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異世界スペースNo1(ランクB)(EX)(完結編)  作者: マッサン
第2次 烈風復活編
181/353

74 先祖 5

登場人物の簡易紹介(誰かわからない奴がいた時だけ見てください)


レイシェル:クイン公爵家の令嬢にして魔法戦士。

ノブ:地上最強の霊能者。

ジルコニア:ノブに同乗する妖精。

ドリルライガー:ドリル戦車に宿ったエネルギー生命体。合体形態・ザウルライガー。

オウキ:元魔王軍空戦大隊の親衛隊。核戦争で荒廃した世界から来た拳法家。

エリカ:オーガーハーフエルフの女整備士。

シランガナー:人造人間型強化パーツ・ファティマンの一体。

ゴーズ:元陸戦大隊長。なりゆきでとりあえず同行している。好きな猿はゴリラ。

 最後の改造魔虫が、クラゲ艦Cオーウォーの触手に叩き潰された。

『残るはお前だけだぞ!』

 オーガーハーフエルフのエリカがブリッジで敵親衛隊マスターフルヘルムへ叫ぶ。


「お覚悟!」

 レイシェルのSエストックナイトが持つ剣が竜巻を纏った。

 必殺剣・スピンストームが敵機Sテンタクルラフレシアへ繰り出される。

 白銀の騎士の魔法剣が、妖花の魔人を貫いた!


 もがき苦しみながら幾本もの触手を振り回すラフレシア。

 エストックナイトは素早く飛び退きそれを避ける。

 触手の先端が装甲を掠めたがダメージにはならない。

 そしてラフレシアをさらなる追撃が襲う。


 魔剣を抜いた、ノブのEムーンシャドゥによって。

『魔王剣!』

 掛け声とともに、深紅の刃がとどめを放った。


 必殺の筈の、その一撃は――

『さかしいわ!』

――しかし、高速で横へ跳ぶラフレシアを捉えられない!


 その敏捷性に驚愕するレイシェル。

「避けた!? そんな‥‥」

 シャドゥの太刀筋はエストックナイトを上回る鋭さである。命中率がより高いという事だ。

 だがナイトの剣で捉えられた相手が、それを見切って避けるとは‥‥?


 しかしノブは落ち着いてモニターを操作する。

 敵のステータスを‥‥スキル欄を映し出し、そして呟いた。

『なるほど。僕らは奴の能力の一部しか見ていなかったようだ‥‥』



ケイオス5LV:レベルに応じて全てのステータスが上昇する。

強化人7LV:レベルに応じて命中・回避が上昇する。

底力6LV:HPが減少すると命中・回避・装甲・クリティカル率が上昇する。



『HP減少時には、スキルを総動員して三重補正をかけるらしい』

 落ち着いたノブと対照的に、その肩でジルコニアが露骨に顔をしかめる。

『おいおい、ノブやお嬢のアッパーバージョンじゃんか』


『怖かろう! 怖がれ! 小童(こわっぱ)どもぉお!』

 機敏に動いて間合いをとりながら、ラフレシアの中でフルヘルムが叫ぶ。

 そして触手が砲台となり、先端からビームの奔流を放った。


 その的確な射撃を避けられないと一早く察し、レイシェルもノブも機体に防御姿勢をとらせた。

 一瞬遅れて装甲がビームに貫かれる!

 揺さぶられる機体の中、守りに徹して半減させてなおモニターに2000近いダメージが表示され、危険な状態に追い込まれた事を表示していた。

 

 このままでは不味い――そんな状況でビームが遮られた。

 射線にザウルライガーが割り込んだのだ。

『ぬうう‥‥!』

 低く唸りながら体でビームを止めるザウルライガー。


『チィッ! しぶとい!』

 フルヘルムはライガーの厚い装甲に苛立った。

『クッ! 手強い!』

 ライガーは装甲を焼くビームの威力に危機を覚えた。



 危険な状態で拮抗している、その時――新たな声が上空から届いた。

『苦戦しているならば、俺も今一度、助太刀させてもらおうか』



 聞き覚えのある声に上空を見上げるレイシェル。

 空に翼を広げるのは、鳥の頭を持つ白銀級機(シルバークラス)の機体。

 そしてその声は――

「オウキ!?」

 レイシェルが驚きの声をあげた。


 その声をフルヘルムも知っていたようだ。

『マスターウィンド! 貴様、どこまでも恥じ知らずな!』

 そこの怒声に、乱入者――オウキは笑いを含んだ声を返す。

『確かにな。許せんか? ならばこの首、遠慮なく獲るがいい』

 鳥人機が天で身構え、必殺の拳を放つため急降下する!


