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異世界スペースNo1(ランクB)(EX)(完結編)  作者: マッサン
第2次 烈風復活編
206/353

97 暗躍 12

登場人物の簡易紹介(誰かわからない奴がいた時だけ見てください)


レイシェル:クイン公爵家の令嬢にして魔法戦士。

ノブ:地上最強の霊能者。

ジルコニア:ノブに同乗する妖精。

ドリルライガー:ドリル戦車に宿ったエネルギー生命体。合体形態・ザウルライガー。

オウキ:元魔王軍空戦大隊の親衛隊。核戦争で荒廃した世界から来た拳法家。

エリカ:オーガーハーフエルフの女整備士兼副艦長。

シランガナー:人造人間型強化パーツ・ファティマンの一体。

リュウラ:クラゲ艦・Cウォーオーの艦長を勤める魔法戦士の少女。

BUライガー:設定年齢高校生ぐらいの主人公チームが「数年前の仕事の因縁」にしょっちゅう巻き込まれる中卒労働者視点の良作。

 暗雲の下に、煤け、ひび割れ、穴の開いた尖塔がある。戦いによって無残に砕かれた尖塔が。

 尖塔だけではない。砦全体が同じような有様だ。はた目には廃墟としか見えないだろう。

 これが以前はコノナ国最強と謳われたガデア魔法騎士団の砦だと、誰が信じるだろうか。


 だがこの砦には、まだ住人がいるのだ。

 騎士団を制圧した魔王軍が、新たな拠点として使っていたが故に。

 その住人達は動揺の直中にあった‥‥が、それは今、大きな動揺に変わっていた。


 元はと言えば、無敵を誇る彼らの大隊長が軍勢を引き連れて出撃し、戻ってこない。それが原因だったのだ。

 隊長自身は気まぐれな所もあり、予定が変わるのは珍しくはない。

 だがそれならそれで遣いの者が戻って来る。

 何の音沙汰もないなどとはこれが始めてだった。


 大隊長下の親衛隊、彼らの反応は様々だった。

 砦で待機する者達がいた。不透明な状況に苛々する者もあったし、仕事をサボって遊び呆ける者もいた。

 ゴブリンやオークなどの下級の魔物は、命令がこないままなので好き勝手にしていた。

 寝て動かない物、倉庫の中を食べ漁る物。砦から勝手に出撃する物までいた。もちろん略奪のため人里へ行くのだが、半分ぐらいは防衛の兵に倒されて戻ってこなかった。


 砦は無法地帯となっていた。

 待機していた者達も、流石に待ちくたびれて何らかの行動に出た。

 大隊長を探しに行くか、魔王軍本部へ戻った者達がいた。

 勝手に付近の村落を襲っていた下級の魔物達は、そのままどこかへ行って野盗となるか、返り討ちにあって命を落すかだった。

 捕らえられて下っ端の兵士になり下がった元騎士団員達がいたが、大半が脱走し、もはやほとんど残っていない。

 少し間まで、秩序も何も無く、住人が減り、活気が無くなっていたのだが。


 だがそれも終わったのだ。

 ついにかつての主、陸戦大隊長ジェネラル・ゴーズが戻ったのである。


 しかし砦にいた兵士達は動揺し、歓声で迎える事は無かった。

 理由、一つ目。大隊長は無敵を誇った黄金級機(ゴールドクラス)ではなく、砦から持ち出されたゾウ頭の白銀級機(シルバークラス)に乗っている事。

 理由、二つ目。出陣の時に連れていた部隊ではなく、後に大隊長を探しに行った部下達を引き連れている事。


 そして理由、三つ目。

 ゴーズはケイオス・ウォリアーに乗ったまま、怒りと敵意を隠しもせず、中庭で呼び掛けていた事。

『おいジェイド。戻ってきてやったぜ。いるんだろ、出て来い!』



 格納庫のシャッターが開いた。

 奥から、砦の兵達が見た事のない機体が、ゆっくりと歩き出てくる。


 黒いボディを覆う赤い装甲。

 コートのような、マントのようなカバーが肩からかけられている。

 顔は‥‥緑の結晶が、宝石のような塊がそのまま頭部になっている。その頭部には黒い板が何枚も並んで差し込まれており、格子状になっていた。



 かつて恐るべき力を見せつけ、一歩間違えれば全滅させられていた敵機が、目の前に堂々と進み出てくる。

 動きに淀みは全く無い。

 ゴーズは操縦席でニヤリと笑った。

『ふん。修理は完璧らしいな。まぁそれはこっちも同じ事だが』

 彼の機体も部下達の物も、皆が修理を完全に終えている。

 コンディションは敵も味方も最高の筈だ。


 その恐るべき敵が、ゴーズへと通信を入れてきた。

『ゴーズ。その機体とそこの部下どもで、この機体と、今の儂に、勝てるとでも‥‥?』

『とは言ってもな。このままどこかへズラかれ、という話を呑めるわけもねぇだろう』

 そう言うゴーズにはわかっている。

 ノブ達と共にいた時と比べれば、今の戦力は大きく劣るだろう、と。

 だから尻尾を巻いて逃げるのが正しい選択なのだ。


 頭では理解している。

 その上で、ゴーズはここに来た。

 理由はただ一つ。

 まだ気の済むまでやり返していない。それだけである。


 そのゴーズへ、ジェイドからの通信がまた届いた。

『呑め。どこへでも失せるがいい。貴様への用など、儂にはもう無いのだ。相手をさせられるのも煩わしくて面倒なだけよ』

 溜息さえ混じりそうな、倦怠感に満ちた声。

 何かの計算や心理的な駆け引きなど全く無い。


 ゴーズが退けば、ジェイドは絶対に追わないだろう。

 ここから去れば、今日中に今の事を忘れてしまうだろう。

 まさに眼中に無いという事だ。


 ゴーズにとっては安全極まりない話である。


『‥‥そいつはありがてぇこった。おかげで余計に引っ込みつかなくなったぜ』

 ゴーズの機体、ゾウ頭の白銀級機(シルバークラス)が揺らめくオーラに包まれた。

 ゴーズの内的宇宙パワーが爆発する程に高まっているのだ。


 そして――ガデア砦で、巨大なパワーの爆発が巻き起こり、激突した!

設定解説


・おかげで余計に引っ込みつかなくなったぜ


だから白銀級機(シルバークラス)黄金級機(ゴールドクラス)級の敵機に挑むのだ。彼は雑魚潰しでオレTUEEするような男ではないのである。

まぁだからといってここで大勝利するような展開かどうかというと、それは別の話になるのだが‥‥。

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