最終話 大戦 0
本編が最後まで続けられるかわかりませんので、結末だけ先に記しておきます。
なおこの最終話は現時点の物であり、あくまで予定ですので、本当に最後まで続いた場合、完成品は異なる事があります。
ご了承ください。
そして月日は流れた――
最も巨大な大陸に、険しい山々が連なる壁で文明圏から隔絶された地がある。
一年中吹雪が吹き荒れ、それが止んだ時だけ白銀に輝く美しくも生の無き死の幻想世界が姿を現す大地が。
雪と氷と暗雲が覆う、標高四千メートルを超えた、平地としてはこの世界でも最高度となる、誰も顧みない僻地の中の僻地。
そこに巨大な城塞があった。
禍々しく、ねじくれ、悪意と邪悪で塗り固められた、途方もなく巨大な城塞が。
この世界にある国家全ての敵である魔王軍……その首領が住まう城が。
その最深部において、魔王軍最後の将軍が、今、敗れた!
「ウェイイ!」
闇を破る雄叫びと電光! 巨人の放つ究極剣の斬撃が、もう一つの巨人を斬り裂く。
ジンのGRXサンダーカブト最強の剣技……キングブレイドとフォトンブレイカーの超剣二刀流が、最後の四天王を討ったのだ。
「ぐおおHP300000の我が機体が貴様のような猿に破れるとは……!」
小さな爆発を繰り返す機体の中で無念の声をあげ、直後に機体を吹き飛ばす大爆発の中に消え……最後の四天王ゼゼーマンは消滅した。
操縦席で汗を拭うジン。
「はぁはぁ、一方的に大ダメージを与えまくっているのになかなか落ちないから手強かった」
ケイオス・ウォリアー同士が戦える巨大な部屋の、一番奥。
そこにこの砦で最も巨大な扉がある。
「この奥が最終ステージか……」
その扉を自機で押し開けながら、ジンはこれまでの戦いを回想していた。
第二の四天王・ビアンマンの黄金級機はGアビスキャンサーを上回るHP100000を誇っていた。
敗北(ただしボコられ役は味方)、仲間の犠牲、新たな出会い、そして追加武装。
やっと掴んだ勝利。
だが第三の四天王・ウェンドロンの黄金級機は第二を上回るHP200000を誇っていた。
敗北(ただしボコられ役は味方)、仲間の犠牲、新たな出会い、そして機体の強化。
やっと掴んだ勝利。
だが最後の四天王・ゼゼーマンの黄金級機は第三を上回るHP300000を誇っていた。
敗北(ただしボコられ役は味方)、仲間の犠牲、新たな出会い、そしてさらなる追加武装。
魔王城に乗り込み、今、この強敵を討ち取ったのだ。
ジンは扉を潜り、暗黒の通路をどこまでも進む。
一転して、光に包まれた空間へ。
強烈とさえ言える照明で照らされていたのは、古代の神殿を思わせる大空間だった。
ここで、この世界での戦いは終わるのだ。
(俺が……終わらせる)
部屋の中央を見ながら、ジンは独り決意していた。
部屋の中央にある物。
途方も無く大きな、あらゆる色が混ざって回る渦巻き。
「アストラル・ヴォルテクス……」
ジンはその名を呟いていた。
『そうだ。この要塞はそれへの蓋でもある。この星系のエネルギーの中心、掌握すればこの太陽系の意思そのものとなり、神をも超えた存在となる銀河の脳髄だ』
通信機からジンに語る物があった。
ジンは部屋の対面にいるそれを見る。
「暗黒大僧正……お前か」
獅子の頭と腕、鷲の脚、蠍の尾、鳥の翼が四つ。
これが魔王軍最強最後の機体……悪霊の王なのだ!
その操縦者の姿がジン機のモニターに映る。
複眼の爬虫人類――ダインスケン!
ジンの目が怒りでギラつく。
「やっぱり、その体を使ってやがったか」
『魔王軍で作った魔物は、全て私の予備でもある。そしてどの体も一時的な物。消耗品でしかない』
声帯を直したダインスケンの口で、暗黒大僧正は淡々と言った。
「ああ、そうらしいな。お前が本当に欲しいのは、この渦巻き……アストラル・ヴォルテクス。それを自分の物にするための時間が必要だから、その間に邪魔されるのを阻止するための――魔王軍だったわけだ」
長い長い旅の間で得た情報をジンは呟く。
ここで書くには長すぎるので詳細は割愛。
そして暗黒大僧正は頷くのだ。
『それに必要な時間はほぼ過ぎようとしている。明日のこの時間には、この星は既に私になっているだろう』
「いいや。ならねぇよ。ここで戦いは終わりだ」
ジンの機体、GRXサンダーカブトが身構えた。その中に内蔵された神蒼玉が光って唸って真っ赤に燃える。
ジンの愛機は、長い旅の間に神宝を埋め込んで究極の黄金級機へと進化していた。
ここで書くには長すぎるので詳細は割愛。
そして――最強の機体の激突が始まった!
