衝撃の真実 流星side
今回は間が空いてしまったので、曜日変更をしての投稿になります。
また間が空くかもしれませんが、時間があれば曜日変更をして投稿したいと思います。
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「これが、私の過去と先輩を避けていた理由です」
水野さんは膝の上にいる白い猫を撫でる。
「つまり、水野は雪を助けようとした。そして、色河さんはその水野を助けようとして……」
陽人の言葉で、白猫の名前は雪と分かった。雪はのんきに水野さんの膝の上で喉を鳴らしていた。水野さんはそんな雪の頭を撫でている。うつむいたままでは、表情は分からないけれど、無表情なのは変わらないだろう。
「水野さん、話しにくいのに、話してくれてありががとう。ようやく、昨日のおばさんの様子に納得がいったよ……」
おばさんの言葉、そして俺を異様に避ける理由。全てに納得がいくものばかりである。
正直、今の話を聞いてどういう反応をすればいいのか分からない。隣にいる陽人を見ても、ただ黙って俯いているだけだった。誰も喋らない空間は、妙に居心地が悪い。時計の秒針だけがやけに頭に響いた。
俺自身、この話を聞いても今どのような気持ちなのか分からない。ただ今は混乱はしているが、ただそれだけのこと。
でも、俺は……。
「水野さん」
俺は静かに名前を呼ぶ。彼女は相変わらずの無表情だが、心なしか不安そうにも見えた。
「今の話を聞いて、正直まだ混乱しているというか、頭の整理が追いついていない。あの日の出来事、俺を避けていた理由は分かった。でも……」
俺は言葉を言い切る前に頭を下げた。
「ごめんなさい。もう少し、1人で考えたいんだ」
俺は自分の中で答えを出せなかった。もう一度顔を上げると、水野さんは少し俯いていた。
「大丈夫です。先輩の意思を尊重しますから」
本人は平静を装っているのかもしれないが、その声は震え気味だった。決して弱みを見せようとはしない姿勢を前に、俺は逃げ出すように家を出た。
まるで頭を鈍器で殴られたように頭は痛く、そして足取りもおぼつかない。今は何も考えたくないし、水野さんとも顔を合わせるのも嫌だった。ただ誰にも会わない場所に行きたかった。
「あ……」
気が付けば俺は優月の墓の前まで来ていた。1人になりたいと思って来た場所が、親友の墓の前だなんてな。俺は墓を前にしゃがみこむ。優月の墓には綺麗な花が生けられており、墓石も汚れ1つない。定期的に俺や水野さん、優月の家族が手入れをしているからだろうな。
「なぁ優月。俺はどうしたらいいんだろうな……」
尋ねても答えなんて返ってくるわけないのに、ついつい答えを求めてしまう。自分で答えを求めないといけないのに、亡き親友に助けを求めるなんて、俺も昔から変わってないな。
でも、それほど俺は追いつめられている。俺の中で水野さんは大切な人で、失いたくないほどかけがえのない存在になっている。だが、今の話を聞いて、これから前と同じように接することが出来るのか自信がない。
さっきも大丈夫とか、水野さんのせいじゃないと言葉に出すつもりだったのに、結局逃げてしまった。言葉に出そうとすると、水野さんを責めてしまいそうになったから。
どうしてあの日一緒に出かけたんだ。どうしてあのとき、猫を見つけてしまったのか。どうして危険と分かっているのに飛び出したのか。どうして、どうして、どうして……。
「くそ……」
こんなこと思いたくないのに、暗い感情が俺を支配する。知りたくなかった。聞きたくなかった。隠し通してほしかった。なのに、なんで……。
黒い感情は涙となって溢れ出した。あの日と同じように、俺は声を出して思いきり泣いた。




