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異世界スペースNo1(ランクB)(EX)(完結編)  作者: マッサン
第2次 烈風復活編
132/353

26 勇者 3

登場人物の簡易紹介(誰かわからない奴がいた時だけ見てください)


レイシェル:クイン公爵家の令嬢にして魔法戦士。

ノブ:地上最強の霊能者。

ジルコニア:ノブに同乗する妖精。好きなAクロバンチのキャラは活躍しない方の兄貴。

 エイプマンの群れを蹴散らした二人は機体から降りる。

 ノブが魔法で照明を造り、レイシェルと二人で洞窟に入った。


 目当ての子はすぐに見つかった。

 岩陰で震えている幼い少年がいたのだ。

 薬草を入れる鞄をしがみつくように抱え、警戒心も露わに二人を涙ぐんで見ている。


 レイシェルは優しく声をかけた。

「ラルド君ね? 君を助けに来ましたわ」


 少年はぐずりながら立ち上がり、レイシェルに訊く。

「お姉ちゃんも助けてくれる?」

 にっこり笑って頷くレイシェル。

「もちろん。タリアちゃんよね?」

 少年は頷く――が、こう付け加えた。


「もう一人。エリザちゃんも」


 面食らうレイシェル。そんな名前は村では聞かなかった。

 ノブは「ふむ」と呟くと、人差し指でラルド少年の頭に触れる。

 青い煌めきが僅かに舞った。


 と、ノブの側に少女の姿が生じたではないか。


「この子の記憶を見せてもらって、幻影で再現した。が‥‥」

 そう言って少女の姿を眺めるノブ。


 長い髪をツインテールにした少女‥‥歳は十代の中から後半か。

 くりくりした目の大きい、可愛らしい顔立ちである。

 しかし鎧を着ていた。ガデア魔法騎士団の。


「エリザドラ‥‥」

 驚いてその名を呟くレイシェル。

 そう、レイシェルはこの少女を知っていた。魔法騎士団の団員であり、かつての戦友の一人である。


「へへへ、また魔法騎士団のお友達かい。なんかキナ臭くねーかな」

 ジルコニアが笑う。


 しかしレイシェルはラルドに訊いた。

「このお姉ちゃん‥‥エリザは、君を助けてくれましたの?」

 ラルドは素直に頷く。


「怪物に追いかけられて、タリア姉ちゃんと離れて。追いつかれそうになった時、エリザちゃんが助けてくれた。それでここに隠れさせてくれて。エリザちゃんはタリア姉ちゃんを探してくれるって、そう言って出て行って‥‥」


