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異世界スペースNo1(ランクB)(EX)(完結編)  作者: マッサン
第1次 旋風覚醒編
18/353

18 死闘 2

異世界へ転移し、巨大ロボ:ケイオス・ウォリアーの操縦者となった男・ジン。

彼は世界を席巻する魔王軍へ、仲間と共に敢然と立ち向かう。

最初に訪れた街を魔王軍の魔手から救った彼へ、恐るべき刺客が差し向けられていたが、

それを知らない彼は、輸送艦で今後のための戦力強化を考える――。

 ジン達の話が一段落したのを見計らい、整備員が訊いてきた。

「ところで機体の強化改造ですけど。どこいじるんですか?」

 そもそもジン達がここにいるのは、これまでの戦いで貯まった資材で機体を強化してもらうためである。

「機体の性能を何か上げるんだよね?」

 ナイナイが確認し、ジンはそれに頷く。問題はどの機体のどのステータスを強化するか、なのだが……ジンは自分が遊んでいたゲームを思い出す。


(メインに使う機体に集中。防御力か回避力のどちらかを選び、重点的に強化。武器もそれと同じぐらい強化。中盤に強い機体が手に入るまではそれがセオリーだったと思うが……)


 だがしかし。

 いざ自分が戦う立場になると、どうにもそれは実行し難い。


(ゲームみたいに一人が何キャラも持ってるわけじゃねぇ。体一つが今の自分の全てだからよ。脱出装置で100%生還できる保証もねぇ。なのに脇役扱いで無改造ポンコツ機に乗ってろ、それで死んでも運命だ――なんて話、俺ならお断りだ。それを他の二人に押し付けるのもスジが通らねぇ)


 ジンはナイナイとダインスケンを横目で見る。そして格納庫のハンガーに立っている、自分達の平凡な量産機を。


(それに……どう考えても単騎無双できる高性能機はここには無ぇ)


 ジンの肚は決まった。二人へ声をかける。

「単純にいこう。均等に頭割りして、三機とも強化してもらう。武器と機体性能、強化できる項目は全ていじってもらうか」

 結局、結論はそれだった。ゲームなら微妙な方針であっても、この場で危険に相対するのは自分達なのだ。

 しかしナイナイが異を唱える。

「ねぇねぇ、この艦も強化した方が良くない?」

「お、そりゃそうだ。雇い主様を疎かにしちゃいけねぇよ。じゃあ母艦も含めて資金は四分割な」

 ジン達の話に、ヴァルキュリナは少し驚いたようだ。

「ありがたい事だが……そちらから言い出すとはな」

「こちとらまだまだこの世界の青二才だ。あんたを頼るしかないんだぜ、先輩」

 軽口を叩くジン。

 ヴァルキュリナは「そ、そうか……」と呟き、つっと視線を横に逸らした。

(おやま。ちょいと照れましたかね……)

 少しばかり可笑しく感じるジン。だがまぁそれを口にしない程度の分別はあった。


「おう、そういやゴブオもケイオス・ウォリアーに乗れたよな。資材から適当にかき集めて1機組み上げられねぇか? 手は多いに越した事はねぇ」

 ジンは整備員に訊くが、ヴァルキュリナは露骨に顔をしかめる。

「このゴブリンに機体を与えるのか? 流石にそれは却下したい」

「機体一機分、資金が減りますしね。その使い道がゴブリンというのは……」

 整備員も難色を示す。やはりこの世界の住人に歓迎される意見では無かった。


「そうですよ。オレもアニキの足手まといになりたくないです。オレは荷物持ちとモップがけに全力を尽くすため、この艦でアニキの帰りを待つッス」

 ゴブオ本人にさえ同意されなかった。


 まぁコイツは――

(ラクに寄生したいだけなのに戦わされたらたまらんぜ)

――その程度の考えでしかないのだが。


「仕方ねぇか。いや、俺も戦場で自由にさせろと言いたかったわけじゃなくてな。直衛……とでも言うのか? いつでも出撃できるようスタンバイして、指示があった時だけ飛び出して交戦して艦を守り、すぐに帰投してまた備える。そんな奴がいれば役に立つか……と思ったからよ」

 ジンが肩を竦めながらそう言うと、ヴァルキュリナは顎に手をあてて考えた。

「ふむ。召喚攻撃か」

「え!? その単語まであるのか!」

 それはジンの遊んでいたゲームにもあった呼び方で、データ上は存在しない機体が攻撃の映像としては使われるという一種の演出だった。

 それがこの世界にあるとは?


 だがヴァルキュリナは当然のように言う。

「おかしいか? 古来から召喚魔法はあったし、短時間しか持続しない戦闘専門の物もその中にあった。それになぞらえて、攻撃の時だけ出撃する機体との連携を召喚攻撃と呼ぶが……無論、正式な呼び方ではないがな」

 技術が魔法によって興った世界ゆえに同じような単語が生まれたのだった。

「しかしそれならなんとかなる。砲座マイマイが一匹あった筈だ。あれを使わせて移動砲台にしよう。それで死角をカバーできる。危険度は高いが、ゴブリンにやらせるなら……」

 ヴァルキュリナが言うと、整備員が『鏡』に砲座マイマイを映す。


 巨大なカタツムリだが、貝の部分が改造されており、座席と風防、二門の大砲が備え付けられている。

 垂直の壁や動く甲板の上で移動砲台として活用可能な、この世界の軍艦用の装備なのだ。


「なるほど。決まりだな」

 頷くジンの後ろで、ゴブオの緑の顔から血の気が引いた。

「ウソやろ……」


 戦闘中に艦の装甲上に貼りついて戦うので、かなり危険な役目になるのは誰の目にも明らかだ。

 そして事実、その通りなのだ。


 まぁゴブリンの顔色など人間にはわかり難いので、誰も気づきはしなかったが。

 ただダインスケンだけが「ゲッゲー」と鳴いた。

召喚攻撃ならぬ「召喚バリア」というのを実際のゲームで作ってもいいと思う。

「複数のザコ機」というグラフィックが援護防御みたいに出てきて、一定値までダメージ無効化とか。

もちろん戦艦系ユニットに持たせるわけだが、デビルGUンダムみたいな増殖系の敵に持たせても噛み合うのではなかろうか。

【直撃】とかダイレクトアタック使用時にはなぜか部下に防衛を怠けられ、乗員に見捨てられた艦がゴルディオンハンマーでブン殴られる光景になるが……。


※ブックマークなんて物がいつのまにか2つもついていた。あざっす。

前のサイトでは反響や反応的なものが皆無だったので嬉しい事だ。

感謝の意味で即興の美少女キャラ(80年代作品から丸パク)でもねじ込む事を検討。

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