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異世界スペースNo1(ランクB)(EX)(完結編)  作者: マッサン
第1次 旋風覚醒編
21/353

21 死闘 5

異世界へ転移し、巨大ロボ:ケイオス・ウォリアーの操縦者となった男・ジン。

彼は世界を席巻する魔王軍へ、仲間と共に敢然と立ち向かう。

最初に訪れた街を魔王軍の魔手から救い、輸送艦で今後のための戦力強化を考えていたジンの前に

敵の親衛隊が2機同時に現れた。

 ジン達が森の中を縁沿いに移動したのを、敵――マスターオシュアリィも自機の戦闘MAPで把握していた。だが僅かな距離を移動して自分を待ち構えている所を見るに、逃げずに迎え撃つ気だと察する。

 Sネイルグールの射程外ギリギリに出て止まっている……近づけば一気に間合いを詰め、接近戦に持ち込む位置取りだ。

(ふん、間合いを調整したか。小賢しい……だが見誤ったようだな。このネイルグールは接近戦で強みを発揮するというのに)

 白銀級機(シルバークラス)を駆る魔王軍の親衛隊は、自分の強さに絶対の自信があった。


 だがジンはまさに敵機の強さを――そして弱点を探っていたのだ。


 Sネイルグールが一瞬立ち止まる。だが次の瞬間、地を蹴って一気に突っ込んできた! 森の縁に沿って迫り、あっという間に距離は無となる。ジン達は木立の隙間から、ほんの数メートル先に敵機を見た。

 巨大兵器にとって、それは文字通り手を伸ばせば届く距離である。


 ネイルグールの爪が異様に伸び、禍々しいオーラを纏う。

 ジンはその武器の威力を知っていた。操縦者の能力と合わせれば、一撃でこちらを撃破するであろう事も。


 スピリットコマンドであらかじめデータを見たが故に。



格 ラストクロー 攻撃4200 射程P1―1

戦意(モラール)105 消費EN20 条件:ケイオス2

特殊効果:装甲ダウンLV2



 そして、その武器に「戦意(モラール)が一定以上」という使用条件がある事も。


「リリマナ! 敵の戦意(モラール)を下げろ!」

「らじゃッ!」

 二人して念じ、そして発動させるスリピットコマンド・ウィークン。異界流(ケイオス)が丸い大きな口となって、対象――マスターオシュアリィを飲み込む。それは放った者のみに見える不可視のイリュージョンだ。


 だがマスターオシュアリィは、自分の力が奇妙な干渉で抜けていくのを感じ取った。それにより機体の爪に籠めた呪力が維持できなくなり、霧散してしまった事も。

 それが相手のスリピットコマンドである事を、高いケイオスレベルの持ち主であるが故に見抜く。

『むう? 本当に小賢しい。だがそれで勝てると思うは浅はかよ!』

 そう叫んで爪に新たな呪力を籠めた。爪から暗緑色のねばついた液が滲み出る。



格 ポイズンネイル 攻撃3200 射程P1―1

戦意(モラール)― 消費― 

特殊効果:運動性ダウンLV2



 この武器もまたジンは先に能力を見ていた。これを防ぐ術は無く、ただ耐えるしか無い事も。

 敵の動きを封じる毒爪と装甲を腐食させる必殺の爪。これらを敵が息絶えるまで、再生能力で相手の攻撃に耐えながら、交戦中に戦意(モラール)を上げていくスキルで自機のパワーを高めながら、ひたすらに繰り出す。

 それが魔王軍親衛隊員マスターオシュアリィの得意手なのだと、その能力から見当をつけていた。


 その毒の爪がジンを襲う。森の中へ踏み込み、ネイルグールが鋭い突きを見舞った。それは狙い過たずジンの乗るピルバグを貫く!


 だが――ジンの機体は、傷口から火花を散らしつつもその一撃に耐えた。

 表示されるHPは1000少々残っている。


 先の戦闘で受けたダメージをできるだけ修理しておいた。

 森の木々が邪魔で、爪の速度が完全ではなかった。

【ウィークン】により低下したパワーでは完全な攻撃力が発揮できなかった。

 Bカノンピルバグは量産機にしては装甲が厚く、しかも僅かとはいえ強化改造してあった。

 それら全てが重なり、ジンの機体を生き残らせたのだ。


 注入される毒素が機体の伝達系を侵食し、運動性を低下させる。だがそれに構わずジンは叫んだ。

「やるぞ! トライシュートォ!」

 モニターに表示される合体攻撃とその性能!



射 トライシュート 攻撃5100 射程1―6 命中+25 CRT+20

戦意(モラール)110 消費EN40 条件:合体攻撃



 爪を突き刺したままの至近距離で、ジン機の砲撃がネイルグールを撃つ!

『小癪な、アっ!?』

 機体を踏ん張らせてマスターオシュアリィが叫んだ、その声が発せられている途中に――発射された爪と光の輪が、ジンに撃たれて煙を上げている箇所へヒットする!

