今が変わるとき
今回は時間がズレてしまい、申し訳ないです。また間が空いてしまいましたが、読んでくださる方たちがいると思うと嬉しいです。更新情報は、Twitterの@mijukunagisaのほうですのでよろしくお願いします。
それでは、続きをどうぞ。
私は山辺君をリビングに残し、葉月のいる部屋へ向かった。これからのことをしっかりと整理していきたいからだ。
部屋にノックして入ると、葉月は部屋をウロウロして落ち着かない様子だった。私の姿が目に入るや否や、私の肩を思いきり掴んだ。
「大丈夫だった?」
表情からも声からも私のことを心配している様子が伝わってくるのが分かる。私は肩に置かれた葉月の手に自分の手を重ねた。
「大丈夫。大丈夫じゃないのは、風間先輩のほうよ」
初めて知った真実に、先輩はどう受け止めたのか。今は大事な時期なのに、話をして大丈夫だったのか不安で仕方がない。
「でも、私はもう逃げないわ」
このままにしておくのは、誰にとっても良い結果にはならないだろう。今まで逃げて来た分、今度こそユウ君の死と向き合わなければならない。私も先輩も、そして伯母さんも……。
「伯母さんと話すのは、正直まだ怖い。話したところで、私のことを許すかなんて分からない。先輩も私と今まで通りに接してくれるかも分からない。だからね、葉月……」
私は葉月の両手をしっかりと握った。
「協力してほしい。全員が納得する答えなんて出ないだろうけれど、私は今の状況を変えたいの」
少し驚きの表情を浮かべた葉月はすぐに真剣な眼差しに変わる。
「分かった。私にできることは何でもする。でも、葵。絶対に無理だけはしないで」
「ありがとう」
葉月にも変わる意思を伝え、私たちはリビングに戻ることにした。さすがにお客様である山辺君をリビングに1人にしておくわけにはいかないから。
リビングに戻ると、山辺君は雪と遊んでいた。1人になって、雪と遊んでいたからか、先ほどよりは落ち着いて見えた。
「山辺君」
私が声をかけると、雪を床に下ろして立ち上がった。
「水野、大丈夫か?」
「えぇ。山辺君は?」
「俺も何とか……。水野、これからどうするんだ?」
「とりあえず、先輩と話すのが先かな。でも、しばらくは1人で考える時間が必要だと思うの。時期的にも受験までにはある程度は終わらせたい」
数年間、お互いの思いを募らせて、心に蓋をしてきたのに、数カ月で全てが上手くいくなんて私も思っていない。ここは少しずつ、片付けていくしかない。
「山辺君も葉月も、基本は何もしなくていい。私が動くけれど、困ったときは頼らせてね」
葉月と山辺君は顔を見合わせると、私のほうを見て力強く頷いた。
「もちろん!」
「任せろ」
2人の顔を見るとこんなに安心すると同時に、心強くもなる。ここまで自分が変わったことに、自分自身が驚いていた。良い方向にいくことを願いたい。
この度もお読みいただき、ありがとうございます。