舞葬琉拳(まいそうりゅうけん)奥義・斥火鳳烙(せきかほうらく)!』

『しゃらくさい!』

 オウキの声とフルヘルムの声。

 手刀とビームが、上と下から交錯!

 二機が激突し、互いを互いの攻撃が捉える!


 オウキの機体が吹っ飛ばされ、再び天へと打ち上げられた。

「オウキ!」

 悲鳴のようなレイシェルの声がとぶ。


 ラフレシアは装甲を裂かれたものの、なんとかその場に踏み止まった。

【底力】スキルにより上昇した装甲の頑丈さ故に。

 しかし――

『ふん‥‥む!? 装甲が!』

 一瞬の余裕を見せた後、驚きと焦りがフルヘルムを襲う。

 装甲が変色し、軽石が割れるがごとくボロボロと崩れたのだ!


『フフフ‥‥この機体の羽には石化能力があるからな』

 空中でよろめきながらもオウキが不敵に言う。


 彼が乗って来たケイオス・ウォリアー。その名はSフェザーコカトリス。

 魔王軍時代に彼が乗っていた機体。

 激闘の末に大きく損壊したその機体は、完全に修理された状態でかつての操縦者の元に戻ったのである。


 スキルで強化された装甲も、石化能力のデバフに侵され、その堅牢さを失った。

『お、おのれ!』

 焦るフルヘルム。

 だがそんな彼を容赦ない追撃が襲う!


 自身への攻撃が途切れたザウルライガーの、巨体の突撃が。

『ドリルフィーバー!』

 胸の竜の顔が三本、両肩から両腕にスイッチした物が二本。五本の剣呑なドリルがラフレシアを打った!

 砕けた破片が宙に舞う。

 それでもラフレシアは触手を振り回し、なんとかザウルライガーから己を引きはがして距離をとった。


 しかし、そこへ狙いすました剣が閃く。

 ムーンシャドゥの魔王剣が!

『【ブレイブドライバー】!』

 ノブの声とともに、アイテム格納箱から緑の輝きが漏れた。

 今度こそ唸る深紅の刃!


 それはラフレシアを捉えると、その機体を袈裟斬りに断ち斬った。

 火花が血のごとく飛び散る‥‥!


 フルヘルムが錯乱気味の声をあげた。

『くそーっ! 殺せ殺せころ‥‥』

 そしてそれが最後まで出ぬうちに、光が関節部から漏れ、そして、爆発!


 妖花は燃えて崩れ落ち、己をも改造した男はその中で果てた‥‥。



――戦いは終わった。エルフ作業員達が資材を搔き集めるべく走り回る――



 機体は全て、艦の格納庫へ戻った。

 乱入したコカトリスもまた。

 修理を整備員達に任せ、操縦者達は機体から降りる。


 ノブ達の前に姿を見せたのは、間違いなくオウキだ。

「あの状況で生きていたとはな。それもお前の拳法の技か?」

 ノブにそう訊かれ、ほんの少し()()が悪そうに、オウキは機体の方へ顔を向ける。

「いや、違う。俺なんぞを助けた奴がいてな。おい、隠れるな」


 そう言われて、コカトリスの操縦席からもう一人――躊躇いも露わに――降りてくる者がいた。

 レイシェルが驚きのあまり、大声をあげる。


「エリザ!?」


 以前と違いガデア魔法騎士団の鎧で武装してはいるが、それはライガーが一向に加わった森で出会った、かつてのレイシェルの仲間。

 魔王軍の軍門にくだり、敵にまわった女魔法戦士のエリザドラだった。

設定解説


・マスターフルヘルム


宇宙にコロニーを作って暮らす世界から召喚された、元研究者。宇宙で暮らすための知覚力増強装置を開発していたが、政治家の娘と結婚して人生の歯車がちょっと狂う。

養父の政治思想に心酔し、人口も含めた人類の管理などと真剣に考え、愛想つかして出て行った奥さんや娘さんを尻目に、研究してきた技術を流用して対人殺傷兵器や思念操作式巨大機動兵器などのBAKAアイテムを造りだす。

喜々としてそんな物を使っていたのでド外道として宇宙空間でゲームオーバーにされるが、何を間違えたのかインタセクシルに召喚された。

全く懲りずに魔王軍内部の研究者グループで自己と兵器のさらなる強化を目論む。


・Sテンタクルラフレシア

フルヘルムが故郷の技術を組み込んだケイオス・ウォリアー。操縦者の思念でコントロールをサポートされ、無数の触手の先からビームを撃ちまくる。

また半月型の投擲用刃・ブーメランカッターが隠されており、それを投げて敵を攻撃する事も可能。

宇宙適応がSなので宇宙戦闘では無類の強さを誇るが、それを実用した事は無い。

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