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異世界スペースNo1(ランクB)(EX)(完結編)  作者: マッサン
第2次 烈風復活編
124/353

18 宿泊 3

登場人物の簡易紹介(誰かわからない奴がいた時だけ見てください)


レイシェル:クイン公爵家の令嬢にして魔法戦士。

ノブ:地上最強の霊能者。

ジルコニア:ノブに同乗する妖精。好きな烈風正拳突きは原作最終盤の宇宙で使った~ブリザード不使用の生当てのやつ。

「盗聴犯か、盗人が機会を伺っていたのか。本当に刺客か。それは確かめればわかる」

 ノブが男を冷たく見下ろして言う。指を軽くふると、青い煌めきが舞った。

 男の思考をノブは読み物を目にするかのごとく知覚する。


【マインドリード】――読心術である。どこまで深く意識へ潜り込めるか、情報量を掴めるかは術者次第ではあるが‥‥


「ふむ。やはり刺客だな。こちらを偵察に来たらしい。では行くか」

 ノブは事もなげにそう言った。

「行くって‥‥」

 どこに? 戸惑うレイジェル。

 当たり前だと言わんばかりに、それに応えるノブ。

「こちらから奇襲を仕掛ける。放っておいては眠れもしないからな」



――数刻の後、郊外の倉庫にて――



 倉庫の中には十人程の男達が集まっていた。

 どいつもこいつもガラも目つきも悪く、木箱に座って酒を呑んでいたり、互いにカードでギャンブルをしていたり。倉庫の壁には何機かのケイオス・ウォリアーが膝をついて待機している。

 彼らは魔王軍の下っ端兵士であり、レイシェル達を襲うべく見張りの合図を待っているのだ。


「なかなか戻らんな‥‥」

 一人が偵察員を待ちくたびれて呟く。ごろり、と木箱の上に寝そべった‥‥その時。


 全員、全身を強烈に叩かれて吹き飛んだ!


「があっ!?」「なんだ?」「ぐええぇ!」

 悲鳴をあげて床を転がる男達。衝撃が来た方を見れば――ケイオス・ウォリアーの足元に、青い光を粉雪のように煌めかせるノブの姿が!

「てめぇは! 魔術師の!」

 男の一人が叫ぶ。彼らは自分達が狙う相手の顔を、姿絵を見せられて知っていた。

 驚きながらも腰のナイフへ手を伸ばそうとするが――


 彼らの背後で、レイシェルが倉庫の通用口から跳び込んできた!

