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異世界スペースNo1(ランクB)(EX)(完結編)  作者: マッサン
第2次 烈風復活編
204/353

95 師匠 7

登場人物の簡易紹介(誰かわからない奴がいた時だけ見てください)


レイシェル:クイン公爵家の令嬢にして魔法戦士。

ノブ:地上最強の霊能者。

ジルコニア:ノブに同乗する妖精。

ドリルライガー:ドリル戦車に宿ったエネルギー生命体。合体形態・ザウルライガー。

オウキ:元魔王軍空戦大隊の親衛隊。核戦争で荒廃した世界から来た拳法家。

エリカ:オーガーハーフエルフの女整備士兼副艦長。

シランガナー:人造人間型強化パーツ・ファティマンの一体。

リュウラ:クラゲ艦・Cウォーオーの艦長を勤める魔法戦士の少女。苦手な命令は「はい、誰かとチーム作るように」

 敵機の剣が、光線が、容赦なくライガーへ乱れ撃たれた。

『ぬおおぉぉ!』

 装甲の薄い箇所を集中的に狙われ、絶叫するライガー!


 ‥‥しながら、敵への反撃タックルとファイヤーは忘れない。

 絶叫はするが、それは反撃しないという事ではないのだ。


『被ダメージ増えてるのか? あれ』

 クラゲ艦Cオーウォーのブリッジで首を傾げるオーガーハーフエルフのエリカ。

 それにリュウラが頷く。

『うん。100受けるダメージが110になる程度に』


 装甲の薄い所を狙われているが、薄い所自体が堅いのだ。

 そんなライガーの反撃タックルで頑丈な敵機が吹っ飛ばされる。


『ザウルライガーのHP、強化パーツ込みで10000超えてたよな』

 首を傾げるエリカ。

 リュウラが頷く。

『うん。それに装甲は3000ぐらいあるし、【ガード】のスキルも上げてるから、戦意(モラール)が高まったら受けるダメージも減る』


 よって受けるダメージはどんどん減っていくのだ。

 そんなライガーの反撃火炎で頑丈な敵機が火花を吹く。


『エースボーナスで、被弾するとすぐ戦意(モラール)が上がったような?』

 首を傾げるエリカ。

 リュウラが頷く。

『うん。だから上限を上げるため【戦意(モラール)限界突破】も3LVで習得してた‥‥あ、それでももう限界値だ』


 モニターに表示されるライガーの戦意(モラール)。150が上限の筈の数値は170に達していた。

 そんなライガーの並の操縦者では決して出せないパワーでの反撃が、敵機を吹き飛ばして岩山の岸壁にめり込ませた。


 数が多くて頑丈なので、ライガーをなんとかすり抜けてよろよろと後衛を襲う敵機も一応いた。

 上空から飛来し、ファイティマンによる機動力上昇で異様に素早くなったSフェザーコカトリスの攻撃を受け、ことごとく両断されてしまったが。


「全滅しちまったか」

 ジルコニアが散乱する敵機の残骸を見て呟いた。

 まぁ正確には呆然と立ち尽くすキング機だけ、まだ残ってはいるのだが。


 だがそのキングは‥‥

『フ、フフフ‥‥流石だな。伝説の騎士の一族の者とその仲間達よ』

 操縦席で笑っていた。

『余裕があるようだな。何か切り札でもあるのか』

 オウキのその問いに、キングは意気揚々と叫び答える。

『無論! 必勝を期すためには当然!』


 ノブ達のモニター、その戦闘MAPに、敵を示すアイコンが次々と現れた。

 岩山の陰で様子を窺っていた敵機が戦場へ飛んできたのである。敵増援、出現!


 そしてその増援は‥‥全てがSマキシマムピース! 全く同じ機体だった。

 飛来した4機、元からの1機。計5機となったマキシマムピースから通信が入る。

 操縦者は、これも全て同じオリハルコンキング!

『『『『『不幸なことだ‥‥なまじ強いばかりに吾輩の本当の恐ろしさを見ることになるとは‥‥泣くがいい! 叫ぶがいい! その苦しむ姿が吾輩へのなによりの称賛なのだ!』』』』』


『これは!? 機体はともかく、操縦者まで同じとは‥‥』

 異様な光景に思わず一歩退くザウルライガー。

 クラゲ艦の中でエリカが首を傾げる。

『オリハルコンキングも人造生命体なのか?』

『違う筈だけど‥‥』

 そう答えるリュウラも戸惑っていた。


 だがノブは静かに言う。

「複製したんだろう。19年も前に人間を複製できる技術があったなら、それがさらに進んでいても不思議は無い」

 ノブの横顔をぎょっとして見つめるジルコニア。


 一方、オリハルコンキングはノブの言葉を得意げに肯定する。

『『『『『金属生命体の吾輩はそれに適した体質だったようだ。無論、全員が一つの目的のために全力を尽くす! 断言しよう! 量と質の合計ならば、貴様らがこれまで戦ったどの敵よりも高みにあると!』』』』』

 5機のマキシマムピースが一斉に突撃してきた!