城塞が震える。壁が砕ける。
崩落により半壊する部屋の中……カブトは壁にめり込み、全身から火花をあげた。
宙に浮いてそれを見下ろす暗黒大僧正の魔王機。
ここまで戦い抜いてきた人類最強最後の黄金級機ケイオス・ウォリアーを、魔王の機体は圧倒していたのだ。
神蒼玉を一つも使っていない機体が。
そう……暗黒大僧正の魔王機は、ランク付けするなら白銀級機。
ワンオフカスタム機ではあるが、分類するなら中位ランクの筈なのだ……!
その機体の中、暗黒大僧正はジンの黄金級機を見下ろしていた。
『黄金級機だろうがこの機体は倒せんよ。神蒼玉を心臓部に持つが故の最強機。その秘宝は、神々がこのアストラル・ヴォルテクスから取り出したエネルギーで造った物……いわばこの渦からの飛沫だ』
言って次元の渦を指さす。
『私が取り込んだエネルギー量は、既に神蒼玉を超えている。神々の力も黄金級機も、もはや私の下でしかない』
神々の秘宝を超えたパワーで満たした機体が、神々の秘宝に頼った機体より弱いわけがない。
暗黒大僧正の魔王機は、この世界の人間の尺度など超越していた。
だがしかし。
それにも関わらず、ジンは不敵に笑う。
「そうかい。まぁここまでは予想通りだ。それじゃあ逆転といくか」
『お前では無理だ』
よろめきながら立ち上がるカブトを見下ろしながら暗黒大僧正は断言する。
それに言い返すかと思いきや、ジンの応えは、こうだ。
「ああ。俺ではな」
ジンのカブトの周囲で星が光った。
世界各地から集め、四天王を倒し、手に入れて来た神蒼玉。それらが宙に浮き、輝いている。
「七つの神蒼玉はいかなる邪悪をも退ける神の最強武器! その武器とは! この世界の理そのものを、一時的に操作する事!」
ジンがそう叫び、カブトは己の胸部装甲の隙間に手を差し込む。内部からえぐり出したのは、カブトに搭載されていた神蒼玉。
輝く七つの星を――カブトはアストラル・ヴォルテクスに投込んだ!
『それを知ったのか。なるほど』
感心して呟く暗黒大僧正。
彼の目の前で、七つの星が次元の渦から無数の色を吸収していく。
その力が集結し、無数の光線となって放たれた。
光線は魔王機の周囲で輪を作り……空間が歪み、暗黒大僧正を呑み込もうとする!
その絶対の危機の中。
暗黒大僧正は事もなげに言った。
『だが、それでも私は倒せない』
魔王機の背後に星が光った。
七つの神蒼玉に酷似した輝きが。
その輝きが、魔王機を捕えた宇宙の輪を消していく!
『なぜなら……神蒼玉が操作できるこの世界とはこの星の事だ。他の世界から防護の力を得れば対抗はできる』
暗黒大僧正がそう言った時。
宇宙の輪が消滅した。
『世界の力が打ち消しあえば、後は地力の問題』
その言葉はジンへの処刑宣告である。
だが、初めて戸惑いを見せる暗黒大僧正。
『む?』
神蒼玉の輝きの中、何かの存在を見たのだ。
『この女達は?』
「勝利の女神だ!」
ジンは断言した。
長い長い旅の中、ジンが出会った数々の人々。
ここで書くには長すぎるので詳細は割愛。
その中でジンに想いをよせる、ジンの大切な人達。
何かある度にすぐにポコポコ増えてきた大量のヒロイン達の心が、今、神々の秘宝を介してジンに届く……!
