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異世界スペースNo1(ランクB)(EX)(完結編)  作者: マッサン
第2次 烈風復活編
216/353

107 陰陽 1

登場人物の簡易紹介(誰かわからない奴がいた時だけ見てください)


レイシェル:クイン公爵家の令嬢にして魔法戦士。

ノブ:地上最強の霊能者。

ジルコニア:ノブに同乗する妖精。

ドリルライガー:ドリル戦車に宿ったエネルギー生命体。合体形態・ザウルライガー。

オウキ:元魔王軍空戦大隊の親衛隊。核戦争で荒廃した世界から来た拳法家。

エリカ:オーガーハーフエルフの女整備士兼副艦長。

シランガナー:人造人間型強化パーツ・ファティマンの一体。

リュウラ:クラゲ艦・Cウォーオーの艦長を勤める魔法戦士の少女。

GUンダムW:ロボットと雰囲気が格好良ければだいたいの事は押し通せるという事がわかる良作。

 最後の出発が近づいていた。

 格納庫に並ぶ一行の機体。

 それを見上げ、オーガーハーフエルフのエリカが晴れ晴れとした顔を見せた。

「うひゃー、ついに全機フル改造できたな!」


 チューンナップできる限界までの強化――フル改造。

 これまでの戦いで得た資金・資材と、ノブが受け取っていた一門の資金「周回ボーナス」。それらを費やし、ついに味方全機を徹底強化する事ができたのだ。


 格納庫には一行の全員が集まっている。

 ノブは操縦者達に、魔力の籠った半透明の板を配った。

「アイテムとスキルもできるだけ作成しておいた。では各自、プランに従って装備と取得を頼む」

『これで怖い物なしです。自信をもって首都へ向かいましょう!』

 戦車形態で力強く言うドリルライガー。彼は自分の中に漲る、未だかつて無かったパワーに元気づけられていた。


 各自、半透明の板――スキル本からスキルを習得する。

 そうしながら、レイシェルはノブが新たに身に着けた指輪の具合を再確認している事に気づいた。

「それも強化パーツですの?」

「ああ。我が一門の先人が制作方法を編み出した物の一つだ。兄弟子ワーグラとの戦いの切り札になりえる」

 レイシェルの問いに答えるノブ。

 やはり何らかの魔法のアイテムらしい。


 そこへ二人の間に割って入るようにして、リュウラがノブに訊く。

「それも消耗品? 機体性能を上げる物を一つも装備してないみたいだけど」

 そう、Eムーンシャドゥには装甲や運動性といった性能を補強するタイプの強化パーツは一つも装着されていないのだ。

 さて、そんなノブの返答は――

「いや。これは操縦者の能力を一時的に上げるタイプのものだ。機体性能は‥‥多少上げても、兄弟子の機体には追い付けないからな」

 それを聞いて考えるレイシェル。

「あちらの機体は事実上、神蒼玉(ゴッドサファイア)を搭載してますものね。私たちはそれを打ち破らなければいけませんけど‥‥」


 だがノブは、静かに、しかしはっきりと言う。

「破るさ。難しい事はわかっている。だができないとは思っていない」


 その言葉に、ドリルライガーから力強い声が飛ぶ。

『ええ、できますとも。皆の力と勇気をもってすれば!』

「へへ、なんかドキドキするな。こんな時に変かもだけどさ」

 エリカも気分が高揚しているようだ。

 そのすぐ後ろで腕組みしながら、オウキは「フッ」と笑っていた。

「まぁできねば死ぬだけだからな」

 周囲のモヒカンエルフ達も「やるぜぇ!」「やってやるぜぇ!」「ヒャッハー!」と威勢のいい声をあげていた。


「みんな‥‥」

 臆する者が一人もいない事に、軽く感激さえ覚えるレイシェル。


 元はと言えば、彼女が没落寸前の実家を建て直すために始めた旅だ。

 一行のほとんどは善意の協力者であり、今すぐレイシェルと袂を別っても批難する事などできない。敵の強大さを考えればなおの事だ。

 だがこの場の者は全員、この後の戦いに参加する気である。そんな義務や義理など無いというのに。


(ああ‥‥私、次の戦いにも勝ちたい。勝って生き残って、皆に何かの形で報いたい。こんなにも「生きたい」と思った事、今までありませんでしたわ)

 そんな思いでレイシェルはノブへと視線を移した。

 一番最初に彼女を助けてくれた、これからもずっと一緒にいてくれるパートナーへと。


 ノブはリュウラと二人、皆と離れた所で何かを話しているようだった。

「――。」

「――?」

 声が小さいのと距離があるのとで、内容までは聞こえない。

 小声で会話ができるぶん、二人の距離も近い。


 つつっ、つつっ‥‥と、レイシェルは横歩きで、足音を立てず、そっと二人に近づいた。


「――。」

「――!」

 小声で何か話しながら、ノブとリュウラは歩き出した。

 二人で。物陰へ。


「‥‥」

 無言でそれを見送ったレイシェル。

 ふわり、とその肩へジルコニアが着地する。

「気になるか? お嬢。まぁノブはハーレムなんぞ考えるようなタチじゃないから心配はいらねーぞ」

「そんな心配してませんわ!」

 即答。大声で。早口で。

 レイシェルはそんな心配をしていない。ただちょっともやもやするだけだ。



 数時間後。

 艦に旅の物資を積み終え、一行は出発のために乗り込む。

 ノブは艦に入る前の、最後の別れを大賢者トカマァクに告げていた。

「我が師よ。行ってきます。いつ帰るかはわかりません。しかしいつかは帰るつもりです。次の弟弟子へ、引き継ぐ物をお返しするために」

『ええ、待っています。今さらノブに言う事はありませんが‥‥私はいつも見ていますよ』

 大賢者の返事を聞いて、ノブの肩でジルコニアがニタリと笑う。

「見守る、じゃねーのかよ」

『もはやノブは私に守られる必要などありませんからね』

 大賢者は当然のようにそう言った。


 ノブはそれに頷くと、くるりと背を向け、艦へと真っすぐに向かった。

設定解説


・全機フル改造


なおフル改造ボーナスは一様に「装備可能パーツ+1」となっている。

これにより装備可能パーツは各機3つ、ノブのEムーンシャドゥのみ4つとなっている。

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