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異世界スペースNo1(ランクB)(EX)(完結編)  作者: マッサン
第2次 烈風復活編
179/353

72 先祖 3

登場人物の簡易紹介(誰かわからない奴がいた時だけ見てください)


レイシェル:クイン公爵家の令嬢にして魔法戦士。

ノブ:地上最強の霊能者。

ジルコニア:ノブに同乗する妖精。

ドリルライガー:ドリル戦車に宿ったエネルギー生命体。合体形態・ザウルライガー。

オウキ:元魔王軍空戦大隊の親衛隊。核戦争で荒廃した世界から来た拳法家。

エリカ:オーガーハーフエルフの女整備士。

シランガナー:人造人間型強化パーツ・ファティマンの一体。

ゴーズ:元陸戦大隊長。なりゆきでとりあえず同行している。好きな飯のコースは食べ放題。

 映像はまだ続いているものの、レイシェルはなんとか立ち上がった。


「都合の良い事を信じていたかったから言うわけじゃありませんけど、どうしてこの記録を私に見せるんですの?」

 ノブに訊くレイシェル。

 メガネをくいくい弄りながらノブは答えた。

「クイン家の神蒼玉(ゴッドサファイア)は、240年前の勇者グロムディが騎士ダイザックに託した物だ。それを持ち出すならば、子孫と言えど本人の意思を継がねばならない。それには彼の事を知らねばならない。師匠はそう考えたんだ」


 と、その時。

 映像を眺めていたブリッジクルーの一人が、脇にあるモニターの警告音に気づく。

「敵の反応! この速度‥‥飛行してるようですぜ!」

 モニターに映る敵のアイコンは、険しい岩山の上を滑るように真っすぐ近づいていた。


 ノブは「ふむ」と呟き、指をふる。水晶玉から投影されていた映像は消えた。

「やむを得ない。上映会は中断しよう。レイシェル殿にはあと一章、見てもらわねばならないが」

「わかりました。とりあえず出撃しますわ」

 頷くレイシェル。



――クラゲ艦は敵を迎え撃つため、広く足場のとれる広い山頂へ移動した――



 出撃準備を終えた機体が次々と飛び出す。

 ノブのEムーンシャドゥ、レイシェルのSエストックナイト、そしてドリルライガー。

 ライガーはすぐにクラゲ艦へと大声をあげた。

『タイタンケラトス!』


 角竜型の強化用機が飛び出し、変形!

 巨大な体となった()()に、ドリルライガーが両腕となって合体!

『ザウルライガー!』

 名乗りとともにザウルライガーは()()()踏み出した。


『空中の敵なら前と同様に自分が落とします!』

 力強く宣言するザウルライガー。

(強化パーツの有効活用ではありますけど、すっかり空中戦担当になってますわね‥‥)

 ちょっと思う所はあったが、レイシェルは別に異を唱える気は無かった。


 だがしかし。

 山の岩陰を俊敏に走り、幾多の影が迫ってくる!

『飛行してない! 奴ら、山岳を高速で移動できるんだ!』

 焦って叫ぶ、オーガーハーフエルフのエリカ。


 岩山を走るのは、ほぼ円形の体から放射状に長い脚を生やした節足動物だった。

 その後方に、巨大な花から手足の生えたような敵機が、何本もの触手を蠢かしている。

「ケイオス・ウォリアーは隊長機だけですわね‥‥なに、あの気持ち悪い虫」

 嫌悪感を隠せないレイシェル。


 その声に、微かに残響音を伴う声が通信機ごしに答えた。

『人間を確実に仕留めるマンハンター、我がバグス軍団ピレスロイデスよ』


 その声を聞き、ブリッジにいるゴーズが呟く。

『あいつ‥‥マスターフルヘルムか。あいつも魔物の研究や改造が好きなタチだったが、マスタージェイドに乗りやがったな』

『いいや、元大隊長殿。付き合いは奴との方が長くてな。大隊の枠を超え、研究者仲間のグループがあったのだ』

 そう返すマスターフルヘルムの言い分を聞き、ゴーズは『なるほど』と納得したようだ。

『魔王軍も各大隊も、お前らにとっては自分の研究のために使っているだけって事だな。先日の空中戦艦の奴もそのクチか』

『その通り。理解してもらえた所で‥‥クイン家の子女をいただいて行く!』

 フルヘルムがそう言うと、虫どもは地を這うかのように、しかし高速で迫って来た!


『なんだこの速度!』

 焦るエリカ。ノブは落ち着いて『ふむ』と呟く。

『奴らはこの地形でも足をとられないようだな』

『チッ、得意な場所だから喜んで追いかけてきたわけかあ』

 ノブの肩でジルコニアが嫌そうな声をあげる。


 改造魔虫ピレスロイデスの群れが迫る。

 レイシェル達は射撃武器でそれを迎え撃つが、敵の姿勢が低いうえに岩が多く、なかなか数を減らす事ができない。

 そして――


 後方に控える敵隊長機が、遠距離から光線を放ってきた!

 数本の触手の先から同時に撃ち出される光線。狙われたノブは回避を試みるが、全ての光線を避ける事はできない。

 一本がシャドゥの肩を撃ち抜き、ノブは『クッ!』と声を漏らした。


『あいつ、スゲェ的確な攻撃だな!』

 驚くジルコニア。

 ムーンシャドゥはその運動性、ノブの腕前と【超能力】スキルによって相当な回避力を有する。

 だがそれでも敵の光線はシャドゥを捉えたのだ。


 ノブが真剣な目で敵隊長機を睨んだ。

『あいつは‥‥僕と同じ? いや、異なりはするが何か特殊な能力がある。こちらの動きを感知できるようだ』


 マスターフルヘルムは、微かな残響音とともに笑う。

『元の世界での研究成果よ。宇宙に進出した人類の一部が、新たな環境で覚醒した能力‥‥知覚や認識の増大。新人類とさえ呼ばれたそれらの能力を、人工的に得るための研究を私はしていたのでな。その成果を、無論、私自身にも施している!』


『この能力‥‥か?』

 ノブがモニターを切り替え、敵のステータスを調べた。

 技能欄に映されているものの中には――



強化人:レベルに応じて命中・回避が上昇する。



『フハハハ! 怖かろう!』

 殺人虫の後ろで、マスターフルヘルムの勝ち誇った笑い声がこだました。

設定解説


・ピレスロイデス


巨大昆虫デーモンアシナガニジゴミムシダマシを魔王軍が改造した種。

光沢だけは美しかった元の種からうって変わり、背中一面が苔のような毛に覆われて外観も汚い。

飛行能力は低く走って移動するが、砂地・荒地・垂直に近い崖などに足をとられず走り続ける事ができ、命令さえ受ければ活動する場所を選ばない。

また完全に飛べないわけではなく、獲物を攻撃するときは翅を広げて跳躍する。この機動性により離れた敵や空中の敵にも襲い掛かる事ができ、攻撃性能は決して低くは無い。


基礎ステータス(強化改造や装備するアイテムにより、この数値は変化する)

HP:3500 EN:130 装甲:1500 運動:100 照準:155

格 噛み付き   攻撃3000 射程P1―5

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