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異世界スペースNo1(ランクB)(EX)(完結編)  作者: マッサン
第2次 烈風復活編
136/353

30 勇者 7

登場人物の簡易紹介(誰かわからない奴がいた時だけ見てください)


レイシェル:クイン公爵家の令嬢にして魔法戦士。

ノブ:地上最強の霊能者。

ジルコニア:ノブに同乗する妖精。好きなAクロバンチの玩具は生首状態で売られていた頭部のプラモ。

 少し気まずいながらも森の中での戦いは終わった。

 ノブとレイシェルは村の子供二人を連れて帰る。


「お姉ちゃん、お兄ちゃん、勇者様。どうもありがとうございました」

「ございました」

 タリアとラルドが並んで頭を下げた。

 レイシェルは優しく微笑み、子供達の頭を撫でる。

 親の薬師や他の村人達も、ノブやライガーに頭を下げて礼を言った。ライガーがドリル戦車から降りない事には、相変わらず首を傾げてはいたが。



――その後。村の外、運搬用の巨大ゾウムシを停めてある所で――



 ライガーはノブとレイシェルに機嫌良く礼を言った。

『力を貸してくれてありがとうございます。あの怪獣と兵士ども相手に、自分一人では敗れていたかもしれません』

「それもこれも下心があっての話ですの。聞いてくださいまし」

 そう言って、レイシェルは自分達の旅の目的を話す。


 神蒼玉(ゴッドサファイア)を入手するため、そして自分は傾いた家を建て直すための旅だと。

 そして勇者として活動しているライガーに味方して欲しいと。


 それを聞いたライガーの返事は。

『‥‥そういう理由がありましたか。了解です。自分で良ければぜひお供させてください』

 機嫌よく快諾、であった。


「ありがとう、勇者ライガー!」

 感謝して頭を下げるレイシェル。

 その上をふよふよと飛びながら、ジルコニアは少し疑わしそうだ。

「しかしやけに簡単にOKしてくれたな。本当にいいのか?」


 ドリル戦車のランプを明滅させてライガーは答える。

『あなた達がどんな人なのか、さっきの森で見せてもらいました。弱い者が苦しめられていれば守り、悪は許さないが罪を憎んでも人は憎まず。あなた達の中に流れる血は熱く尊い物だと判断します』

 顔をしかめるジルコニア。

「あんたが血とか言うとなんか不思議な気がするな」

『多分似たような物は自分にも流れているかと。まぁ流れていてもいなくても、このドリルライガーが協力するという決意に嘘はありません』

 やる気に満ちた勢いのある声で、ライガーははっきり答えた。


 腕組みして聞いていたノブが、メガネをくいくい弄りながら訊く。

「ドリルライガーには仲間はいないのか? 戦闘中、兄弟がいれば‥‥と言っていたようだが」

 ライガーは「いましたよ」と答えた。

『故郷の地球では、勇者――同じ星から生まれた兄弟は全部で七体いたというのは先刻言った通りです。その中のダンプライガーとショベルライガーと自分とで、三体合体して力の勇者・ビッグライガーになれたのです』

 そこまで話すと――昔を思い出して――少し声が落ちた。


『ですが‥‥地球征服に来た宇宙侵略国家バルマゲドンとの最終決戦で、敵の幹部と刺し違えてしまいまして。これは死ぬかな‥‥と思いきや、気が付いたらこのインタセクシルに自分だけが召喚されていたのであります。そしてこの世界にも魔王を名乗って侵攻している物がいると。それならばと、今でもこうして戦っているわけです』


 黙って聞いていたレイシェルが、やや沈んだ顔で訊く。

「故郷が‥‥心配じゃありませんの?」


『後は敵の総大将を倒すだけだったし、自分の兄弟達なら絶対に勝利しています』

 ライガーははっきり言い切った。

 信頼に満ちた、不安の欠片も無い声で。


「その兄弟もいないのに、一人で不安じゃありません?」

 レイシェルはさらに訊いた。

 どこか沈んだ声で。不安なのはむしろ彼女ではないかと思える面持ちで。


 ライガーの答えは――

『不安ならあります。ですが、勇者はどこに居ても勇者です。この硬く大きい体で生まれておいて、小さな体の人達に全てを任せきりとはいきません。その小さな体で頑張ってる方もいるのですから。そうでしょう、レイシェルさん』


 はっきりと、自信をもって。彼はそう言った。

 その言葉はレイシェルの心の中の、陰の部分に、確かに届いた。


 自分の中の、自信と誇りの源だった、けれど今や傾き滅びの瀬戸際にある家。

 敬愛していたのに、一人は命を落し、一人は裏切って果てた二人の兄。

 それらにより生じた陰の中から、レイシェルは勇者の姿を見た。


「勇者ライガー。私、改めて貴方に仲間になって欲しいと、そう思いました。私達に力を貸してくださいまし」

 そう言ってレイシェルはドリル戦車にそっと触れる。

『喜んで! 自分を存分にお使いください』

 威勢よく言うライガー。

「ああ、よろしく。僕もレイシェルと同じ意見だ。頼りにさせてもらう」

 ノブもそう言った。


 だが‥‥彼は彼で考えている事があった。


(しかし、初めて見た気のしない種類のロボットだ。僕のいた「地球」が関係あるのか? それはあり得ない筈なんだが‥‥)

設定解説


・ドリルライガー


エネルギー生命体・ドリルライガーの宿ったドリル戦車。つまり本人。

ドリル戦車形態では地中の移動が可能。

魔王軍との戦いでもこの能力を存分に使っており、基地や砦を攻撃する時も真下から奇襲をかけて半壊させてから攻撃をしかけてきた。


そうして壊滅させた砦の一つが、黄金級機の設計図を保持し、人造種族の研究も行っていた海戦大隊の砦である。

ドリルライガーがそれを叩き潰し、隠し部屋に気づかず立ち去った後、スイデン国の部隊が調査に訪れた事で、前章が始まった。


基礎ステータス(強化改造や装備するアイテムにより、この数値は変化する)

HP:4500 EN:200 装甲:1800 運動:100 照準:145

射 ハンドマシンガン 攻撃3000 射程1―5

格 ライガーボム   攻撃3500 射程P1―2

格 ドリルチャージ  攻撃4000 射程P1

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