかの劣勢に追い込まれつつあるウィザード。

 しかし機体を立ち上がらせながら、操縦席で魔神ジェイドは吠える。

『だが、な‥‥こちらには再生能力がある! 常に完全なパワーを出し続ける事ができる! たった一機の、瞬間の力だけで、押し切れるかぁ!?』

 吠えてまたもや五重核撃の拳を振り上げた。

 敵が体勢を整える間の、その間隙を突こうと。


 だがノブは叫んだ。

「魔王剣!」

 シャドゥが真紅の剣を引き抜き、打ちかかるウィザードに刃を振るう!


 剣と拳の激突。

 だが今度のぶつかり合いはウィザードに軍配が上がった!

 シャドゥは装甲片を撒き散らしながら激しく吹き飛ばされる。


 しかし、地面に叩きつけられる直前、大地を踏みしめて体勢を立て直した。

 傷つきながらも、よろめきながらも、かろうじて、ギリギリの所で。


 そして剣の一撃は、ウィザードの胸に浅くは無い切り傷を刻んでいた。

『ぐ、むう‥‥』

 唸る魔神ジェイド。

 そして追い込まれながらも落ち着いて言うノブ。 

「瞬間だけではない。フルパワーの合間にも、できうる限りの武器で反撃は続ける。そちらの再生能力を打ち破るために」


 確かに、魔王剣の斬撃は回復能力と帳消しになる程度のダメージである。

 だがノブが有効打を放てる回数には限りがある。決して余裕の無い限りが。

 その手札で勝つため、勝利を繋ぎとめるため、あえて劣勢でも攻撃の手を緩めなかったのだ。


『しかしまずいぞ、もうギリだ。これ以上は食らえない』

 モニターでシャドウの状態を見ながら呟くジルコニア。

 まともに食らった先ほどの一発で最大HPの6割を超えるダメージを受けた。その上、ブレイブドライバーのパワーで軽減しながらも受け続けたダメージもある。

 ムーンシャドゥの、限界まで強化された機体のHPは8500‥‥だが残りHPは既に2000も無い。


 そして大半のHPを失ったウィザードから、魔人ジェイドの声が届いた。

『【ブレイブドライバー】はまだ有るのか? レアアイテムは、制作方法がわかっても素材や期間の問題がある。あれが二つも三つも新造できるとは考え難いが?』


 ジェイドの言う通り。希少なレアアイテムとはそうそういくつも製造できる物ではない。魔法という要素も絡む以上、呪術的な素材も必要になるし、物によっては場所の地脈や星の位置などが絡む物さえある。ある程度以上高度な物は、作成自体に条件が存在するのだ。

【ブレイブドライバー】の作成法は今や大賢者トカマァクの一門に渡った。だがいくつも造る事ができるかどうかとなると、話が違う。


「そうだな」

 と、ノブは認めた。しかし‥‥

「だが肝心なのは大威力を叩きだすこと。他の手段でクリアーできれば問題は無い」


 眼を見開く魔人ジェイド。

『あれと同等以上の物があると!?』


 だがそれに対しては「いや」と否定するノブ。

「物自体の価値という点では格下だろう。制作方法を確立した人でさえ、一時的にしか使っていなかったという。だが道具というのは必要な時に適切な使い方で役立つ事が何よりも肝心だ」

 その言葉は、また別の切り札がある事を示してもいた。

「我が一門、僕の兄弟子が制作方法を残した物も、また然り」


 その言葉を受け、ノブの肩で拳を握るジルコニア。

「よーし、やってやれノブ。お前の最後のスピリットコマンドで」

 ノブは頷いた。

「ああ。今の僕のレベルでは足りない、()()()()だ」


『まさか‥‥あのアイテムなのか‥‥』

 魔神ジェイドの声が動揺で上ずる。

 元同門である。彼にはノブが何を用意したか、心当たりがあった。

 本人もそのアイテムをよく知っていた。


 ノブは「そうだ」と肯定する。

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()装備品。全てのコマンドを習得してしまえば用の無い、次の習得コマンドによっては大した意味の無い、極めて限られた効果の物だ」

 ノブの指には、最後の出発前に身に着けた指輪が輝いている。

「だが状態次第で大きな助けとなる、有益で立派な物だ」


 ムーンシャドゥが身構えた。

 再び駆け出すために。

 決着の攻撃を放つために。

「リュウラや貴方の言葉をこちらで訂正させてもらう。僕はこの決戦において、()()で貴方を倒そうなどと初めから一切考えていない‥‥!」

設定解説


・ライズドボトム


大賢者トカマァク一門で作成法が開発された魔法の指輪。

装備した者が次に習得するスピリットコマンドを使用可能にする。

効果は重複しないので、低レベルの者が4つ装備したからといって未習得コマンドが4つ使えるようになったりはしない。

「レベル80まで上がれば奇跡的な強力コマンドを習得できるのに!」という者が最後のコマンド以外を見につけた時点で装備すると劇的な効果がある。

まぁ今時そんな奴はいないが。

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