 その威力でネイルグールが吹っ飛び、森の外へ押し出された。


 モニターに表示されるダメージ……5000以上!


「畳みかけろ!」

 ジンは叫んだ。高HPと再生能力を併せ持つ相手には、一気に押し切らないと勝ち目が無い。

『ケケェー!』

 ダインスケンが叫ぶ。それが次の攻撃の合図だとジンにはわかった。

 Bクローリザードから爪が発射され、敵の白銀級機に刺さる。一秒と遅れず、光の輪と砲撃がほぼ同じ個所に炸裂した!

 しかし――


『小癪なぁ!』

 怒りの声とともに、ネイルグールの左手に青白い炎が生じた。それは火の玉となり、蛇行しながら高速で宙を飛んでいく。



射 ウィルオウィスプ 攻撃3500 射程1―6 命中補正+60 クリティカル補正+15



 この炎の玉は追尾能力を持ち、生半可な運動性では回避する事は不可能。再生能力で敵の攻撃を打ち消しながら、敵には着実にダメージを与える。これにより幾多の敵を葬って来たのがSネイルグールという機体であった。

 その玉がダインスケン機を狙う。木々の間を潜り抜け、森の中を焦がしながら、恐ろしいほど正確に!


 大トカゲの群れ、不死系ケイオス・ウォリアーの部隊。それらとの戦いで既にダメージを受けていたBクローリザードが鬼火を受ければ撃破されていたかもしれない。

 だがそれが機体を捉える直前。

 クローリザードがぎりぎりの間合いで身を捻った。

 それさえも追尾しようと軌道を変える鬼火だったが、変えた軌道のさらに先で、鬼火を上回る速度でクローリザードは走り、跳ぶ。

 もはや追い切れず、ついに鬼火は大木に誤爆し、その木を大きな松明に変えた。

 炎に照らされながら眼を光らせるリザード。操縦者・ダインスケンのスピリットコマンド【フレア】が、一瞬だけ敵の攻撃を完全に見切らせた。


 渾身の反撃が空振りに終わり、動揺から一瞬、ネイルグールの動きが止まる。

 直後、ジン達の通信機に叫び声が届いた。

『トライシュートぉ! 撃つよ!』

 ナイナイである。光の輪がグールの僅かな隙を捉え、着弾した。白銀級機が吹っ飛ぶ間もなく、動く間もなく。砲弾と射出された爪も。


『び、Bクラスが! たった三機で!?』

 操縦者のマスターオシュアリィは驚愕の声をあげ、Sネイルグールは火花を盛大にあげ、そして……爆炎があがった。

 装甲が砕け、部品が吹き飛ぶ!


「か、勝っちゃった……」

 燃え砕ける敵機を見て、茫然と呟くリリマナ。

「ああ。お前がいてくれたおかげでよ」

 疲労の濃い声でそう呟き、ジンは機体の状態をチェックする。


 HPは残り少ない。EN(エネルギー)は尽きかけている。SPももう使い果たしてスピリットコマンドには頼れない。武器の弾もきれかけている。

 そして仲間も同じような状態だ。全能力を費やした、ギリギリの勝利だった。


 だが、敵の白銀級機(シルバークラス)はもう一機いるのだ。


 ジンは森の中で、あえて身構え直した。大砲をこれ見よがしに担ぎ、闘志が()()()()だけはする。勝ち目が無い事は重々承知で、それでも弱みを見せまいとポーズだけはとったのだ。


 敵の白銀級機(シルバークラス)から通信が入る。

 若い男の精悍な声で。


『そうか……あの砦の記録に残っていたのはお前達か。いいだろう、そちらの勝ちだ。今日は退くとしよう。だが諦めたわけではない、それは覚えておけ』


 白銀級機(シルバークラス)・Sフェザーコカトリスが翼を広げ、空へ飛んだ。再びジン達の前から去ってゆく。


(何を言っているんだ? あいつ、俺達の知らない事を何か知っているようだが……)

 釈然としない物を感じながらも、ジンは大きな息を吐いて汗をぬぐった。

ブクマが3になっていた。

慈悲深い人がポイントをつけてくれたので評価が二桁になった。

0を何倍しても0なので、ワシにとっては無限大の進化と言えよう。

「ありがとうございます」を連発するのみである。


感謝の意味をこめて、主人公を死なせて美少女主人公に代替わりする展開を検討。

セリフ全ての最後に「私が死んでも代わりはいるもの」とコピペしておけば90年代美少女キャラに見えなくもないだろう。

Aスカ派の人にとっては「あんたバカ?」な話であろうが……。


まぁどっちもSIンジとはくっつかなかったようだが。

前世期にやってたら暴動・打ち壊し・一揆が各地で起こっておったかもしれん。

そう考えるとやれる時期を見計らってやった製作スタッフはやはり天才……。


能力のある人達はどこまでもあるもんじゃのう。

チート主人公を見上げるモブの心境がよく理解できるわい。

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