「なっ!? 見張りは何してた?」

 男達の一人が叫ぶ。

 完全に不意をつかれた男達は、次の行動へ素早く移る事ができない。それは致命的だった。


「【水冷の領域、第四の位。氷が針と破片となる。冷気と鋭さは敵を撃つ】――アイスボール!」

 レイシェルの完成させた呪文の詠唱。氷片の嵐が炸裂し、魔王軍の兵士達は今度こそひとたまりも無く薙ぎ倒された。


「へへへ、何もさせずに一方的に敵を蹂躙するのは気分がいいだろう?」

 レイシェルの頭上を飛びながら笑うジルコニア。

 ふう、とレイシェルは溜息をつく。

「いまいちという所ですわ。頑張ってくれたノブを否定するわけじゃありませんけど」

 ここに来る道すがら、ノブは奇襲を提案し、倉庫に着くやレイシェルの前でその魔法を披露した。



――少し時間を巻き戻せば――



 倉庫の外で石に腰掛け、見張りはアクビを噛み殺していた。退屈である。全く、貧乏籤をひいた物だ。

「大変だな。中の様子はどうだ? 大雑把でいいから教えて欲しいのだが」

 そう声をかけられ、男は振り向く。そこには()()()()()()()がいた。姿絵を見せられていたのでそれが目当ての少女を護衛している魔術師だとすぐわかったが。

 しかし、見張りは()()にぺらぺらと教える。中にいる人数と、だいたいの場所を。さらに訊かれたので入り口の数と場所も。

 ()()は「すまんな」と礼を言う。

 男は「なに、いいって事よ」と嬉しそうに言って――()()に側頭部を打たれ、気を失った。


【チャーム】――魅了の呪文。対象は術者に最大級の好意を抱き、できる範囲での協力を惜しまなくなる。



「ではレイシェル殿、中で戦闘が始まったら加勢してくれ。僕は裏手から敵の不意をつく」

 そう言ってレイシェルをジルコニアとともに通用口の物陰に待たせ、ノブ自身は建物の裏にまわる。

 一面が壁で、窓さえない場所に。

 だがノブは青い煌めきを僅かに纏うと、その壁へと踏み込んだ。

 ノブの体は水の膜を通るかのように壁を透過する‥‥!


【インタンジビリティ】――術者を非物質化させる呪文。身に着けている物以外に触れる事はできなくなるし、攻撃的な行動を取ると効果は消滅するが、物理的な障害物を通り抜ける役には立つ。



 倉庫に入ったノブは、敵がだらけて油断しているのを見る。

 もちろん遠慮する必要など無いので、物陰に移動した後、攻撃呪文を放った。


【シェリルサウンド】――超音波を叩きつけてダメージを与える範囲攻撃魔法。

 物が燃えたり派手な音を出したりはしないので、発射する前に気づかれる事は少ない魔法だ。



 そして続くレイシェルの加勢により、倉庫で待機していた敵は全滅となったのである。


 霊能者(サイオニック)の超能力系呪文に騒がしい物は少ない。破壊力では他の魔術師に劣る、地味で静かな物が多いのだ。

 だが今回のような場合、それが利点になる‥‥。



(いや、これは戦法としては正しいですわよ? 冒険者ならきっとそう肯定する筈ですし。騎士の合戦だって、敵軍を計略で陥れて勝つのは立派な戦い方ですし‥‥)

 そう理屈で自分を納得させるレイシェル。

 だからといって、やっぱり彼女の性に合う戦い方ではなかったのだが。


 一方、ノブは――

「まぁ働きはしたが頑張ったという程でもない。僕は大賢者トカマァク最新の弟子、最強の霊能者(サイオニック)だ。破壊以外の呪文の方が得意だし、それを使えばこの程度の事はできて当然」

「おかげでロボ戦が一回省かれちまったけどな!」

 歯を剥きだして笑うジルコニア。

「戦闘などは全部避けられるに越した事は無い。それは事実上無理だから、仕方なく危険を最小限に抑えて行うだけの事だ」

 ノブは素っ気なく言いながら、青い球体の幻影を造り出す――周囲を透視する魔法【ウィザードアイ】である。

 それを見ながらレイシェルは訊いた。

「何か探していますの?」

「ああ。他に隠れている敵がいないか探っている。ついでに金目の物も見つかるように」

 当たり前のように答えるノブ。


 レイシェルはこめかみを押さえる。

霊能者(サイオニック)という魔法職の()()()()()が本当によくわかりますわ‥‥」


 だが呻き声と共に立ち上がる者が、魔王軍の兵に一人いた。

 それを見たレイシェルは驚きに目を見開く‥‥!

「貴方はグスタ! どうして魔王軍に!?」

設定解説


・ドーネル=フレーメ

「我家」編のボス的敵。

元クイン公爵家副騎士団長。若くして腕の立つ騎士で、実家も代々クイン家に仕えてきた。

だが主家が傾いたタイミングで魔王軍陸戦大隊に再就職したマスタージェイドの部下に取引を持ちかけられ、裏切りを割とあっさり決意。同じく金欲しさに裏切りを決めた同僚達とレイシェルを捕らえようとした。

本人的にはヘマした主家が悪いので本人的にはスジは通っている。



・Bソードアーミー (ドーネル専用機)

もっともありふれた量産機をカスタマイズしたもの。

HPが増量され、射撃武器が強化されている。

強化用費用はもちろん主家(クイン家)に全部出してもらった。


基礎ステータス

HP:8000 EN:170/170 装甲:1300 運動:95 照準:145

格 ソード      攻撃2700 射程P1

射 ボウガン     攻撃2700 射程1-5

射 ビームランチャー 攻撃3200 射程2-6

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