2学期
新年あけましておめでとうございます。
小説の投稿の期間が空いてしまい、すみませんでした。今年もまた、度々更新ができない時期があると思いますが、気長に待っていただけると幸いです。
今年も執筆を通し、精進して参ります。まだまだ未熟ではありますが、どうかよろしくお願いいたします。
夏休みもあっという間に過ぎ、気が付けば2学期を迎えていた。夏休み明け早々に行われた抜き打ちのテストを終え、一段落していたときだった。
「ねぇねぇ、葵」
「どうしたの?」
「もうすぐ体育祭あるじゃない。葵は何の種目に出るか決めた?」
すっかり忘れていたが、夏休みが明けたら体育祭が行われるのだった。最低でも3種目は出場しなければならず、男子は組み体操、女子はダンスが必須となっていた。
「個人種目じゃないやつ」
「言うと思ったわ。まぁ出ないって言うよりはマシね」
葉月は呆れているが、まぁ心配そうな顔をされるよりはマシか。
「ついでに、山辺君は?」
「ついでってなんだよ。俺はオマケか」
「聞かれるだけいいじゃない。で、何に出るの?」
「まだ決めてない。どんな種目があるかも、ちゃんと把握してないしな」
山辺君が言う通り、私も種目を把握していない。個人で出場する、徒競走やリレー以外で何とか乗り切りたい。綱引きとか玉入れとか……。
「そういえば、3年はフォークダンスが必須だろ? 面白そうだな」
「あら? 興味あるの?」
「だって、あの風間先輩が出るんだろ? そりゃ楽しみに決まってる」
山辺君はまるでイタズラを考えている子供のように笑う。男子はいつまで経っても中身は子供のようだ。
「そういえば、風間は3年だったか。それは写真部としての血も騒ぐわね」
「だろ?」
2人は顔を合わせると、ニヤッと笑って頷いた。こういうとき、2人はある意味息ピッタリである。仲が良いことは嬉しいことではあるが、まぁいいか。
だが、私もそうは思っても気になる。フォークダンスか。これは見物かもしれない。女性をエスコートする風間先輩。そんな姿をユウ君にも見せてあげたい。葉月が撮った写真、もらおうかなと思いつつ私は窓の外を見た。
ここ最近、雨を見ても取り乱すことは減った気がする。かといって、平気になったわけではないが、それでもちょっとした自分の変化に驚きつつある。ずっと一緒にいる葉月なら、すぐ気付いていたのだろうな。
そんな話をしていると、あるプリントが配られてきた。タイミングが良いのか、それは体育祭の種目が書かれたプリントだった。
種目は必須のフォークダンスやダンス、組み体操以外にも、リレーに障害物競走、借り物競走に綱引きに玉入れと、体育祭の定番種目がたくさん組み込まれていた。
「相変わらずたくさんの種目。でも、楽しそうね」
「そうね」
この学校の体育祭は、学年別で点数を競う。正直、体育祭の経験があり、それなりの絆が出来ている先輩たちが有利ではあるが、私たち1年も勝つチャンスはある。ダンスと組み体操、そしてフォークダンスは芸術点があるため、勝敗の点数よりも高めに設定してある。ここで点数を稼げば勝つチャンスもあるのだ。
「何がいいかしらね。まぁそれぞれの種目に対して定員が決まっているから、希望通りにならないかもだけど」
「そうね」
私と同じように個人で目立つ種目に出たがる人はそう少なくないだろう。特に学年別対抗リレーは、最後の華であると同時に、一番の見せどころで、勝敗が決まるという大事な種目。なかなか決まらないかもしれない。
「もうすぐ体育祭があるので、ある程度希望を決めておいてください。また後日、本格的に種目を決めていきますので。では、今日はここまでです」
先生の号令でホームルームが終わった。他の生徒は帰宅したり、クラブに向かったりと様々だった。山辺君や葉月もその1人で、それぞれ出て行った。気が付けば教室には私だけしか残っていなかった。
「体育祭……か」
好きでもないが、嫌いでもないイベント。目立つことなく、誰にも迷惑がかからなければいいか。
もらったプリントをカバンに入れ、私も教室を後にした。グラウンドからは色々な声が聞こえてきた。もしもユウ君がいれば、もっと楽しめたのだろうな。