『『『『『一機ずつ順番に始末していくのが合理的な戦法!』』』』』

 そう叫び、5機が集中的に攻撃を仕掛ける。

 ノブのEムーンシャドゥへ、その超合金の剛腕を揮って!


 ほとんどの打撃は捌いて避けるムーンシャドゥ。

 だが避け続ける事で逃げ場を徐々に失う――この世界の戦闘用語で「連続ターゲット補正」と呼ばれる物だ。

 ついに強力な一打がムーンシャドゥを捉えた!

 吹っ飛ばされ、地面に叩きつけられるシャドゥ。


 だが強化改造の進んだ機体は、これまでのダメージがあってもなお耐えた。

 HPが危険域に入りつつある事がモニターに表示されているが、ノブは果敢に反撃する。

 肘の打撃用突起・エルボートリガーが敵機の胴体に命中した!


 しかし‥‥ノブは呻く。

 一体化した機体ごしに感じる感触に。モニターに表示された、敵機へのダメージに。

 それらに顔を歪めて。

「クッ‥‥硬い!」

 オリハルコンキングが上機嫌で嗤う。

『このオリハルコンチック装甲、そう容易くは砕けんわ! 戦えば‥‥勝つ!』


 しかしそこにレイシェルの凛とした力強い詠唱が響く。

『【光熱の領域、最終第七の段位。真なる極小の核は分かれ融合する。速き風は光と共に全てを滅する】――ニュークリアーブラスト!』

 光と熱の爆発が、5機で密集していたマキシマムピースを全て巻き込んだ。

『『『『『ウギャアアァァ!』』』』』

 同時に絶叫するキング!


「学習しろよオメー」

 MAP兵器の存在を忘れていたキングを見てジルコニアが呆れる。


『『『『『お、おのれ‥‥』』』』』

 全身から煙をあげてよめきながら、それでもマキシマムピースは一機も倒れない。

 その耐久力は流石というべき物である。


 しかしそこにザウルライガーが5本のドリルを唸らせながら突撃した!

『ドリルフィーバー!』

 上空からはSフェザーコカトリスが剣呑な拳法の連撃で強襲する!

舞葬琉拳(まいそうりゅうけん)奥義・風刃降断(ふうじんこうだん)!』


 巨体のドリルに貫かれた機体が、手刀と空中蹴りの連打で首を飛ばされた機体が、ほぼ同時に爆発!

『『ウギャアアァァ!』』

 敵機、残り3機!

 一瞬で粉砕された味方機を見て、残る三機が慄く。

『『『こ、これは一体!?』』ウギャアアァァ!』

 そのうち一機はレイシェルのSエストックナイトの魔法剣スピンストームに頭を貫かれて爆発した。

 訂正。敵機、残り2機!


 味方各機に敵機の予想行動パターンを送りつつ、リュウラがクラゲ艦のメイン座席で呟く。

『強い大将が一機しかいない部隊より、ワンランク落ちても強敵が複数いる部隊の方が手強い。それは本当』

『『そ、その通りである!』』

 全力で頷くキング。


『でも私達、あなたぐらいの相手なら普通に勝てるから』

『あたしらも強くなったなぁ』

 無情な応えを返すリュウラ。それを聞いて、サブ座席の一つでエリカがうんうんと頷いた。


『『わ、吾輩をかつごうとしているな! 心理的なトラップだ! そんな不確実な情報に踊らされる我輩ではないわ!』』

 操縦者の激昂とともに、拳を繰り出す2体のキング機。

 その攻撃があくまでノブ機に向いているあたり、怒りに流されず戦法を変えない知性が窺える。


『【光熱の領域、最終第七の段位。真なる極小の核は分かれ融合する。速き風は光と共に全てを滅する】――ニュークリアーブラスト!』

 距離をとらないので、レイシェルは遠慮なく最強呪文をMAP兵器として放った。

『『ウギャアアァァ!』!』

 当然、2機とも巻き込まれた。

 戦法を変えない事で、大した事ない知性が窺える。


 爆発の光の中、2機が力なく倒れる。

 それを見てジルコニアが呟いた。

「では、さらばだ‥‥てトコか?」

設定解説


・Sマキシマムピース


操縦者オリハルコンキングをそのままスケールアップした姿のケイオス・ウォリアー。

主な武器は剛腕だが、目からビームを撃つ事もできる。

白銀級機シルバークラスは本来1機しかない特注品であるが、この機体は例外的に5体造られている。

これを利用して4機は姿を隠して交戦、途中で増援として現れて敵を驚かせ、意表をつかれた相手を集団で叩きのめす戦法を得意とする。


基礎ステータス(強化改造や装備するアイテムにより、この数値は変化する)

HP:15000 EN:300 装甲:2000 運動:100 照準:150

射 キングビーム 攻撃3400 射程1―5

格 キングパンチ 攻撃3800 射程P1―2

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