『ジン! ボク、最後まで……最初から最後まで、絶対に力になるから!』
ナイナイの声。
女神のごとき薄絹を纏い、ケイオス・ウォリアーにはとっくに乗らなくなった彼女の思いが届く。
『ジン! 貴方を拾ったあの日から、私は貴方の物だ』
ヴァルキュリナの声。
女神のごとき薄絹を纏い、戦艦ごと型落ちして出番が激減していた彼女の思いが届く。
『ジン! 大好き!』
ツインテールの女の子。
女神のごとき薄絹を纏い、第二ボスの辺りで仲間になった娘の思いが届く。
『ジン! 愛してる』
エルフの女の子。
女神のごとき薄絹を纏い、長い耳を震わせてその思いが届く。
『ジン! 抱いて』
どこかのアイドルゲーで見た気のする女の子。
女神のごとき薄絹を纏い、あざといポーズでの思いが届く。
『ジン! 晩ご飯はカレーだよ』
褐色肌の女の子。
女神のごとき薄絹を纏い、自分がカレー(大盛り)を食べながらその思いが届く。
『ジン! 何がなんでもあなたが一番正しい』
女神設定の女の子。
女神のごとき薄絹を纏い、主人公を完全肯定する宗教みたいな思いが届く。
全ヒロインで12人いる筈だが、神蒼玉は七つしかないので後はベンチだ。
『何ィ!? 奴に集まるこの力は!?』
驚愕する暗黒大僧正の前で、宇宙の渦から、ジンのカブトへ無数の煌めきが降り注ぐ。
その中で、カブトは後ろに銀河のごときオーラを生じさせていた。それはどこまでも膨れ上がる……まさにビッグバン!
かつてない力が生じている!
魔王機を睨むジン。
その力とは――
「スピリットコマンド【ラブ】。最強のコマンドを……それを七重に発動させた。重ねがけ無効という理は、今、有効へ一時的に書き換えてあるからよ」
GRXサンダーカブトが跳んだ!
その右腕で電光が弾ける! 轟き叫ぶ!
これがこの時代の最終聖戦の、最強最後の一打……!
戦意+70にして限界突破! 700%命中する攻撃が14倍ダメージで7回炸裂!(本来は行動回数増加は無いがこっそり付け加えておくのが勝利の鍵) 敵からの反撃は700%無効!
星が砕けた! 銀河が泣いた!
渾身の一発だがバンクが7回繰り返されて7ヒットした!
不滅を誇る魔王機が、胸を打ち抜かれ、真上に吹き飛び、頭から垂直落下して、床に巨大なクレーターを穿ち、その中心で砕けて散った!
『ぐおぉ……回復(大)と確率発動回避に裏打ちされた、我が機体の500000HPが……! 一瞬で? オーバーキルだとう!? この世にこれほどの力があるものなのか?』
爆発を繰り返す魔王機の中で、暗黒大僧正は絶叫する。
「ああ。あるからよ。言葉にすると手垢まみれで安っぽいからあえて言わないが……口にしなくても、それを七重に食らったお前にはもうわかっただろ」
そう言うジンの前で、魔王機は電光の嵐の中で砕けて消えていく。
そしてすぐに、完全に散った。
「まぁわかってなくても、お前はここまでだがな」
己一人となった空間で、ほっ、と一息つくジン。
久しぶりの穏やかな笑みを浮かべ、座席にもたれる。
「ありがとよ。終わったな、これで。新たな戦いがいつ始まるのかはわからないが、それまでは……」
ところがどっこい。
七つの秘宝の間で、何やら火花が散り始めた。
「うん?」
怪訝な顔をするジンの前で、文字通り火花が散る。
少しの間それを眺め、やがてジンは事態を把握した。
ヒロイン達の主役争奪戦はまだ終わっていないのだ。
全員でのハーレムエンドが主流になって久しいが、この世界インタセクシルにはまだその流れが来ていなかったらしい。
あるいは単に、独占欲の強い(というより正常な)娘さんばかりであったのか。
(ヤベエ! 急いで帰って女全員のご機嫌とらないと! 新たな戦いが始まって! 世界が!)
世界の理に干渉できる者達に争わせては大変だ。
ジンは急いで出口へ走る。
強大過ぎる力は諸刃の剣。昔から言われている事である。
この平和の行く先がどうなるのか、いつまで平和なのか……それは誰も知らない。
時の流れの中で
わずかでも
この物語に立ち止まってくれた
君に……
……ありがとう
(NEVER END)
くー疲れましたワこれにて完結でス
以下、今まで遊んだ某シリーズへのメッセジをどぞ
F完結編「スーパーロボの命中率0%とかデマを流す奴はさっさとコンVの運動性と限界を10段階改造しろ」
インパクト「100話がどうした200日かけてクリアすりゃいいだろ」
魔装3「長射程P兵器の話ばっかしてんじゃねー各機撃墜されるまでに敵2機ずつ落とせばなんとかなるわ」
特撮大戦「苦しみをこえようぜオーイエス俺達男さ!」オトコサ
俺「皆さんありがとうございました!」
いろいろ終わり