「そうなの。エリザらしいですわ。人懐こくて少し甘えん坊ですけど、年下には優しくて怒らない子でしたもの」

 レイシェルは納得した。嬉しそうに、懐かしそうに。


「しかしなぜこの森にいたのか。それは考える必要があるな」

 ノブがそう言うと、レイシェルはキッときつい目を向けた。

「魔王軍の刺客として私を追ってきた、とでも?」

 ノブはいつも通り、落ち着いて言った。

「違うならばそれでいい。だが善人でも優しくても、逆らえない理由があれば従うしかない」


 脅迫、洗脳、人質‥‥そういった手段を使う者が、この世にはいるのだ。


 レイシェルは唇を噛んだ。しかしすぐに意を決する。

「‥‥はっきりさせるには、会ってみなくてはなりませんわね」

「ああ。タリアを探す必要もあるからな」

 ノブは頷き、洞窟の出口へと振り向いた。


 各自、機体に乗り込む。レイシェルはラルドを連れてSエストックナイトへ。


『タリアを探すにも手がかりがない。だから次はエリザという子を追跡する』

 ノブから通信が入った。

 追跡の呪文はこの場にいた者しか追えないのだ。


「そうですわね。エリザが既に保護してくれているかもしれませんし」

 レイシェルの返事は多分に期待が篭っている。彼女は座席の後ろにいるラルドへ振り向いた。

「大丈夫。ね?」

「うん」

 レイシェルの微笑みに、ラルドも安心して頷く。



――二人の乗る二機は森の中を進む――



 だが魔法で痕跡を追っている最中、その足が止まった。

「振動? けれど‥‥」

 地面が揺れている。地震ではない、何かの移動だ。

 だがレイシェルが首を傾げる。


 木々の間を通しても、近づく物は見えないのだ。

 木立が視界を邪魔してはいるが、その木々を押しのける物も踏み潰す物もない。


 だが地面が僅かに揺れる。

 巨大な何かがやっては来るのだ。


 ノブは気づいた。

『地下か!』


 次の瞬間、それは肯定された。

 土中から地面を貫き、飛び出した物があったのだ!


 黒く四角い、長方形のボディ。

 力強く回る、左右のキャタピラ。

 進行方向前面に飛び出した二本の巨大な円錐の突起。パワフルな回転が強く雄々しい。


「これって、もしや!?」

 驚愕するレイシェル。

『ドリル戦車、だと!?』

 ノブも驚いていた。

「え? 知っていますの?」

 思わず訊くレイシェル。


 この世界インタセクシルでドリル戦車は実用化されていない。

 これが何か、この世界で生まれた住人は知らない筈だ。


 とは言えノブは聖勇士(パラディン)である。

 ドリル戦車のある世界から召喚されたなら知っているであろう。


 だがノブは首を傾げた。

『む‥‥言われてみれば』

 なぜ知っているのかわからないようである。

(どういう事かしら。この世界にもドリル戦車が?)

 そこまで考え、レイシェルは気づいた。


 生粋のインタセクシル人である自分も、これが何なのかわかっている事に。


 戸惑いから無言になる二人。

 そこへドリル戦車から通信が入る。


『もしもし、そこの二機へ。ラルドというお子さんを知りませんか?』


 やや硬い口調ながら、若い青年の声だ。

「こ、ここに居ますけど?」

 レイシェルは背後をちらちら見つつ答えた。

 すると相手の声が明るく弾む。

『これは僥倖! こちらはお姉さんを保護しております!』


 それを聞いて身を乗り出すラルド。

「タリア姉ちゃん!?」

『ラルド! そこにいるの?』

 幼さの残る少女の声が、通信機の向こうから返って来た。


 薬師の子供達を保護している、異界の乗り物の操縦者。

 レイシェルは彼に訊く。

「貴方は、勇者ライガー?」

『はい、そう呼ばれております』

 相手ははきはきとそう応えた。


 だがレイシェルには疑問がある。

 インタセクシルへ召喚された者が持ち込めるのは、本人が身に着けている服や小物、装飾品程度だ。

 乗り物ごと召喚された例は、確認されている限りでは無い。皆無だ。


 ならば勇者ライガーはなぜドリル戦車に乗っているのだろう?

設定解説


・ノブ(ノブヒコ=アキカゲ)


大賢者トカマァクの弟子で霊能者サイオニック。年齢17~19程度。

ショートの黒髪にメガネをかけた、僅かに幼さの残る顔立ちながらも落ち着いた雰囲気の青年。白マントに黒胴着を装備。

師匠から使命を受け、神蒼玉ゴッドサファイアを手に入れるべく、レイシェルに会いにきて旅へ連れ出した。

異世界からの転移者らしいが、その詳細は不明。


超能力魔法とカラテの達人。

その他、旅に必要なスキルも大概は師匠から学んでいる。


26話時点のステータス

レベル20

格闘189 射撃189 技量213 防御154 回避134 命中133 SP95

スキル:ケイオス5 超能力5 SP回復

【スピリットコマンド】

エナジー:戦意モラール+10。

サプライ:ENと残弾を完全回復。戦意モラール-10。

コンセントレーション:短時間、命中率と回避率に+30%。

プロテクション:短時間、敵からのダメージが1/4になる。

インテュイション:短時間、命中率が100%になる。かつ一度だけ敵からの被弾率が0%になる。

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